NATOによるイラン発射弾道ミサイルの迎撃
2026年3月9日、トルコ国防省は、イランから発射されトルコ領空に入った弾道ミサイルがNATOの空対ミサイル防衛システムにより迎撃されたことを発表しました。この事件は、1週間で2回目の同様の事案となります。
事件の概要
トルコ国防省の声明によると、ミサイルは東地中海に配備されたNATOの防衛資産により無力化され、一部の残骸が南東部のガジアンテプ省に落下しましたが、人的被害はありませんでした。ミサイルはイランから発射され、イラクとシリアの領空を通過した後、トルコ領空に向かったことが確認されています。
NATOミサイル防衛の詳細
NATOの弾道ミサイル防衛(BMD: Ballistic Missile Defense)は、統合空対ミサイル防衛(IAMD)システムとして運用されており、特にイランからの脅威に対応するために構築されています。今回の迎撃では、主に東地中海に展開された海上ベースの資産が使用されました。
これらの資産には、米国海軍のAegis搭載駆逐艦(Aegis Ballistic Missile Defense対応)が含まれ、SM-3ブロックなどの弾道ミサイル迎撃ミサイルを発射して中間段階または終末段階で脅威を無力化します。迎撃は検知から10分以内に実行され、陸上および海上ベースのシステムが連携して軌道を確認・迎撃したとNATO当局が述べています。
また、トルコ国内のKürecikにあるNATO早期警戒レーダー(AN/TPY-2)が脅威の初期検知に寄与し、インジルリク空軍基地周辺の防空体制と連携しています。NATOは事件後、連合全体の弾道ミサイル防衛態勢を強化し、イランの地域攻撃が収まるまで高い警戒レベルを維持すると発表しました。
前回の類似事件
この迎撃は、2026年3月4日に発生した同様の事件に続くもので、その際も東地中海のNATO資産がミサイルを中和しました。これを受けてNATOは防衛態勢を即座に強化していました。ガジアンテプ省は、米軍が駐留するインジルリク空軍基地から約150km、NATOの先進レーダーシステムが設置されたクレチクから約200kmの位置にあります。
トルコと国際的な対応
トルコは、イランを含む関係当事者に対し、地域の安定と民間人を脅かす行動を避けるよう強く警告を発しています。トルコは自国の領土と領空に対する脅威に対しては、必要な措置を断固として取る姿勢を示しています。また、トルコはイランに対する攻撃に基地や領空の使用を許可しておらず、NATOの集団防衛条項(第4条や第5条)の発動を意図していません。
イランの立場
イラン側は即時のコメントを出していませんが、地域諸国との戦争状態にないこと、そしてトルコを標的にしていないことを以前に述べています。
