「楽天モバイルは値上げしない」
2025年9月30日、楽天グループの三木谷浩史代表取締役会長兼社長は、記者会見で楽天モバイルの料金値上げについて明確に「我々は値上げはしない」と明言しました。この発言は、物価高や円安によるコスト増大の厳しい経済環境下でなされたものであり、ユーザーからの強い支持を集めています。三木谷氏はさらに、「楽天だけが低価格×無制限に挑戦し続ける」と強調し、他社との差別化をアピールしました。
【楽天モバイル】プレスカンファレンス ダイジェスト映像
発言の背景とタイミング
この発言は、楽天グループの最新の記者会見で行われました。近年、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクなどの大手キャリアが相次いで料金プランの値上げを実施する中、楽天モバイルは価格競争力を維持するための戦略を堅持しています。2025年5月や8月の決算説明会でも、三木谷氏は「現段階では大きな値上げは考えていない」と繰り返し述べていましたが、今回の発言はより強い決意を示すものとなりました。特に、現在の日付である2025年9月30日というタイミングで、コスト増の影響が顕著になる中で据え置きを宣言した点が注目されています。
値上げしない理由：コスト優位性
三木谷氏によると、楽天モバイルが値上げを避けられる最大の理由は、革新的な技術によるコスト削減です。楽天モバイルは、世界で初めて完全仮想化クラウドネイティブのモバイルネットワークを商用化しており、これにより従来型のネットワークに比べて設備投資を約4割、事業運営費を約3割削減できています。また、Open RAN技術やAIの活用により、オペレーションコストを大幅に抑えています。これらの技術投資が、値上げなしでサービスを維持するための基盤となっています。
値上げしない理由：エコシステムの収益拡大
もう一つの鍵は、楽天グループ全体のエコシステムです。三木谷氏は、楽天モバイル契約者が楽天市場での購買額が非契約者に比べて約47.6%高いというデータを挙げ、モバイルがグループ全体の収益を押し上げていると説明しました。モバイルを入り口として、Eコマース、金融サービスなどのクロスセルを強化することで、通信料金以外の収益源を拡大。値上げに頼らずとも、持続可能なビジネスモデルを構築しているのです。この戦略は、ユーザーにとって低価格を維持しつつ、楽天経済圏のメリットを最大化するものです。
今後の展望とユーザーへの影響
三木谷氏の明言により、楽天モバイルは年内1000万回線達成の目標に向け、価格優位性を武器に契約者獲得を加速させるでしょう。ユーザーにとっては、無制限データ通信を低価格で享受し続けられる安心感が生まれます。ただし、三木谷氏は「総合的な判断をしながら考えていく」とも述べているため、将来的な状況変化には注意が必要です。この発言は、楽天モバイルのユーザー中心主義を象徴するものであり、競争激化の市場で同社のポジションをさらに強固なものにするでしょう。
