ニパウイルスの概要
ウイルスとは
ニパウイルス(NiV)は、コウモリ由来の動物由来感染症を引き起こすウイルスです。自然宿主は果実コウモリ(Pteropus種)であり、人間への感染は主に感染した動物や汚染された食品を通じて発生します。このウイルスは、1998年にマレーシアで初めて確認され、以後、バングラデシュやインドなどで散発的な発生が報告されています。
伝播経路
伝播は、感染したコウモリや豚などの動物からの直接接触、またはそれらの唾液、尿、排泄物で汚染された食品を通じて起こります。また、人間から人間への感染は、感染者との密接な無防備な接触、特に医療現場で発生する可能性があります。潜伏期間は平均4日から14日で、最大45日が報告されています。
症状と診断
主な症状
感染者は発熱、咳、呼吸困難、急性脳炎症候群などの症状を示します。重症化すると集中治療や人工呼吸器が必要となり、呼吸器系や神経系の合併症を引き起こす可能性があります。致死率は40%から100%と高く、現地の検知能力や医療管理によって変動します。
診断方法
診断は、体液からの逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)や、急性期および回復期の酵素結合免疫吸着法(ELISA)による抗体検出で行われます。現在、認可されたワクチンや治療薬はありません。
インドでの発生状況
過去の発生
インドでは、2001年と2007年に西ベンガル州で発生が報告され、以降、ケララ州で定期的に確認されています。2018年以降、ケララ州では9回の発生があり、2025年7月までに4例(うち2例死亡)が確認されました。これらのケースは関連性がなく、果実コウモリの存在が感染源の可能性を示唆しています。
最近の確認例
2025年12月から2026年1月にかけて、西ベンガル州で2例の感染が確認されました。これらのケースは医療従事者に関連し、196人の接触者が追跡され、全員が無症状で陰性でした。インド保健省は、迅速な公衆衛生対策により発生を封じ込めたと発表しています。
予防と対策
予防策
ワクチンがないため、予防は曝露の低減に焦点を当てます。コウモリから人間への伝播を防ぐために、ナツメヤシの樹液や新鮮な食品へのコウモリのアクセスを防ぎ、収集した汁を煮沸し、果物を洗浄・皮むきして消費します。コウモリの咬傷痕のある果物は廃棄します。人から人への伝播を防ぐには、感染者との密接接触を避け、手洗いを徹底します。
医療現場での対策
医療現場では、標準的な感染制御措置を実施し、接触・飛沫予防策を講じ、特定の状況で空気感染予防を追加します。サンプルは訓練されたスタッフが適切な設備で扱います。公衆衛生意識の向上と不要な医療訪問の回避が推奨されます。
