証券口座乗っ取りで相場操縦 中国籍の会社社長ら逮捕、フィッシング詐欺の影

証券口座乗っ取り事件で中国籍の2人逮捕 株価つり上げと相場操縦の疑い

2025年11月28日、警視庁はインターネット上で相次いでいる証券口座の不正アクセス事件に関連し、中国籍の男2人を金融商品取引法違反(相場操縦)および不正アクセス禁止法違反の疑いで逮捕しました。この事件は、他人名義の証券口座を悪用して特定の企業の株式を繰り返し売買し、株価を意図的に吊り上げた上で利益を得るという手口が特徴です。逮捕された容疑者らは、口座乗っ取りから相場操縦に至る一連の犯罪行為に関与したとみられています。

逮捕された容疑者の詳細と事件の経緯

逮捕されたのは、川崎市川崎区に拠点を置く貴金属輸出入会社「L&H」の経営者である林欣海容疑者(38歳、中国籍)と、東京都江東区在住の職業不詳、江榕容疑者(42歳、中国籍)です。両容疑者は、証券会社の顧客口座に不正アクセスし、上場企業1社の株式を大量に売買することで株価を操作した疑いが持たれています。

事件の経緯として、容疑者らは乗っ取った口座を使って保有株式を購入する一方で、他の口座から大量の売買を繰り返すことで株価を吊り上げ、その後で高値で売り抜ける手口を用いたと警視庁はみています。このような相場操縦行為により、不正に利益を得ていた可能性が高いとされています。容疑者らの認否については、現時点で明らかにされていません。

この事件は、今年1月から10月末までに全国で確認された不正取引9348件(売買金額約7110億円)の一環をなすものであり、警視庁サイバー犯罪対策課を中心とした合同捜査本部による8カ月間の捜査の成果として、容疑者の逮捕に至りました。これまで問題発覚後、不正取引の摘発は初めての事例です。

口座乗っ取りの手段とフィッシング詐欺の関与の可能性

口座乗っ取りの手段として、容疑者らは被害者を偽のウェブサイトに誘導し、ログイン情報などの個人情報を騙し取るフィッシング詐欺的手法を活用した疑いが浮上しています。警視庁への取材によると、乗っ取られた口座の被害者の一部が、このようなフィッシング詐欺の被害に遭っていた可能性があることが明らかになりました。

フィッシング詐欺とは、メールやSMSなどで本物の金融機関を装った偽サイトにユーザーを誘導し、IDやパスワードを入力させることで個人情報を盗み出す犯罪です。本件では、これにより入手した情報を使って証券口座に不正アクセスし、株取引を悪用したとみられます。被害者は口座の異常な取引に気づかず、株価変動の影響を受けるケースが多く、警視庁は被害拡大を防ぐため、口座のセキュリティ強化を呼びかけています。

事件の背景と今後の捜査の見通し

この事件は、オンライン証券口座の普及に伴うサイバー犯罪の深刻化を象徴するものです。金融庁のデータによると、不正取引の規模は年々拡大しており、2025年上期だけで3000億円を超える被害が発生しています。警視庁は、逮捕された2人が組織的な犯罪集団の一員である可能性を視野に、共犯者の追及や他の被害口座の特定を進めていく方針です。

被害を防ぐため、利用者は二段階認証の設定や不審なリンクのクリックを避けるなどの対策を徹底することが重要です。警視庁は、追加の情報提供を求め、事件の全容解明に向けた捜査を継続します。