自民党と日本維新の会の連立合意:日本維新の会が提示した12の政策要求に対する自民党の対応
2025年10月20日、自民党(高市早苗総裁)と日本維新の会(吉村洋文代表)は連立政権の樹立で合意し、維新が提示した12項目の政策要求を基盤に「閣外協力」の形式で政権運営を進めることで一致しました。維新の要求は多岐にわたり、経済、統治機構、政治改革など幅広い分野をカバーしています。合意文書では、両党の価値観が一致する点(特に憲法改正や外交・安全保障)を強調しつつ、個別項目について実現期限や協議方針を明記。自民党は維新の要求を「ほぼ丸のみ」する形で受け入れ、政策実現に向けた協議体を設置しましたが、一部項目(例: 政治改革の企業・団体献金廃止)では即時合意に至らず、継続協議とされています。以下、各項目の要求内容と自民党の対応を詳述します。
1. 経済財政政策
維新の要求: 消費税の軽減税率拡大(特に食料品を0%)、行政改革による歳出削減で経済活性化。
自民党の対応: 部分的に受け入れ。食料品0%は財政負担を理由に即時実施せず、2026年4月から軽減税率対象品目を段階的に拡大。完全0%は継続協議。財源は行政改革(公共事業見直し、デジタル化推進)で確保。
2. 社会保障政策
維新の要求: 年金制度の持続可能性確保のため、受給開始年齢見直しと私的年金奨励。
自民党の対応: 受け入れ。高市政権の社会保障改革の柱とし、実現に向けた協議を進める。具体的な法改正スケジュールは今後決定。
3. 皇室・憲法改正・家族制度等
維新の要求: 憲法改正(自衛隊明記、緊急事態条項創設)を優先、皇室制度や家族制度の議論。
自民党の対応: 受け入れ。憲法改正で価値観一致、国民投票に向けた議論を加速。皇室・家族制度は継続協議。
4. 外交安全保障政策
維新の要求: 日米同盟深化、防衛力強化(防衛費GDP比2%の早期達成)、積極外交。
自民党の対応: 受け入れ。防衛力強化と日米同盟深化で一致。具体策は協議体で検討。
5. インテリジェンス政策
維新の要求: 情報収集・分析体制強化、インテリジェンス機関設置の検討。
自民党の対応: 受け入れ。安全保障強化の一環として情報体制整備を進める。具体策は今後協議。
6. エネルギー政策
維新の要求: 原発再稼働推進、再生可能エネルギーとのバランス、2050年カーボンニュートラル。
自民党の対応: 受け入れ。2050年カーボンニュートラルに向けたロードマップ策定で一致。原発・再生エネの具体策は協議継続。
7. 食料安保・国土政策
維新の要求: 食料自給率向上(50%目標)、国土強靭化、地方創生。
自民党の対応: 受け入れ。食料自給率向上策とインフラ整備を推進。具体的な計画は今後協議。
8. 経済安保政策
維新の要求: 重要技術保護、サプライチェーン強靭化(半導体・AI育成)。
自民党の対応: 受け入れ。経済安全保障推進法の改正と予算措置を検討。具体策は協議継続。
9. 人口政策・外国人政策
維新の要求: 少子化対策(子育て支援拡充)、外国人受け入れルール明確化。
自民党の対応: 受け入れ。子育て支援拡充と外国人政策の「適正管理」ルール整備を進める。具体策は今後協議。
10. 教育政策
維新の要求: 幼児から大学までの無償化拡大、デジタル教育推進、所得制限撤廃。
自民党の対応: 受け入れ。奨学金拡充とデジタル教材導入を推進。具体的なスケジュールは協議中。
11. 統治機構改革
維新の要求: 国会議員定数1割削減、行政デジタル化、歳出5兆円削減。
自民党の対応: 受け入れ。議員定数削減の法案提出とデジタル庁強化を推進。具体的な期限は今後協議。
12. 政治改革
維新の要求: 企業・団体献金禁止、政治資金規正法改正。
自民党の対応: 受け入れず。即時廃止は党内抵抗で拒否、献金上限引き下げと公開義務強化で妥協。継続協議。
総括: 自民党は維新の12項目のうち、11項目を全面的または部分的に受け入れ、実現に向けた具体的な期限や協議方針を明示しました。唯一、政治改革(企業・団体献金廃止)のみ即時合意に至らず、継続協議とされています。この合意により、維新の政策の多くが政権運営に反映される見込みですが、一部項目では自民党内の抵抗や財政的制約が課題となる可能性があります。
