MVNOにおけるeSIM対応状況

MVNOにおけるeSIM対応状況

eSIMとは

eSIM(嵌入型SIM)は、物理的なSIMカードを必要とせず、デバイスに内蔵されたデジタルSIMを利用して通信サービスを有効化する技術です。日本のMVNO(仮想移動体通信事業者)においてeSIMの採用が進んでおり、多くの事業者が対応していますが、一部では対応していない場合や新規受付を終了している場合があります。以下では、eSIMに対応している主要なMVNOと対応していないMVNOを詳しく紹介します。

eSIMに対応している主要なMVNO

多くの日本のMVNOがeSIMを提供しており、データ通信専用プランや音声通話付きプランが利用可能です。以下は、eSIMに対応している代表的なMVNOの例です。

  • IIJmio: IIJmioは、NTTドコモの回線を利用したeSIMプランを提供しています。データ通信専用プランや音声通話付きプランがあり、柔軟なデータ容量オプションが特徴です。特に、プリペイド型のeSIMは訪日外国人にも利用しやすく、オンラインで簡単にアクティベーションが可能です。
  • mineo: mineoは、ドコモ、au、ソフトバンクの3つの回線を選択可能なMVNOで、eSIMに対応したプランを提供しています。データシェアやパケット繰り越しなど、ユーザビリティの高いサービスが特徴です。eSIMの設定もアプリやウェブからQRコードをスキャンして簡単に行えます。
  • 楽天モバイル: 楽天モバイルは、独自の4G/5Gネットワークを活用したeSIMプランを提供しています。無制限データプランが特徴で、eSIMのアクティベーションも楽天のアプリを通じてスムーズに行えます。特に、都市部での高速通信を求めるユーザーに人気です。
  • U-mobile: U-mobileはeSIM対応のプランを提供しており、短期利用向けのプリペイドプランが訪日旅行者に適しています。NTTドコモの回線を使用し、安定した通信品質を提供します。
  • Sakura Mobile: 主に訪日外国人向けに特化したMVNOで、eSIMを利用したデータ通信プランを提供しています。ドコモやauの回線を使用し、観光地での高いカバレッジが特徴です。英語サポートも充実しています。
  • NUROモバイル: NUROモバイルは、2023年度上期からeSIMの提供を開始しました。ドコモ、au、ソフトバンクのトリプルキャリアに対応し、データ通信プランや音声通話プランでeSIMを利用可能です。オンラインでの申し込みから最短翌日で利用開始でき、動作確認済み端末リストも定期的に更新されています。
  • BIGLOBEモバイル: BIGLOBEモバイルは、eSIMに対応しており、タイプD(ドコモ回線)で利用可能です。eSIMプロファイルをダウンロードすることで、SIMカードの配送不要で最短即日開通が可能です。動作確認済み端末の確認 が必要ですが、オンラインでの手続きがスムーズで、訪日旅行者や短期利用者にも適しています。
  • J:COM MOBILE: J:COM MOBILEもeSIMに対応しており、au回線を利用したプランを提供しています。eSIMの導入により、物理SIMカードの交換が不要で、オンラインでのアクティベーションが可能です。特にJ:COMの既存顧客にとって、サービス統合の利便性が向上しています。

eSIMに対応していないMVNO

eSIMに対応していないMVNOは限られていますが、新規受付を終了している事業者やeSIMの導入が進んでいない事業者が存在します。以下は、eSIMに対応していない代表的なMVNOの例です。

  • OCN モバイル ONE: OCN モバイル ONEは、コストパフォーマンスに優れたプランで知られていましたが、2023年6月26日をもって新規申し込み受付を終了しました。現時点でeSIMの提供は行っておらず、既存ユーザー向けの物理SIMカードのみのサービスが継続されています。eSIMを希望する場合は、他のMVNOを検討する必要があります。

eSIM対応のメリットと注意点

eSIM対応のMVNOを選ぶメリットは、物理SIMカードの交換が不要で、オンラインでの即時アクティベーションが可能な点です。特に、訪日旅行者や短期滞在者にとって、空港や店舗での手続きを省略できるのは大きな利点です。また、複数のキャリアプロファイルをデバイスに保存できるため、柔軟な通信環境を構築できます。

しかし、eSIMを利用するには、デバイスがeSIMに対応していること、かつキャリアロックが解除されている必要があります。たとえば、iPhone XR以降やSamsung Galaxy S20以降のモデルはeSIMに対応していますが、中国本土や香港・マカオで購入した一部のデバイスは非対応の場合があります。購入前にデバイスの互換性を確認することが重要です。また、NUROモバイルやBIGLOBEモバイルでは、EID(eSIM識別番号)の正確な入力が必要であり、誤入力の場合はプロファイル再発行に手数料がかかる場合があります。

まとめ

日本のMVNOにおけるeSIM対応状況は、2025年7月時点で大きく進展しています。IIJmio、mineo、楽天モバイル、U-mobile、Sakura Mobileに加え、NUROモバイル、BIGLOBEモバイル、J:COM MOBILEもeSIMに対応しており、データ通信や音声通話のニーズに応じたプランが提供されています。一方で、OCN モバイル ONEは新規受付を終了しており、eSIMの提供も行っていません。eSIMを利用する際は、デバイスの互換性、回線のカバレッジ、サポート体制を事前に確認し、自分の利用シーンに最適なMVNOを選ぶことが重要です。