イラン攻撃でカタール最大LNG(液化天然ガス)施設に深刻な打撃 生産能力17%が長期停止へ

2026年3月19日、イランによるカタールLNG施設攻撃の詳細

2026年3月19日未明、イランによるミサイル攻撃により、カタールのラスラファン工業都市にある液化天然ガス(LNG)生産施設が深刻な被害を受けました。この施設は世界最大規模のLNG輸出拠点として知られ、カタール国営石油大手カタール・エナジーが運営する主要なエネルギー拠点です。カタール・エナジーは攻撃直後に声明を発表し、「甚大な被害」が発生したと明らかにしています。

攻撃の経緯

この攻撃は、イラン国内のブシェール州沖にある世界最大級の天然ガス田「サウスパース」の関連施設が先立つ攻撃を受けたことへの報復とされています。イランは攻撃に先立ち、サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)、カタールの複数の石油・ガス施設に対して避難警告を発しており、緊張が高まる中で実施されたものです。カタール外務省はこれを「国家安全保障への直接的な脅威」と強く非難し、イランの武官および治安職員をペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)として24時間以内の国外退去を命じました。

被害状況と対応

攻撃によりラスラファン工業都市内で大規模な火災が発生しましたが、カタール内務省によると、3月19日未明までにすべての火災が消し止められました。カタール・エナジーは緊急対応チームを即座に派遣し、被害の拡大防止に努めています。

人的被害と施設被害の詳細

死傷者は報告されておらず、全員の無事が確認されています。一方、施設への物理的な損傷は深刻で、カタール・エナジーのCEOによると、14基あるLNG生産トレインのうち2基と、ガス・トゥ・リクイッズ(GTL)施設のうち1基が損傷を受けました。これにより、カタールのLNG輸出能力の約17%(年間約1,280万トン)が最大3年から5年間オフラインとなる見通しです。また、コンデンセート輸出は24%、LPGは13%、ヘリウムは14%、ナフサと硫黄はそれぞれ6%減少するとされています。UAEのガス施設についても迎撃ミサイルの破片落下による影響で一時閉鎖が発表されました。

施設の重要性と影響

ラスラファン工業都市はドーハの北約80kmに位置し、シェルなど複数の国際企業が拠点を置くエネルギー産業の中心地です。カタール・エナジーは世界第2位のLNG輸出企業であり、この施設はグローバルなエネルギー供給に大きな役割を果たしています。攻撃による生産停止はすでに先行する3月2日の攻撃で一時停止していたLNG生産にさらに影響を及ぼし、世界的なエネルギー価格の高騰を招いています。

今後の見通し

カタール・エナジーは被害評価を進め、修復作業に着手していますが、詳細な復旧スケジュールは今後発表される予定です。湾岸諸国は相次いで攻撃を非難しており、中東情勢のさらなる緊迫化が懸念されています。現時点で確認されている情報に基づき、被害の全容は継続的に更新される可能性があります。