スタジアム・アリーナ21拠点:スポーツ庁が選定した「多様な世代が集う交流拠点」

令和7年度「多様な世代が集う交流拠点としてのスタジアム・アリーナ」の選定概要

経済産業省とスポーツ庁は、2025年12月24日に令和7年度の「多様な世代が集う交流拠点としてのスタジアム・アリーナ」の選定結果を発表しました。この選定は、まちづくりや地域活性化の核となるスタジアム・アリーナの実現を目指す「スタジアム・アリーナ改革」の一環として行われました。

選定の背景と目的

この取り組みの背景には、スタジアム・アリーナを改革のモデルとして位置づけ、2025年までに20拠点を実現するという目標があります。令和6年度までに累計21拠点が選定されており(うち目標に含まれる「運営・管理段階」または「設計・建設段階」の施設は19拠点)、令和7年度では構想・計画段階から進展した2拠点が新たな段階で再選定されました。これにより、目標の20拠点を達成した形となります。目的は、多様な世代が集う交流拠点を創出することで、地域の活性化を図ることです。

令和6年度までに選定された21拠点一覧

以下は、令和6年度までに選定された合計21拠点です。これらは「運営・管理段階」または「設計・建設段階」の19拠点と「構想・計画段階」の2拠点に分かれています(スポーツ庁公表資料に基づく)。

運営・管理段階又は設計・建設段階の施設(19拠点)

  1. ES CON FIELD HOKKAIDO【北海道北広島市】
  2. FLAT HACHINOHE【青森県八戸市】
  3. オープンハウスアリーナ太田(太田市総合体育館)【群馬県太田市】
  4. TOKYO A-ARENA(仮称)【東京都江東区】
  5. 横浜文化体育館再整備事業【神奈川県横浜市】
  6. 川崎新アリーナ(仮称)【神奈川県川崎市】
  7. 等々力緑地 球技専用スタジアム、新とどろきアリーナ【神奈川県川崎市】
  8. 愛知県新体育館【愛知県名古屋市】
  9. 京都府立京都スタジアム(サンガスタジアム by KYOCERA)【京都府亀岡市】
  10. 桜スタジアム(大阪市立長居球技場)【大阪府大阪市】
  11. 東大阪市花園ラグビー場【大阪府東大阪市】
  12. ノエビアスタジアム神戸(神戸市御崎公園球技場)【兵庫県神戸市】
  13. FC今治新スタジアム【愛媛県今治市】
  14. ミクニワールドスタジアム北九州(北九州スタジアム)【福岡県北九州市】
  15. SAGAアリーナ【佐賀県佐賀市】
  16. 長崎スタジアムシティ【長崎県長崎市】
  17. 沖縄アリーナ【沖縄県沖縄市】
  18. エディオンピースウイング広島【広島県広島市】
  19. 富山市総合体育館【富山県富山市】

構想・計画段階の施設(2拠点)

  1. アイシンアリーナ(仮称)【愛知県安城市】
  2. 神戸アリーナ(仮称)【兵庫県神戸市】

令和7年度に選定された施設の詳細(進展による再選定)

三河安城交流拠点(愛知県安城市)

旧称:アイシンアリーナ(仮称)。シーホース三河株式会社が設立した建設募金団体が資金を調達し、株式会社アイシンの工場跡地にアリーナを建設した後、安城市に寄贈(負担付き寄附)し、三河アリーナ株式会社が運営・管理を行います。企業福利厚生目的から地域課題対応への移行、民間主導による地方アリーナ建設のモデル性、エリアマネジメントを目指す運営姿勢が評価されています。

GLION ARENA KOBE(兵庫県神戸市)

旧称:神戸アリーナ(仮称)。神戸市から貸与された土地にNTT都市開発株式会社がアリーナを建設し、株式会社スマートバリューと株式会社NTTドコモが出資した株式会社One Bright KOBEが運営・管理を担います。神戸ストークスとの一体経営、貸館と自主事業のバランス、非興行日の活用による賑わい創出と売上増加を目指す柔軟な経営方針が投資回収に寄与する点が高く評価されています。

今後の展望

これらの選定により、スタジアム・アリーナが多様な世代の交流拠点として機能し、地域活性化に大きく寄与することが期待されます。経済産業省とスポーツ庁は、引き続き改革を推進していきます。

総括

令和7年度の選定により、「多様な世代が集う交流拠点としてのスタジアム・アリーナ」は合計21拠点となり、2017年から掲げられてきた「2025年までに20拠点実現」という政府目標を完全に達成しました。この成果は、スタジアム・アリーナ改革の大きなマイルストーンであり、単なる施設数の増加にとどまらず、民間活力の積極的な活用、地域課題解決へのシフト、エリアマネジメントの推進といった先進的な取り組みが全国に広がったことを象徴しています。

選定された施設群は、北海道から沖縄まで日本各地に点在し、多様な立地特性や運営形態を反映しながら、スポーツイベントの開催拠点を超えて、家族・地域住民・観光客が日常的に集う「まちの核」としての役割を果たすモデルとなっています。特に、令和7年度に再選定された三河安城交流拠点とGLION ARENA KOBEは、民間主導の資金調達・運営、プロチームとの一体型ビジネス、非興行日の多目的活用といった点で、今後の地方における持続可能な施設整備の好事例となるでしょう。

経済産業省とスポーツ庁は、これらの拠点を起点に、さらなる支援・情報発信を強化し、スタジアム・アリーナが地域経済の活性化、健康増進、防災機能向上、スポーツ産業の成長に不可欠なインフラとして定着することを目指します。目標達成はゴールではなく、新たなスタートです。今後、全国のスタジアム・アリーナが「スポーツコンプレックス」として進化し、より包括的なまちづくりを支えていくことが強く期待されます。