7月23日、日経平均がトランプ関税合意で急上昇
2025年7月23日の東京株式市場では、日経平均株価が大幅な上昇を見せました。この急騰の背景には、米国トランプ大統領が日本との貿易交渉で相互関税を15%に引き下げる合意を発表したことが大きく影響しています。この合意により、市場の不確実性が一部解消され、投資家の買い注文が殺到しました。特に自動車メーカーなど輸出関連銘柄を中心に活発な取引が行われ、日経平均は終値で前日比1396円40銭高の4万1171円32銭を記録し、2024年7月17日以来約1年ぶりに4万1000円台を回復しました。これは2025年の最高値を更新する快挙となりました。
相互関税15%合意の詳細
トランプ大統領は7月22日(日本時間23日)、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、日本との大規模な貿易協定の締結を発表しました。この合意では、8月1日から予定されていた25%の相互関税を15%に引き下げることが決定されました。また、自動車および自動車部品に対する関税も、従来の25%の追加関税が半減し、既存の税率を含めて15%となることが合意されました。この関税引き下げは、日本が数量制限なしで自動車輸出を継続できる点で特に注目されています。さらに、日本は米国に5500億ドル(約80兆円)の投資を行い、米国の自動車や農産物(特にコメ)の市場開放を進めることで、米国との貿易不均衡の是正を目指す内容が含まれています。
市場への影響と投資家の反応
この合意は市場にとってポジティブなサプライズとなり、日経平均株価は取引開始直後から急上昇。始値は約400円高の4万0189円で、その後も一時989円高の4万0764円まで値を伸ばしました。特にトヨタ自動車などの輸送用機器関連株が大きく買われ、10%近い上昇を見せる場面もありました。東証プライム市場では89%の銘柄が値上がりし、ほぼ全面高の展開となりました。ただし、市場関係者からは「関税が完全になくなるわけではないため、企業業績の先行きには慎重な見方が残る」との声も聞かれ、ドル円相場の円高傾向(146円前半)が上値を抑える要因ともなりました。
日本経済への影響と今後の展望
専門家の試算によると、15%の相互関税および自動車関税により、日本のGDPは1年間で約0.55%押し下げられるとされていますが、25%の関税が適用された場合の0.85%押し下げに比べれば影響は軽減されています。自動車産業への打撃が緩和されたことで、輸出企業の懸念が一部解消されましたが、米国への大規模投資による国内空洞化のリスクや、半導体・医薬品など今後の関税動向への警戒感も指摘されています。日本政府は、合意内容の詳細を速やかに公表し、国内サプライチェーンや中小企業への影響を最小限に抑える対策を講じる方針です。石破茂首相は「国民生活を守るため全力を尽くす」と強調し、引き続き米国との交渉を注視していく姿勢を示しています。