・トランプ米大統領、韓国との関税15％で合意を発表
・日本の譲歩は韓国より大きいのか？
トランプ米大統領、韓国との関税15％で合意を発表
2025年7月31日、ドナルド・トランプ米大統領は、韓国との貿易交渉において、相互関税を15％に設定することで合意に達したと発表しました。この合意は、米国と韓国の間の貿易関係における重要な進展として注目されています。以下に、合意の詳細とその背景について解説します。
合意の主な内容
トランプ大統領は自身のSNSプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」を通じて、韓国からの輸入品に対する関税を15％に設定し、米国側からの輸出品には関税を課さない条件で合意したことを明らかにしました。この合意には、以下の主要なポイントが含まれています：
- 関税率の設定：韓国からの輸入品に対する関税を15％に引き下げ。当初、2025年7月7日に通知されていた25％から大幅に軽減されました。
- 韓国の対米投資：韓国は米国に対して多額の投資を行うことを約束。具体的には、1000億ドル（約15兆円）規模の投資に加え、液化天然ガス（LNG）などの購入が含まれます。
- 市場開放：韓国は米国製自動車の市場受け入れを進めることで、米国製品の輸入拡大に協力する方針です。
交渉の背景と韓国の対応
この合意は、トランプ政権が2025年1月の就任以降、積極的に進める関税引き上げ政策の一環として行われたものです。当初、トランプ大統領は日本や韓国を含む複数の貿易相手国に対し、8月1日から25％の関税を課す方針を表明していました。しかし、日本が先に15％の関税率で合意したことで、韓国も同様の条件での交渉を急ぐ必要に迫られました。
韓国政府は、7月31日にワシントンD.C.でスコット・ベッセント米財務長官との最終交渉を行い、合意に至ったとされます。韓国側は、農産物市場の開放や対米投資の拡大を交渉カードとして提示し、関税率の引き下げに成功しました。
韓国経済への影響
15％の関税率は、日本やEUが米国と合意した水準と同等であり、韓国にとって最悪のシナリオ（25％以上の関税）を回避した形です。この合意により、韓国の輸出企業、特に自動車や鉄鋼関連企業は、米国市場での競争力を維持しやすくなると期待されます。ただし、対米投資の規模や農産物市場の開放が国内産業に与える影響については、今後詳細な分析が必要です。
今後の展望
トランプ大統領は、交渉が未決着の国・地域に対し、相互関税の基本税率を「15％または20％」とする可能性を示唆しています。韓国との合意は、他の貿易相手国に対する交渉の基準となる可能性があり、アジアや欧州の主要輸出国にさらなる圧力をかけることになるでしょう。
韓国政府は、今回の合意を「互恵的な結果」と評価しつつ、国内産業への影響を最小限に抑えるための追加経済対策を検討する方針です。引き続き、米国との緊密な意思疎通を通じて、貿易摩擦の解消を目指すとしています。
日本の譲歩は韓国より大きいのか？
2025年7月31日、トランプ米大統領は韓国との貿易交渉で相互関税15％の合意を発表。7月23日の日米間同率合意に続くものです。両国とも15％で合意したように見えますが、日本の譲歩が韓国より大きいとの見方が広がっています。以下、日韓の合意内容と譲歩の違いを比較します。
日米関税合意の概要
7月23日、トランプ大統領は日本との貿易協定を「歴史上最大」と称し、以下を発表
- 関税率：日本からの輸入品への関税を25％から15％に引き下げ（自動車は2.5％＋12.5％で合計15％）。
- 投資：日本は米国に5500億ドル（約80兆円）の投資を約束。半導体、医薬品、エネルギー、造船など戦略分野で、利益の90％が米国に還元。
- 市場開放：米国製自動車、トラック、米、その他農産物の市場開放を拡大。米は無関税枠77万トン内で米国産割合を増加（20万～40万トン）。米国安全基準の車両を追加検査なしで受け入れ。
- 軍事装備：数十億ドル規模の米国製軍事装備購入を約束。
日本は8月1日の25％関税発動を回避するため、首席交渉官が8回の訪米で妥協を重ねました。
米韓関税合意の概要
7月31日、トランプ大統領は韓国との合意を発表
- 関税率：韓国からの輸入品への関税を25％から15％に引き下げ。自動車も15％。
- 投資：韓国は米国に1000億ドル（約15兆円）の投資を約束。LNG購入やエネルギー分野が主。
- 市場開放：米国製自動車の市場受け入れを拡大。農産物市場の開放は限定的で詳細不明。
韓国は米財務長官との最終協議で、期限直前に合意。日本の条件を参考に譲歩を抑えた戦略を取ったとされます。
日韓の譲歩比較
両国とも15％関税で合意したが、譲歩の規模に差
- 投資規模：日本の5500億ドルに対し、韓国は1000億ドル（5分の1）。日本の投資は半導体やAIなど幅広く、利益90％が米国に還元。韓国はLNGなど限定的。
- 市場開放：日本は米の輸入増加や自動車の非関税障壁撤廃で具体的譲歩。韓国は自動車市場開放が主で、農産物の詳細は少ない。
- 軍事装備：日本は購入を約束したが、韓国は同様のコミットメントなし。
- 交渉戦略：日本は上院選挙を控え早期合意を優先。韓国は日本の合意を参考に譲歩を最小化。
日本の投資額や市場開放の具体性は韓国を上回り、「大きな譲歩」との声が強いです。
日本の譲歩が大きい理由
日本の譲歩が大きい背景：
- 経済規模：日本の対米輸出（特に自動車）は韓国より大きく（2024年：日本1480億ドル、韓国約1000億ドル）、25％関税の影響が深刻。
- 政治的タイミング：上院選挙直前の交渉で、石破首相は政権維持のため成果を急いだ可能性。
- 米国の圧力：トランプ氏は日本に自動車・農産物の市場開放を強く要求。軍事装備やLNG事業まで約束。
日本の譲歩は国内で「過度」との批判も出ています。
日韓合意の影響
日本の5500億ドル投資と市場開放は米国経済に貢献する一方、農林水産業界や中小企業に影響。特に米の輸入増加は農家反発を招く恐れ。韓国は投資規模が小さく、農産物開放も限定的で国内影響は少ない。両国とも15％関税で米国市場の競争力を維持したが、日本の負担は大きい。日米合意は他の国との交渉の基準となり、15％が標準化する可能性があります。
結論
日米・米韓の15％関税合意は25％関税を回避した成果だが、日本の5500億ドル投資、軍事装備購入、農産物・自動車市場の開放は韓国より大きな譲歩。韓国は日本の合意を参考に譲歩を抑えた。今後、日本は国内産業の保護と米国との関係維持のバランスが課題です。
