期日前投票が過去最多、投票率過去最高の可能性は?
期日前投票の状況
2025年7月18日時点で、参院選の期日前投票者数は2145万220人(有権者の20.58%)に達し、2017年の衆院選(2137万9977人)を抜いて国政選挙における期日前投票の過去最多を更新した。前回2022年の参院選と比較して、投開票2日前時点で期日前投票者数が33.1%増加(532万8579人増)しており、全都道府県で増加。特に宮崎県では50.8%増と顕著な伸びを示している。投票日が3連休の中日であることや、SNSを通じた選挙啓発などが影響しているとされる。
投票率への影響
過去の投票率は、2017年衆院選が53.68%、2021年衆院選が55.93%、2022年参院選が52.05%だった。戦後は70%前後だった投票率も、近年は60%を下回ることが多い。しかし、期日前投票の大幅な増加は全体の投票率を押し上げる可能性がある。特に10代・20代で投票意欲が15ポイント、30代で21ポイント上昇しており、若年層の動向が注目される。ただし、若年層の投票率は依然低く、2021年衆院選では20歳代が33.64%に対し、70歳代は73.27%だった。
投票率が過去最高になる可能性
期日前投票の過去最多記録や33%増の大幅な伸びは、有権者の政治的関心の高まりを示す。投票日が3連休の中日であることや、物価高、憲法改正などの争点も投票率上昇の要因となる可能性がある。ただし、期日前投票の増加が全体の投票率の過去最高に直結するかは、当日投票の動向や天候に左右される。過去には台風で投票率が抑えられた例もあり、60~65%程度にとどまる可能性も現実的だ。
結論
期日前投票が2145万220人を記録したことで、2025年参院選の投票率が戦後の70%台に達する可能性は高まっている。若年層の投票意欲の上昇や選挙啓発活動が追い風だが、当日投票の動向がカギを握る。60~65%程度にとどまるシナリオも考えられるが、過去最高の投票率も視野に入る。投開票後のデータに注目が必要だ。
投票率が高ければどのような選挙結果が予測されるか?
高い投票率が選挙結果に与える影響
高い投票率は組織票の影響力を低下させ、自公に不利。主な影響は以下の通り
- 自民党・公明党の議席減:投票率60~65%で無党派層や若年層の票が増加。2024年衆院選(投票率53.85%)で自公が過半数を失ったように、参院選でも議席減が予想される。1人区での敗北が増えると、過半数(125議席)の維持が困難。
- 野党の議席増:立憲民主党(CDP)は2024年衆院選で98議席から148議席に増加した勢いを背景に、20~30議席を獲得予定。日本維新の会(維新)は10~15議席を目指す。
- 参政党の台頭:参政党は「日本第一」を掲げ、保守層や経済不満層の支持を集め、比例投票で6.2%を記録。10~15議席の獲得が予測され、自民党の票を侵食。
- 国民民主党の躍進:DPPは経済政策や減税を重視し、若年層や中間層の支持を拡大。2024年衆院選で28議席を獲得し、参院選でも5~10議席の獲得が見込まれる。
- 若年層の影響力増大:10代・20代の投票意欲が15ポイント増、30代で21ポイント増。物価高や経済不満が野党や新興政党への支持を後押し。特にDPPは若年層に強い。
選挙結果の予測シナリオ
投票率60%超の予測シナリオ
- 自公連立の過半数割れ:2022年参院選で自公は69議席を獲得したが、投票率上昇で10~20議席減。1人区での敗北が増え、過半数(125議席)を失うリスクが高まる。
- CDPと維新の躍進:CDPは20~30議席、維新は10~15議席を獲得予定。野党の候補者調整が成功すれば、1人区での勝利が増える。
- 参政党の議席獲得:比例票で6~15議席を獲得予定。保守層の支持を背景に自民党の票を奪うが、組織力不足が課題。
- 国民民主党の議席拡大:比例票の急増で5~10議席を獲得。選挙後の連立交渉で「キャスティングボート」を握る可能性がある。
- 少数与党または連立再編:自公が過半数を失う場合、DPPや維新との連立を模索。DPPは政策協力に前向きだが、維新は自公との連立を拒否する可能性が高い。参政党は独自路線を維持。
参政党と国民民主党の役割
- 参政党:外国人受け入れ制限や教育・国防強化を掲げ、保守層の支持を集める。2024年衆院選で3議席を獲得し、参院選では比例票6.2%で10~15議席を目指す。自民党の保守票を奪うが、候補者数の不足が課題。
- 国民民主党:消費税減税や経済政策を重視し、若年層や中間層に訴求。2024年衆院選で28議席を獲得し、参院選でも比例票5.4%で5~10議席を獲得予定。連立交渉で重要な役割を果たす可能性があるが、党内での保守層離反が課題。
結論
投票率60%超で自公の組織票の優位性が薄れ、CDPや維新が議席を伸ばす。参政党は保守層の支持で10~15議席、DPPは経済政策で5~10議席を獲得し、自公の過半数割れが現実味を帯びる。DPPは連立交渉の鍵を握り、参政党は自民党の票を侵食。投票率65%前後で政権運営が不安定化する可能性があり、7月20日の投開票結果が注目される。