NewJeansが“敗訴” 「専属契約は有効」
2025年10月30日、韓国の人気ガールズグループNewJeansのメンバー5人が所属事務所ADORとの専属契約をめぐる訴訟で、ソウル中央地裁から「専属契約は有効」とする判決を受け、完全敗訴となりました。この判決により、メンバー側の一方的な契約解除宣言は認められず、事務所への復帰が事実上義務付けられる可能性が高まりました。韓国メディアでは「NewJeans完敗」と報じられ、即日控訴の意向が示されています。以下で、事件の経緯から今後の展望まで詳しく解説します。
事件の背景:HYBEとミン・ヒジン氏の対立から始まった騒動
NewJeansは2022年7月にADOR(HYBE傘下のレーベル)からデビューし、瞬く間にK-POP界のトップスターとなりました。デビュー曲「Attention」や「Hype Boy」が世界的にヒットし、ビルボードチャート1位を獲得するなど、グローバルな人気を博しました。この成功の立役者は、元SMエンターテインメントのクリエイティブディレクターでNewJeansの「生みの親」とされるミン・ヒジン氏です。ミン氏はADORの代表としてグループをプロデュースしていましたが、2024年4月にHYBE側から「経営権奪取の試み」として解任・告発される事態が発生しました。
これに対し、ミン氏はHYBEの「NewJeans模倣疑惑」や「デビュー遅延」を主張し、両者の対立が激化。メンバー5人はミン氏に全幅の信頼を寄せており、HYBEに対しミン氏の復帰を要求する声明を発表しました。しかし、ミン氏の退社が決定した2024年11月、メンバー側はADORとの「信頼関係の完全破綻」を理由に専属契約の解除を一方的に宣言。独立活動を表明し、独自の芸能活動を開始しようとしました。
訴訟の経緯:仮処分から本訴訟へ
ADOR側はこれを「不当な契約破棄」とみなし、2024年12月に専属契約の有効性確認を求める訴訟を提起。さらに、メンバー側の独自活動を禁止する仮処分を申請しました。2025年3月、ソウル中央地裁は仮処分を認め、NewJeansの音楽活動や広告出演などの一切を停止させる決定を下しました。これにより、グループは半年以上にわたり活動休止を余儀なくされ、ファンからは早期再開を求める声が相次ぎました。
本訴訟の審理は2025年7月に終結し、判決期日は10月30日に設定されていました。ADOR側は「契約解除の正当な理由がない」と主張。一方、メンバー側は「信頼関係の破綻が契約解除の法的根拠となる」と反論し、ミン氏解任後の事務所運営の不備を証拠として提出していました。メンバーは民事訴訟のため出廷義務がなく、欠席のまま審理が進みました。
判決の内容:専属契約の有効確認と費用負担
ソウル中央地裁は、ADORの訴えを全面的に認め、「専属契約は有効」とする判決を言い渡しました。裁判所は、メンバー側の主張する信頼関係の破綻を「契約解除の十分な理由とは認められない」と判断。ミン氏の解任がグループ活動に与えた影響を考慮しつつも、契約の法的拘束力を優先した形です。また、訴訟費用はメンバー側が負担するよう命じられました。
この判決により、NewJeansはADORのもとで活動を再開せざるを得ない状況です。契約期間はデビューから7年と仮定すると、2029年7月まで残っており、活動停止の長期化が懸念されます。韓国メディアによると、判決直後、メンバー側の代理人は「裁判所の判断を尊重するが、信頼関係の破綻により正常な活動継続は不可能」とコメントし、即日控訴を決定しました。
今後の展望:控訴審と損害賠償の可能性
控訴審では、事実関係の再検証が期待されますが、専門家からは「1審の判断が覆る可能性は低い」との声が上がっています。弁護士の分析では、控訴審まで約6ヶ月かかり、さらに損害賠償訴訟が発生すれば、残り契約期間の大部分を法廷闘争で費やす恐れがあると指摘されています。ADOR側はすでに、メンバー側の独自活動による損失分を請求する準備を進めている模様です。
一方、ファンや業界からは「NewJeansの才能を無駄にしない解決」を求める意見が強いです。文化評論家の河在根氏は「法的な正当性を勝ち取るまで戦うか、事務所復帰を選ぶかの選択を迫られている」と分析。仮に控訴が棄却されれば、グループの解散やメンバー個別の移籍交渉が現実味を帯びてきます。
影響と反響:K-POP業界への波及
この判決は、K-POPアイドルと事務所の契約問題に一石を投じました。過去の類似事例(例:EXOやGOT7の契約紛争)では、メンバー側の勝訴が稀である中、NewJeansのケースは「信頼関係破綻」の主張が通用しなかった点で注目されています。グローバルファンからは「#FreeNewJeans」のハッシュタグが再燃し、HYBEの経営体制に対する批判も高まっています。
NewJeansの今後がどうなるか、控訴審の行方に注目が集まります。グループの音楽活動が一刻も早く再開されることを願うばかりです。
