子ども・子育て支援金制度:独身税と呼ばれる背景と年収別負担額を解説

子ども・子育て支援金制度の概要

子ども・子育て支援金制度は、少子化対策を強化するための新たな仕組みとして、社会全体で子育て世帯を支えることを目的に創設されます。この制度は、医療保険制度を通じて全世代や企業から支援金を集め、児童手当などの子育て関連給付に充てるものです。俗に「独身税」と呼ばれることがありますが、正式には子ども・子育て支援金制度であり、子どもの有無にかかわらず幅広い対象者が負担を分かち合う連帯の枠組みです。

制度の開始時期

子ども・子育て支援金制度は、令和8年度(2026年度)から創設され、令和10年度(2028年度)までに段階的に導入されます。具体的な徴収開始は、2026年4月分の保険料(5月納付分)からです。令和6年度から令和10年度までは、つなぎとして子ども・子育て支援特例公債を発行し、制度の基盤を整えます。

対象者と負担の範囲

対象となる人々

この制度の対象者は、医療保険加入者全体です。具体的には、被用者保険(協会けんぽ、健康保険組合、共済組合)、国民健康保険、後期高齢者医療制度の加入者が含まれ、高齢者や企業を含む全世代・全経済主体が拠出します。子どもの有無や独身であるかどうかにかかわらず、広く負担を求められる点が特徴です。国民健康保険では、18歳以下の子どもに係る均等割額を全額軽減する措置が講じられます。

負担額の見込み(全加入者平均)

全加入者1人当たりの平均月額負担は、令和8年度で約250円、令和9年度で約350円、令和10年度で約450円の見込みです。19年間の単純合計では約10万円となります。一方、こども1人当たりに換算した給付改善額は、高校生年代まで合計で約146万円(現行児童手当約206万円と合わせ約352万円)です。

年収別の負担額(被用者保険の場合・個人負担分)

被用者保険(会社員・公務員など)に加入する場合、支援金は標準報酬月額に基づき算出され、事業主と労使折半で負担します。個人負担分(本人天引き分)は年収に応じて変動します。こども家庭庁の試算(令和8年度)では以下の通りです。

  • 年収400万円:月額約384円
  • 年収600万円:月額約575円
  • 年収800万円:月額約767円
  • 年収1,000万円:月額約959円

参考として、令和10年度(最終段階)の機械的試算(過去データに基づく目安)では以下のようになります。

  • 年収200万円:月額約350円
  • 年収400万円:月額約650円
  • 年収600万円:月額約1,000円
  • 年収800万円:月額約1,350円
  • 年収1,000万円:月額約1,650円

※これらは機械的な試算値であり、実際の金額は賃金水準の変動や保険種別(協会けんぽ・健保組合・共済組合)により異なります。低所得者への軽減措置が適用される場合もあります。

徴収方法

支援金は、医療保険料と合わせて徴収されます。被用者保険では総報酬割方式で、国が一律の支援金率(令和8年度は0.23%)を示し、労使折半です。国民健康保険や後期高齢者医療制度では、低所得者に対する軽減措置(応益分の7割・5割・2割軽減や賦課上限設定)が適用されます。支援納付金は、児童手当や妊婦支援給付などの対象費用に充当され、充当割合は法律で定められます。

制度の目的

この制度の主な目的は、少子化トレンドの反転を目指した子育て世帯の経済的支援強化です。全世代・全経済主体の連帯により、社会・経済システムの維持と国民皆保険制度の持続可能性を高めます。現役世代の負担を抑えつつ、子育て中や若い世代を応援する枠組みを構築し、歳出改革と賃上げにより実質的な社会保険負担の軽減を図ります。

関連する主な施策

給付の拡充内容

制度により得られた財源は、児童手当の所得制限撤廃や高校生年代までの延長、第3子以降の3万円支給、妊婦支援給付(10万円相当)、出生後休業支援給付(育休給付率手取り10割相当)、育児時短就業給付(時短勤務賃金の10%支給)などに充てられます。また、こども誰でも通園制度(乳児等支援給付、令和8年4月から給付化)や国民年金育児期間中の保険料免除(令和8年10月から)も含まれます。

その他の支援強化

妊婦等包括相談支援事業の創設、児童扶養手当第3子以降の加算額引き上げ、産後ケア事業の整備、教育・保育施設情報の見える化、ヤングケアラー支援の強化などが進められます。財政基盤として、子ども・子育て支援特別会計が令和7年度に創設され、既定予算の活用や歳出改革により支えられます。また、令和6年度補正予算でシステム改修や体制整備事業に695億円が補助されます。