イラン当局がNHKテヘラン支局長を拘束 1月20日から約1カ月、NHKが自ら報道しなかった背景とは

NHKテヘラン支局長の拘束事件について

イランの首都テヘランで、NHKのテヘラン支局長である川島進之介氏が現地当局により拘束されたことが、複数の海外メディアで報じられています。この事件は、現地時間2026年1月20日に発生したとされ、容疑の詳細は明らかにされていません。

拘束の経緯

米政府系メディア「ラジオ自由欧州・ラジオ自由(RFE・RL)」によると、川島氏は2026年1月20日にイラン当局に拘束され、2月23日にテヘラン北部にあるエビン刑務所に移送されたとされています。エビン刑務所は、政治犯やジャーナリストらが収容される施設として知られています。また、他の報道では、拘束の容疑は不明であり、健康状態に問題はないとされています。

日本政府の確認と対応

尾崎正直官房副長官は2026年2月25日の記者会見で、イランのテヘランで日本人1人が現地時間1月20日に当局に拘束されたことを確認したと述べました。政府はプライバシー保護の観点から詳細を明らかにしていませんが、イラン側に対し早期解放を強く求め、本人や家族と連絡を取りつつ支援を行っていると説明しています。外務省によると、本人とは連絡が取れており、健康状態に問題はないとのことです。

NHKの対応

NHK広報局は、常に職員の安全を第一に行動しているとし、現段階でお答えできることはないとコメントしています。

NHKが1月20日の拘束発生から約1か月間、自ら報道しなかった理由

NHKは事件発生直後から詳細を公表しておらず、2月25日に海外メディアの報道が相次いだことで政府が事実を認め、NHKもコメントを出した形となっています。報道が遅れた明確な理由は公式に明かされていませんが、NHKは「職員の安全を最優先」と繰り返し強調しており、現地での交渉や解放に向けた水面下の活動を妨げないための慎重な対応を取っていた可能性が高いです。イラン当局が容疑を明らかにせず、情勢が不安定な中で早期に公表すると、支局長の立場が悪化したり、支局機能の維持が難しくなるリスクを考慮した戦略的判断とみられます。現地メディア関係者や専門家からも、取材拠点を失わないための沈黙が現場では一般的であるとの指摘が出ています。

事件の背景

イランでは2025年12月末から経済悪化などへの不満から大規模な反政府デモが発生しており、当局による取り締まりでジャーナリストを含む数万人が逮捕されています。これまでに外国人ジャーナリストの拘束は報じられていませんが、今回の事件はデモ拡大後の数週間後に起きたとされています。