UAE、イランへの軍事行動を検討 湾岸諸国が受けた攻撃と各国の対応

UAEのイラン攻撃検討の概要

アラブ首長国連邦(UAE)は、中東地域の緊張が高まる中で、イランからのミサイルおよびドローン攻撃に対する対応として、軍事的な措置を検討していると報じられています。この検討は、UAEが戦争に直接関与していないにもかかわらず、多数の攻撃を受けている背景に基づいています。

イランからの攻撃の背景と詳細

UAE国防省の発表によると、イランはUAEに対して186発の弾道ミサイルを発射し、そのうち172発を撃墜、13発が海に落下し、1発がUAE領内に着弾しました。また、812機のドローンを検知し、755機を撃墜、57機が国内に着弾しました。これらの攻撃により、3人の外国人労働者が死亡し、約70人が負傷しています。攻撃は民間インフラや石油・ガス施設を標的にしており、迎撃されたミサイルの残骸がドバイのジェベル・アリ港で火災を引き起こしたり、パーム・ジュメイラの豪華ホテルにドローンが命中したりしています。さらに、UAEは戦争開始以来、イランから800発以上の発射物を受けているとされています。

UAEの検討内容

イスラエルのチャンネル12の報道によると、UAEの意思決定に関する情報源は、UAEがイランのミサイルおよびドローン攻撃を止めるための軍事行動を検討していると述べています。具体的に、UAEはイランのミサイルサイトに対する攻撃を考慮しており、これは「積極的な防御措置」として位置づけられています。3月3日のAxiosの報道でも、UAE政策議論に詳しい2つの情報源が、UAEがイランのミサイルおよびドローン攻撃を止めるための軍事行動を検討中であると伝えています。情報源の一人は、「UAEはイランに対する積極的な防御措置を検討している。戦争に一切関与していないにもかかわらず、800発の発射物を受けている」と語っています。

UAEの公式声明と対応

UAE外務省の声明では、イランのミサイル攻撃を国家主権の侵害および国際法違反として強く非難し、地域の影響を受けた国々との連帯を強調しています。UAEは自衛権を留保し、領土、主権、国家安全保障を守るための対応を取る権利を有すると述べていますが、繰り返されるイラン攻撃に対する防御姿勢を変更する決定は取っていないと明言しています。また、UAE大統領の外交政策顧問であるアンウォル・ガルガシュ氏は、X上でイランの攻撃を「誤算」と呼び、「イランを重要な局面で孤立させるだけだ」と指摘しています。UAEは外交的解決を呼びかけ、危機克服のための対話を有効な手段として位置づけています。

地域的な文脈

この検討は、イランがUAEを含む湾岸諸国に対して攻撃を拡大している中で生じています。イランは米国およびイスラエルの攻撃に対する報復として、UAE、バーレーン、クウェート、カタール、オマーン、サウジアラビア、イラクなどの国々にミサイルおよびドローンを発射しています。これにより、カタールは液化天然ガスの生産を停止し、欧州のガス価格が急騰するなどの影響が出ています。UAEはこれらの攻撃に対し、国際法に基づく自衛権を主張しつつ、現在のところ攻撃的な軍事行動の公式発表は行っていません。

イランから攻撃を受けた他の国の対応状況

イランからのミサイルおよびドローン攻撃を受けた他の国々は、主に湾岸諸国や近隣国で、米国やイスラエルへの報復として標的にされています。これらの国々は、攻撃を強く非難し、迎撃措置を取るとともに、自衛権を留保する声明を出しています。以下に、主な国々の対応を挙げます。

バーレーンは、イランの攻撃を主権侵害として非難し、70発の弾道ミサイルと59機のドローンを撃墜したと発表しています。バーレーン国防省は、これらの攻撃が民間インフラに損害を与えたと述べ、米国海軍の第5艦隊が駐留する施設も標的となったことを指摘しています。バーレーンは、攻撃の継続に対する応答権を留保しています。

クウェートは、イランのミサイルおよびドローンを撃墜し、国際空港や石油施設への被害を報告しています。クウェート国防省は、米国軍用機の誤撃墜が発生したものの、乗員は生存したと発表しました。また、米国大使館が閉鎖され、非緊急要員の退去が命じられています。クウェートは、イランの攻撃を「無差別で無謀」と非難する共同声明に参加し、自衛のための対応権を主張しています。

カタールは、液化天然ガスの生産を停止し、7発の弾道ミサイルと5機のドローンを撃墜したと報告しています。カタール外務省報道官は、「この攻撃に対しては代償を払わせる必要がある」と述べ、イランの行動が湾岸諸国との関係に疑念を生じさせたと指摘しています。カタールは、米国軍事基地が駐留する中、非緊急要員の退去を命じ、攻撃を非難する共同声明に参加しています。

オマーンは、ドゥクム港へのドローン攻撃を受け、石油タンカーへの被害を報告しています。オマーンは、イランの攻撃を非難する共同声明に参加し、民間人やインフラへの影響を強調していますが、軍事的な報復については公式に言及していません。

サウジアラビアは、リヤドやラス・タヌラ製油所への攻撃を受け、製油所の操業を部分的に停止しました。サウジアラビア外務省は、イランの行動を「露骨なイランによる侵略」と呼び、応答権を留保すると警告しています。また、米国大使館が閉鎖され、攻撃を非難する共同声明に参加しています。

イラクは、クルディスタン地域を含む領土への攻撃を受け、ミサイルを撃墜しました。イラクは、イランの行動を主権侵害として非難し、非緊急の米国要員の退去を命じています。

ヨルダンは、領空を通過するミサイルを撃墜し、攻撃を非難する共同声明に参加しています。ヨルダンは、民間人を危険にさらす行為としてイランの行動を批判しています。

これらの国々は、米国とともにイランの攻撃を「無差別で無謀」とする共同声明を発出し、地域の安定を脅かす行為として強く非難しています。