暫定税率が年内廃止で大筋合意、ガソリン代はどう変わる?

暫定税率 年内廃止で大筋合意について
暫定税率廃止でガソリン代はどう変わる?見やすい解説

暫定税率 年内廃止で大筋合意について

2025年10月29日、ガソリン税に上乗せされる暫定税率の廃止に向けた与野党協議が大きな進展を見せました。自民党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、公明党、共産党の6党実務者が参加した協議で、廃止時期を年内(2025年12月以内)とする方向で大筋合意に至りました。これにより、ガソリン価格の負担軽減が現実味を帯びてきました。本記事では、この合意の背景、内容、影響、今後の課題について詳しく解説します。

暫定税率とは何か?その歴史と問題点

暫定税率は、ガソリン税の本則税率(1リットルあたり28.7円)に上乗せされる税率で、1リットルあたり25.1円が課されています。この制度は1974年(昭和49年)に道路整備の財源確保を目的に導入され、当初は「暫定」として位置づけられていましたが、財政事情の厳しさから長年にわたり維持されてきました。現在、ガソリンの全国平均価格(約184円/L)の中で、税金分が全体の約40%を占めるほどです。

問題点として、ガソリン価格の高騰が家計や物流業界に負担を強いる点が挙げられます。特に、2022年以降のウクライナ情勢による原油高で、トリガー条項(ガソリン価格が160円/Lを超えた場合に暫定税率を停止する仕組み)が凍結されたまま発動されず、国民の不満が高まっていました。廃止により、世帯当たりの年間ガソリン費負担が約9,670円減少する試算もあります。

今回の合意の詳細と経緯

協議は10月29日に実施され、焦点となった廃止時期について、自民党が当初想定していた2026年廃止から譲歩し、年内廃止を目指すことで大筋合意しました。自民党の小野寺五典税調会長は「年内の廃止も視野に、これからの努力をしていくことが確認された」と述べています。

具体的な実施スケジュールは以下の通りです:

  • 11月13日開始:ガソリン補助金を段階的に増額(3回に分けて実施)。
  • 12月11日:補助金が暫定税率分(25.1円)と同水準に到達し、実質的な廃止効果を発揮。
  • 年内正式廃止:次回協議(10月31日)で正式合意を目指し、税制改正に反映。

この合意は、国民民主党の「手取りを増やす」政策主張を受け入れたもので、石破茂政権下での与野党協力の象徴となります。立憲民主党をはじめとする野党側が強く主張した結果、自民党の方針転換が実現しました。

国民・経済への影響

廃止により、ガソリン1リットルあたりの価格が約25円低下すると見込まれ、消費者にとっては即時的な負担軽減となります。例えば、月間50リットル使用する家庭では、年間約1万5千円の節約効果があります。物流業界や運送業も燃料費削減により、物価上昇の抑制に寄与するでしょう。

一方で、ガソリンスタンドでの販売混乱(価格低下直後の客殺到)や、脱炭素社会への逆行(化石燃料消費増加の懸念)も指摘されています。政府は補助金の出口戦略として位置づけていますが、消費者からは「もっと早く廃止を」との声も上がっています。

今後の課題:代替財源の確保

最大の課題は、廃止による税収減です。国と地方合わせて年間約1兆5,000億円の減収が見込まれ、道路整備などの財源が影響を受けます。自治体からは代替財源の確保を求める声が強く、10月31日の次回協議で具体策を詰める方針です。石破首相は「財源確保が実施の条件」と強調しており、消費税増税や他の税目見直しが議論される可能性があります。

正式合意後、令和7年度税制改正大綱に反映され、2026年度からの本格運用が予定されます。与野党の協力が続けば、早期実現が期待されますが、財政健全化とのバランスが鍵となります。

この合意は、物価高対策として国民生活に直結する重要な一歩です。最新の動向は今後も注視していきましょう。

暫定税率廃止でガソリン代はどう変わる?見やすい解説

2025年10月29日の与野党合意により、ガソリン税の暫定税率(25.1円/L)が年内廃止へ。これにより、ガソリン1リットルあたり約25円安くなる見込みです。家計や事業者の負担軽減効果を、シンプルに解説します。

現在のガソリン税の内訳

  • 本則税率: 28.7円/L(残る)
  • 暫定税率: 25.1円/L ← 廃止対象
  • 地方税: 5.2円/L(残る)

合計53.8円 → 廃止後は28.7円に減少

ガソリン代はどれだけ安くなる?(年間節約額)

ユーザー 月間使用量 年間節約
軽自動車(通勤) 30L 約9,000円
普通車(家族用) 50L 約15,000円
長距離ユーザー 80L 約24,000円
運送業(2tトラック) 500L 約150,000円

値下げのスケジュール

  • 11月13日〜:補助金で段階的値下げ開始
  • 12月11日:補助金25.1円/L到達 → 実質25円安
  • 年内:税制改正で正式廃止

注意点

  • 原油高で元値が上がれば相殺される可能性
  • 地域やスタンドにより値下げ幅に差
  • 政府は「最低25円安」を保証

結論:12月中旬以降、給油時に「約25円/L安い」ことを実感できます。家計の節約、物流コスト削減、物価抑制に直結する大きな一歩です。