首相指名選挙の仕組みと最新議席状況
首相指名選挙は、衆院(定数465)で過半数(233票)を得た候補が首相に選出されます。過半数に達する候補がいない場合、上位2名による決選投票が行われ、単純多数で決定します。最新議席数は以下の通りです:
- 自由民主党・無所属の会:196議席(単独では過半数に届かず)
- 立憲民主党・無所属:148議席(野党第一党)
- 日本維新の会:35議席(連立交渉中だが慎重)
- 国民民主党・無所属クラブ:27議席(自民と接近も条件闘争中)
- 公明党:24議席(連立離脱を表明、自民不支持を明言)
- 日本共産党:8議席
- れいわ新選組:9議席
- 参政党:3議席
- 有志・改革の会:7議席
- 減税保守こども:2議席
- 無所属:6議席
10月15日召集予定の臨時国会での首相指名選挙が政局の試金石です。公明党の斉藤鉄夫代表は連立を離脱したことにより自民不支持を明言し、立憲の野田佳彦代表は「反自民」で野党連携を模索中ですが、維新の改憲推進や共産・れいわの急進的政策が障害となっています。
連立交渉の難航
自民・維新・国民民主の連立困難性
自民党は国民民主党を優先し、高市総裁と玉木雄一郎代表が10月5日に会談。積極財政やガソリン税廃止で親和性が高いものの、玉木氏は「政治とカネ」(裏金問題、企業献金規制)の抜本改革を条件に掲げ、連合(支持母体)の反対も強いです。
維新は副首都構想や企業献金禁止を求めており、どちらにせよ今、自民党と連立を組むと「政治とカネ」問題を容認したと国民に捉えられ、連立を組みずらい状況にあり、3党の連立が合意しない場合も十分にありえます。
野党連立の困難性
立憲民主党(148議席)は公明や国民民主との連携を目指すが、維新の改憲賛成や共産・れいわの急進的政策が壁となり、野党統一候補の擁立は困難。野田代表の「反自民」呼びかけに対し、玉木氏は懐疑的で野党連立は今のところ実現には程遠いと言う見方が強いです。
首相指名選挙のシナリオ:各党代表への投票と決選投票
連立が成立しない場合、首相指名選挙の初回投票では各党が自党代表に投票する可能性が高いです。想定される票分布(議席ベース、棄権・造反考慮せず)は以下の通り:
- 高市早苗(自民):196票
- 野田佳彦(立憲):148票
- 吉村洋文→藤田文武(維新):35票
- 玉木雄一郎(国民民主):27票
- 斉藤鉄夫(公明):24票
- その他(共産・れいわ・参政党等):20票
- 無所属・諸派:13票(分散)
過半数(233票)に誰も達せず、上位2名(高市氏と野田氏)による決選投票に進み高市氏が勝利し、自民党単独政権に至るシナリオです
自民党単独政権の可能性と課題
高市氏が決選投票で勝利した場合、自民党は単独政権(少数与党)として発足しますが、以下の課題が浮上します:
政権運営の不安定さ
過半数に37議席足りず、法案成立には毎回野党の閣外協力が必要。維新(35議席)や国民民主(27議席)は経済政策や改憲で部分協力する可能性があるが、「政治とカネ」改革での条件闘争が続き、政権運営は不安定。「単独政権は法案停滞で機能不全」との懸念が強い。
早期解散総選挙の圧力
高市総裁は「ご祝儀相場」と保守層の支持回帰を狙い、年内または2026年初頭の解散総選挙に踏み切る可能性が高い。単独過半数(233議席)は公明離脱による票や野党分裂が追い風だが、裏金問題再燃で議席減リスクも。
政策推進の限界
単独政権では高市氏の目玉政策(憲法改正、経済安全保障強化)が停滞。維新との改憲協議は進む可能性があるが、国民民主や公明の支持が得られず、発議要件(3分の2、310議席)に届かない。経済面では円安インフレ懸念が強く、市場の政局不安で株価変動リスクも。
結論:単独政権の可能性と今後の展望
このシナリオ(自民vs立憲の決選投票で自民勝利→単独政権)は、議席状況(自民196、立憲148、維新35、国民27)と連立交渉の難航を踏まえた場合、実現確率は最も蓋然性が高いです。ただし、単独政権は不安定で、法案成立には野党との交渉が不可欠。早期総選挙で過半数回復がなければ、2026年中に政権交代リスクが浮上します。「高市単独政権は短命」との声も多く、政局は流動的なので今後の各党の動きに注目です。