高市早苗首相と習近平国家主席の日中首脳会談の概要
2025年10月31日、韓国南東部・慶州で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の機会に、高市早苗日本首相と習近平中国国家主席は初の首脳会談を実施しました。この会談は、高市首相就任後初の習近平氏との対面であり、日中関係の新たなスタートとして注目されました。会談時間は約30分で、両首脳は日中間の「戦略的互恵関係」の推進と「建設的かつ安定的な関係」の構築を確認しました。
会談の背景と日程
日中両政府は、APEC首脳会議に合わせた会談を10月29日頃から調整を開始しました。高市首相は韓国訪問中に、習近平氏との早期対話を望む姿勢を示していました。会談は同日午後5時過ぎに開始され、前政権の石破茂首相が2024年11月にペルーで実施した会談以来、約1年ぶりの首脳レベル対話となりました。高市首相は対中強硬派として知られる一方で、現実的な外交路線を志向しており、中国側も高市新内閣が日中関係を重視していると評価しています。
会談の主な内容と合意事項
両首脳は、共通の利益を拡大するための協力強化を強調しました。具体的な合意点として以下の点が挙げられます:
- 戦略的互恵関係の推進:経済、文化、科学技術などの分野で協力の深化を図り、第三国市場での共同事業を推進。
- 首脳間対話の継続:不安定な国際情勢(例:トランプ米政権の動向)を背景に、定期的な意思疎通チャネルの維持を確認。
- 建設的関係構築:両国間の懸念事項を率直に共有し、安定した関係を目指す方針を再確認。
習近平国家主席は、高市首相の新内閣が日中関係を重視していると評価し、関係発展に向けた意欲を示しました。一方、高市首相は日本側の懸念を明確に伝え、対話の重要性を強調しました。
日本側の懸念表明
高市首相は、習近平氏に対し、以下の日本側の懸念を強く表明しました。これらは、前政権時代に十分に議論されなかった点も含まれており、高市首相の率直な外交姿勢を象徴しています:
- 尖閣諸島を含む東シナ海での中国の海洋進出。
- レアアース輸出規制の撤回。
- 邦人拘束問題と在留邦人の安全確保。
- 南シナ海での中国の行動。
- 香港および新疆ウイグル自治区の人権問題。
- 日本産水産物と牛肉の輸入再開。
- 台湾問題に関する懸念。
これらの表明は、会談後の高市首相の記者団への説明に基づき、具体的な進展は今後のフォローアップで確認される見込みです。
会談の意義と今後の展望
この初会談は、日中関係の安定化に向けた重要な一歩と位置づけられます。高市首相の現実路線が中国側に受け止められた一方で、日本側の懸念を明確に伝えることで、バランスの取れた外交を示しました。今後、両国は首脳間対話を継続し、具体的な協力分野での成果を積み重ねることが期待されます。国際情勢の変動の中で、日中間の信頼構築が地域の平和と繁栄に寄与するでしょう。
