イラン情勢によるガソリン価格急騰と日本政府の補助金再開措置
2026年3月、イラン情勢の悪化に伴う原油価格の高騰が日本国内のガソリン価格に深刻な影響を及ぼしています。日本政府はこれに対応するため、ガソリン補助金の再開を決定しました。この措置は、国民の生活と経済活動を守るための緊急的な対応として位置づけられています。
背景:イラン情勢と原油価格の高騰
アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃をきっかけに、原油価格が急騰しています。原油価格は一時1バレルあたり120ドルに迫る水準となり、国内のガソリン価格が1リットルあたり200円を超える可能性が指摘されています。資源エネルギー庁の発表によると、3月9日時点のレギュラーガソリンの全国平均小売価格は161円80銭で、4週連続の上昇を記録しています。
政府の発表と補助金の再開日程
高市早苗首相は3月11日、ガソリン補助金の再開を発表しました。補助金は3月19日出荷分から適用され、店頭価格への反映は1~2週間程度かかると見込まれています。この措置は、2025年12月末に廃止された補助金をわずか2カ月余りで復活させるものです。
補助金の仕組みと対象範囲
補助金は石油元売り各社に支給され、全国平均小売価格が170円を超える見込みとなった場合、その超過分を全額補助する形で実施されます。これにより、レギュラーガソリンの価格を170円程度に抑制する方針です。対象はガソリンだけでなく、軽油、重油、灯油、航空機燃料にも及びます。軽油については約158円、重油は105円を超えないよう調整されます。
財源と追加措置:石油備蓄の放出詳細
財源には、燃料油価格激変緩和対策基金の残高約4000億円(2月末時点)が活用されます。また、補助金再開と並行して、3月16日から石油備蓄の単独放出を開始します。放出は国際エネルギー機関(IEA)の協調放出決定を待たずに日本独自で実施される異例の対応です。
放出の詳細は以下の通りです。まずは民間備蓄15日分を先行して放出します。民間備蓄は石油備蓄法に基づき、石油精製業者などが義務保有するもので、義務量を一時的に引き下げて市場に供給可能とします。これにより、機動性が高く、比較的短期間で石油製品を供給できます。
続いて、国家備蓄から当面1カ月分(30日分)を放出します。国家備蓄は全国10カ所の基地(岩手、福井、福岡など)で保管されており、随意契約により石油元売り大手へ安価で売り渡す予定です。これにより、価格高騰を抑えつつ迅速な供給を目指します。国家備蓄の放出は3月下旬から4月上旬にかけて本格化する見込みで、精製に1~2週間を要します。
合計放出量は民間備蓄15日分と国家備蓄30日分を合わせて約8000万バレル(過去最多の45日分相当)で、2022年のウクライナ侵攻時(2250万バレル)を大きく上回ります。産油国との共同備蓄(7日分)も迅速に活用する方針です。日本の総備蓄量は2025年末時点で254日分(国家備蓄146日分、民間備蓄101日分、産油国共同備蓄7日分)です。
今後の見通しと影響
政府は中東情勢の長期化を考慮し、支援の在り方を柔軟に検討するとしています。基金残高が底をつくリスクも指摘されており、3月19日以降の補助金適用で1カ月あたり2300億~2500億円が必要になる可能性があります。この措置は、ガソリンスタンド利用者からの不安の声に応える形で、家計負担の軽減を目指しています。
