横浜市、日産スタジアム命名権5年6.5億円で合意!日本全国のスタジアム命名権最新事情

日産スタジアムの命名権の更新合意
日本国内の主なスタジアム命名権の現状

横浜市、日産スタジアムの命名権を5年間総額6億5千万円で更新合意

2025年11月17日、横浜市の山中竹春市長は、横浜国際総合競技場(通称:日産スタジアム)を含む施設群の命名権契約について、日産自動車株式会社との更新で合意に達したことを発表しました。契約期間は2026年3月から2031年2月までの5年間、総額6億5千万円とし、初年度は5千万円からスタートする段階的増額方式となります。この合意は、日産の経営再建状況を考慮しつつ、市民の愛着ある名称継続と財政価値のバランスを図ったものです。

契約更新の背景とこれまでの経緯

日産スタジアムの命名権は2005年3月から日産自動車が保有し、約20年間にわたりスタジアムの認知度向上と地域イベント支援に貢献してきました。現行契約は2021年3月から2026年2月までの5年間で、総額6億円(初め3年:年1億円、最後2年:年1億5千万円)です。この契約には、隣接する日産フィールド小机(陸上競技場)と日産ウォーターパーク(屋内プール)も含まれています。

契約満了を前に、2025年9月上旬に日産から提示された更新案は2026年3月からの1年間、年5千万円の単年契約でした。市は当初これを受け入れる方針を示しましたが、市議会で「安すぎる」との批判が高まり、山中市長は9月26日の会見で担当局に再検討を指示。名称変更時の看板・標識更新費用(約800カ所、推定1億5千万円以上)が課題となり、市民の財産である命名権の価値最大化と「日産スタジアム」の継続を重視する姿勢を強調しました。

その後、日産側との協議を重ね、10月下旬に新たな提案が提示されました。市長は「日産の地域貢献と財政面の両立を図る最適な形」と評価し、11月17日に正式合意を公表。日産の経営再建が進む中での柔軟な条件調整が、合意の鍵となりました。

新契約の詳細と市長の見解

新契約の総額は6億5千万円で、初年度(2026年3月~2027年2月)は5千万円、以降年々増額し最終年度は1億2千万円程度となる見込みです。具体的な内訳は非公表ですが、全体として現行契約を上回る水準です。この合意により、名称変更の混乱を避け、横浜F・マリノスやイベント主催者への影響を最小限に抑えます。

山中市長は会見で、「市民の声を受け、日産との信頼関係を基に粘り強く協議した結果です。『日産スタジアム』の名称がさらに5年継続し、地域のシンボルとして輝き続けることを期待します」と述べました。将来的には、2031年以降の契約について公募を検討する方針で、持続的な収益化を目指します。この決定は、企業とのパートナーシップが自治体財政と地域ブランドに与える重要性を示す事例です。

日本国内の主なスタジアム命名権の現状

日本では、自治体が施設維持費を補うため、スタジアムの命名権(ネーミングライツ)を広く活用しています。2025年現在、Jリーグやプロ野球のホームスタジアムを中心に、企業による大型契約が増加。年間収益は数億円規模に上り、地域活性化ツールとして定着しています。以下に主な事例を挙げ、契約内容を公表情報に基づき概観します。

国立競技場(東京都新宿区)

東京オリンピック・パラリンピック(2021年)のメイン会場。2025年4月から民営化され、「ジャパンナショナルスタジアム・エンターテイメント」による運営。2025年10月、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が命名権を取得予定で、2026年1月からの5年間、総額約100億円(年約20億円)と国内最大級。新名称は11月中旬公表予定で、多目的イベントの収益基盤強化が期待されます。

メルカリスタジアム(茨城県鹿嶋市、旧カシマサッカースタジアム)

鹿島アントラーズのJ1ホームスタジアム。2025年7月から株式会社メルカリが命名権を取得、「メルカリスタジアム(メルスタ)」に改称。3年間総額4億5千万円(年1億5千万円)。デジタルマーケティングとファン体験向上を目的とし、スタジアムのスマート化が進んでいます。

エディオンピースウイング広島(広島市)

2024年開業のサンフレッチェ広島新ホーム。株式会社エディオンが10年間総額10億円(年1億円)で命名権取得。平和をテーマとした名称が特徴で、サッカー専用施設としてJリーグのモデルケース。開業以来、年間来場者100万人超を記録しています。

その他の主な事例

  • ユアテックスタジアム仙台(宮城県仙台市): ベガルタ仙台ホーム。ユアテック株式会社が保有、2025年継続中の年約5千万円。東北地域企業連携の象徴。
  • プライフーズスタジアム(青森県八戸市): ヴァンラーレ八戸ホーム。プライフーズグループ取得、契約額非公表。J3活性化に貢献。
  • ハワイアンズスタジアムいわき(福島県いわき市): いわきFCホーム。常磐興産グループ保有、年約3千万円。復興支援の側面強い。
  • エスコンフィールド北海道(北海道北広島市): 日本ハムファイターズ野球場。エスコンジャパンが35年間総額約600億円。2023年開業、北海道スポーツの新拠点。

これらの事例は、命名権が財政支援を超え、企業CSRと地域振興の融合を示しています。日産スタジアムの更新合意も、このトレンドに沿ったもので、将来的な公募拡大がさらなる競争を促すでしょう。