失業手当とは
失業手当(雇用保険の基本手当)は、雇用保険に加入していた労働者が離職し、一定の条件を満たした場合に支給される給付金です。求職活動を支援し、再就職までの生活を安定させることを目的としています。2025年4月から雇用保険法の改正により、特に自己都合退職に関するルールが大幅に変更されました。以下では、受給条件、支給額、申請手続き、改正ポイントを詳しく解説します。
受給資格
失業手当を受給するには、以下の条件を満たす必要があります:
- 雇用保険の加入者:離職前2年間に雇用保険に加入し、12か月以上(特定の場合は6か月以上)の保険料納付実績があること。
- 失業状態:働く意思と能力があり、積極的に求職活動を行っているにも関わらず、就職できない状態であること。
- 離職理由:自己都合退職や会社都合退職により受給条件や支給期間が異なります。2025年4月の改正により、自己都合退職の給付制限が緩和されました。
支給額の計算
失業手当の支給額は、離職前の賃金を基に算出されます。計算のポイントは以下の通りです:
- 賃金日額:離職前6か月の賃金総額を180で割った金額。
- 給付率:賃金日額に50~80%の給付率を適用(低賃金者ほど高率)。
- 上限額:年齢や年度により上限が設定されており、2025年度の場合、60歳未満で約9,000円/日(上限は変動あり)。
支給期間
支給期間は、離職理由や年齢、保険加入期間によって異なります
- 自己都合退職:90~150日(保険加入期間や年齢による)。
- 会社都合退職:90~330日(より長い期間が適用される場合も)。
- 待機期間:申請後7日間の待機期間があり、この期間は支給されません。
- 給付制限期間(2025年4月改正):自己都合退職の場合、従来2か月の給付制限期間が1か月に短縮。ただし、5年以内に3回以上自己都合退職した場合は3か月に延長。
2025年4月の主な改正ポイント
2025年4月1日から施行された雇用保険法改正により、以下の点が変更されました
- 給付制限期間の短縮:自己都合退職の給付制限期間が2か月から1か月に短縮され、離職後約1か月半で支給開始が可能に。ただし、5年以内に3回以上自己都合退職した場合は3か月の制限期間が適用されます。
- 教育訓練による給付制限解除:離職前1年以内または離職後に厚生労働省指定の教育訓練(2025年4月1日以降に受講開始)を受けた場合、給付制限が解除され、7日間の待機期間後に即時支給が可能。対象は教育訓練給付の対象講座や厚生労働省令で定める訓練。
- 就業促進手当の変更:就業手当(不安定な職に就いた場合の手当)は廃止され、就業促進定着手当(賃金低下時の手当)の追加支給上限が30%から20%に引き下げ。早期再就職時の基本給付は維持。
申請手続き
失業手当の申請は、以下の手順で行います
- ハローワークへ登録:離職後、速やかに最寄りのハローワークで求職申込みを行い、離職票を提出します。
- 初回説明会:ハローワークで開催される雇用保険説明会に参加し、受給資格の確認や手続きの説明を受けます。
- 求職活動の実績:4週ごとに認定日にハローワークで求職活動の実績を報告。活動実績には、求人応募、職業相談、セミナー参加、教育訓練受講(2025年4月以降はこれも対象)が含まれます。
- 支給:認定後、指定の銀行口座に手当が振り込まれます。自己都合退職の場合、改正により約1か月半後に初回支給が開始。
注意点
失業手当を受給する際の注意点を以下にまとめます:
- 申請期限:離職後1年以内に申請しないと受給権が失効します。
- アルバイトの制限:アルバイトを行う場合、収入額や労働時間によっては手当が減額または支給停止になる場合があります。
- 教育訓練の活用:2025年4月以降、給付制限解除を目的に教育訓練を受講する場合は、受講開始後にハローワークへ申告が必要。
- 虚偽報告:求職活動の実績を偽ると、不正受給として返還や罰則が科される可能性があります。
まとめ
失業手当は、失業中の生活を支える重要な制度です。2025年4月の改正により、自己都合退職者の給付制限期間が1か月に短縮され、教育訓練受講による制限解除が導入されたことで、より早く経済的支援を受けられるようになりました。詳細な条件や手続きはハローワークで確認し、早めの申請と準備を行うことが重要です。