岩屋毅前外相「国旗損壊罪は不要」+米国が動いたIR疑惑の結末

岩屋毅前外相、「国旗損壊罪」に明確に反論
岩屋毅外務大臣のIR贈収賄疑惑と米国司法省による500.com元CEO起訴

岩屋毅前外相、高市早苗首相提案の「国旗損壊罪」に明確に反論

2025年11月1日、大分放送(OBS)の取材に対し、岩屋毅前外相(自民党・大分3区)は、高市早苗首相が長年推進する刑法改正による「日本国旗損壊罪」の新設について、「立法事実がない」として不要との立場を鮮明にしました。これは、高市政権下で自民党・日本維新の会が来年通常国会での成立で合意した同罪に対する、党内からの異論として注目されています。

岩屋氏の反論の核心:3つのポイント

  1. 立法事実の欠如

    「日本で誰かが日の丸を焼いた? そんなニュース見たことない。燃やされて大変で規制が必要という事実がない。だから必要ないのではと言いました」

    → 刑法92条の2として外国国章損壊罪は存在するものの、国内での国旗損壊事例が極めて少なく、罰則化の前提となる「社会的事実」が認められないと主張。

  2. 「呼びかけで十分」論

    「国旗を大事にする呼びかけだけで十分では?」

    → 教育・啓発による国民の自発的な敬意を優先し、刑罰による強制は過剰だと強調。

  3. 「右傾化」発言の否定

    高市氏が2025年4月のネット番組で「岩屋氏が『自民党が右傾化したと思われる』と反対した」と名指しで語ったことに対し、

    「右傾化…そんな言い方はしていない」

    → 過去の党内審査(2021年頃)で唯一反対したのは事実だが、表現のニュアンスを明確に否定。

高市氏側の主張と「恨み」の背景

高市首相は2012年および2021年に議員立法で同罪を提出・再提出を目指しましたが、いずれも党内審査でストップ。2025年4月21日配信の「文化人放送局」では、

「岩屋氏1人が反対したため提出できなかった。それが唯一の恨みかな」

と公言し、岩屋氏を「保守じゃない」と痛烈批判。高市氏は「外国の国旗は守られ、自国の国旗だけ守られないのは不平等」との持論を展開しています。

スパイ防止法にも慎重姿勢

同じ取材で岩屋氏は、与党合意が進むスパイ防止関連法制についても、

「人権をきちんと守る設計になるのかを見なければ『良い』『悪い』の議論はできない」

と慎重論を展開。法案の「立てつけ」を最優先に検証する姿勢を示しました。

ネット・SNSの反応(2025年11月3日時点)

  • 批判殺到:「売国奴」「誰に配慮?」「スパイが嫌がる法案」などの声がXで拡散。
  • 擁護少数:「立法事実がないのは正論」「表現の自由との兼ね合い」との意見も。

まとめ:党内対立の構図

項目 高市首相(推進派) 岩屋前外相(反対派)
根拠 外国旗との不平等是正 国内事例なし=立法事実欠如
手段 刑罰(2年以下の懲役または20万円以下の罰金) 啓発・呼びかけで十分
過去の経緯 岩屋氏の反対で2度提出失敗 党内審査で唯一反対

高市政権の目玉政策である国旗損壊罪は、2026年通常国会での成立が現実味を帯びる一方、岩屋氏のような党内慎重派の存在が今後の調整のカギとなりそうです。

岩屋毅外務大臣のIR贈収賄疑惑と米国司法省による500.com元CEO起訴

2024年11月18日、米国司法省(DOJ)は、中国企業「500.com」(現BIT Mining Ltd.)の元CEO・潘正明氏を外国腐敗行為防止法(FCPA)違反で起訴。潘氏は2017~2019年に日本の国会議員らに総額約190万ドル(約2.9億円)の賄賂を支払うよう指示し、日本でのカジノを含む統合型リゾート(IR)事業参入を狙ったとされる。起訴状では議員の実名は伏せられているが、日本国内の過去捜査で岩屋毅外務大臣(自民党・大分3区)の名前が浮上しており、疑惑が再燃した事件です。

疑惑の経緯:2017年の100万円授受

  • 2017年8月:岩屋氏が北海道で中村裕之衆院議員主催の政策セミナーに講師登壇。
  • 2017年10月:中村議員の政党支部から岩屋氏の政党支部へ100万円が寄付(政治資金収支報告書に記載)。
  • 贈賄側供述:コンサルタント経由で岩屋氏ら5議員に各100万円を配布。
  • 東京地検特捜部は2019~2020年に岩屋氏を任意聴取するも、立件せず終了(職務権限なし・金額少額を考慮)。

岩屋大臣の公式見解(一貫した否定)

日付 発言場所 内容
2020年1月4日 大分県別府市記者会見 「中国企業から現金を受け取ったことはない。天地神明に誓って不正には関わっていない」
2024年11月29日 外務大臣定例会見 「すでに終わった話。中国企業から金銭を受け取った事実は断じてない。嫌疑は晴れている」
2024年12月13日 参院予算委員会 「100万円は同僚議員のパーティー講演謝礼。外相の職に全く懸念はない」

岩屋氏は2020年2月、疑念払拭のため100万円を返金。「中国企業原資の可能性は否定できない」と説明。

米国司法省の動き(2024年11月18日発表)

  • 起訴罪名:FCPA違反(賄賂共謀・帳簿改ざん)×4件。
  • 対象:潘正明元CEO(中国籍、逃亡中)。
  • 企業処分:BIT Mining Ltd.はDOJ・SECと和解(罰金支払い済み)。
  • 起訴状の記述:「日本の政府関係者(Japanese Official A~E)」に賄賂配布。岩屋氏が該当する可能性が高い(日本メディア報道)。

日本国内の捜査結果(2020年終結)

東京地検特捜部は秋元司元議員(収賄罪で実刑確定)以外、岩屋氏ら5人を不起訴。

理由:

① 岩屋氏にIR事業の直接職務権限なし

② 金額が100万円と少額

③ 政治資金収支報告書に適正記載

刑事責任問えず

国会での追及(2024年12月13日参院予算委)

立憲民主党・杉尾秀哉議員:「米捜査当局の対象者が外務大臣でいいのか?」

岩屋大臣:「中国の金だと決めつけるのは不当。講演謝礼として適法に処理」

石破茂首相:「大臣は適切に職務を遂行している」

事実確認表:疑惑の真偽

項目 贈賄側主張 岩屋氏主張 捜査結論
100万円の原資 500.com資金 中村議員支部からの講演謝礼 原資特定できず
受領経路 コンサルタント経由 銀行振込(収支報告書記載) 適法処理
返金 2020年2月返金 任意対応
刑事責任 賄賂 否定 日本:不起訴 米国:起訴状に実名なし

まとめ:疑惑は「立証されず」

岩屋大臣は一貫して「中国企業から直接受け取っていない」と主張し、日本国内捜査は2020年12月25日不起訴で終了。一方で秋元司元議員は2024年2月14日上告棄却で実刑が確定