日銀の為替介入に向けたレートチェック実施の可能性
2026年1月23日の東京外国為替市場では、円相場が急激に変動しました。日銀の金融政策決定会合後の記者会見を受けて一時159円台前半まで円安が進んだ後、短時間で157円台前半まで円高に転じました。市場では日銀が為替介入の準備としてレートチェックを実施したとの見方が広がっています。この出来事は、政府・日銀の為替政策への関心を高めています。
市場での相場変動の詳細
同日午後4時半頃、日銀の植田和男総裁の会見で追加利上げの可能性を示唆しなかったことから、円相場は159円20銭台まで下落しました。しかし、約10分後には157円30銭台まで約2円の円高が進みました。午後5時の取引終了時には、前日比40銭円高の158円37~40銭で引けました。この急変動は、市場参加者に為替介入の警戒感を強めました。
レートチェックの観測と市場の見方
市場関係者からは、日銀が金融機関に為替相場水準を照会するレートチェックを行った可能性が指摘されています。この行為は、為替介入の直前に行われることが多く、介入実施への準備段階として認識されています。急激な円高の動きが一時的で、すぐに158円台に戻った点から、実際の介入ではなくレートチェックにとどまったとの分析もあります。
政府・日銀の公式対応
片山さつき財務相は同日夕方、記者団に対し、レートチェックや為替介入の有無について「答えられない」と述べ、為替相場の動向を「常に緊張感を持って見守っている」とコメントしました。三村淳財務官も同様に回答を避けました。これらの発言は、市場の観測を直接否定も肯定もしない姿勢を示しています。
レートチェックの仕組みと役割
レートチェックとは、日銀が主要金融機関に為替取引の状況や水準を尋ねる作業です。通常の情報交換とは異なり、取引を前提とした照会で、折り合いがつかなければキャンセルされます。為替介入は財務省が判断し、日銀が実務を担いますが、レートチェックは介入前のけん制や準備として機能します。
レートチェックの歴史的背景
レートチェックは、変動相場制移行後の日本で為替介入の準備手段として長年用いられてきた手法です。政府・日銀が市場に介入の可能性を強く示唆し、相場の過度な変動を抑止するためのけん制ツールとして位置づけられています。特に、円高・円安の極端な進行局面で頻繁に観測されており、1990年代後半から2000年代の円高是正介入(例:2003~2004年の大規模円売り介入)や、2011年の円高対応、2022年の円安是正介入(24年ぶりの円買い介入)などの前段階で実施された事例が複数確認されています。近年では、口先介入の効果が限定的になる中、レートチェックが介入への移行を示すより強いシグナルとして市場で機能しており、2022年9月の円安局面ではレートチェック報道が円の急反発を誘発しました。こうした歴史的蓄積から、レートチェックは当局の「最終的なけん制手段」の一つとして定着しています。
過去の為替介入事例
政府・日銀による公表された最後の介入は、2024年7月の161円台での円買い・ドル売りです。過去にはレートチェックが介入の前段階として行われ、市場に緊張感を与えた事例があります。今回の動きは、1ドル160円台目前での警戒を示すものとして注目されています。
