イラン国会、ホルムズ海峡通過船舶への通行料と税金徴収計画を推進
2026年3月19日、イラン国内メディアの報道で明らかになったところによると、同国の国会はエネルギー輸送の重要ルートであるホルムズ海峡を通過する船舶に対して、通行料(通航料)と税金を課す計画を進めています。この計画は、現在議会で関連法案の検討が進められている段階です。
提案の詳細と目的
計画によると、ホルムズ海峡を船舶の通航、エネルギー輸送、食料安全保障のための安全な航路として利用する場合、各国はイラン・イスラム共和国に対して通行料と税金を支払う義務を負う内容となっています。イラン側は、自らが提供する海峡の安全保障に対する対価として位置づけています。
テヘラン選出議員の発言
首都テヘラン選出のソマイエ・ラフィエイ議員は、イラン学生通信(ISNA)に対し次のように述べました。「われわれ議会は、各国がホルムズ海峡が通航、エネルギー、食料安全保障のための安全な航路として利用する際、イラン・イスラム共和国に通行料と税金を支払わせる計画を進めている」とし、さらに「ホルムズ海峡の安全保障はイラン・イスラム共和国によって強さと権威、威厳をもって確立される。各国はその見返りとして税金を支払わなければならない」と付け加えました。
議長の見解と最近の状況
イラン議会のモハマドバゲル・ガリバフ議長は3月17日、ホルムズ海峡の通航は「戦前の状態には戻らない」との見解を示しています。2月28日の米イスラエルによる対イラン攻撃で始まった中東紛争以降、イランはホルムズ海峡を事実上封鎖しており、通航禁止の警告を無視した船舶への対応を続けています。
国際法の観点
ホルムズ海峡は、イランとオマンの領海が重なる「国際航行に使用される海峡」として、国連海洋法条約(UNCLOS)第3部で規定される通過通航権(transit passage)が適用されます。この権利の下では、船舶は沿岸国の干渉を受けずに連続的かつ迅速に通航することが保障され、沿岸国はこれを妨害してはならない(同条約第44条)とされています。UNCLOS第38条では、通過通航は「料金を課されることなく」行われることが明記されており、沿岸国は船舶の単なる通過に対して通行料や税金を課す権限を持たないと解釈されています。
イランはUNCLOSを批准していませんが、通過通航権は慣習国際法として広く認められており、国際法専門家の主流見解では、国際海峡における一方的な通行料・税金徴収はUNCLOSの自由航行原則に違反する違法行為とみなされます。イラン側は「自国による安全保障提供の対価」と主張していますが、自然の国際海峡(スエズ運河やパナマ運河のような人工水路とは異なり)ではこうした料金は原則禁止されており、法的根拠は極めて薄いとされています。
一方で、国際法の適用は一貫性が求められるため、米イスラエルによる2月28日の対イラン攻撃(先制攻撃と見なされる場合)や、それに対するイランの海峡封鎖対応についても、国連憲章第2条4項(武力不行使の原則)や自衛権(第51条)の要件(比例性・必要性)が厳格に問われます。国際法上、武力攻撃が発生した場合のみ自衛権が認められるものの、予防的・先制的な大規模軍事行動は違法とする見解が強く、両側の行動が国際法的に問題視される可能性があります。このため、イランの提案を「国際法違反」と指摘するのは適切ですが、同時に軍事対応の正当性も慎重に検証されるべきであり、ダブルスタンダードの批判が生じやすい状況です。
実際にこの計画が施行された場合、米国をはじめとする海運国・国際社会から強い法的異議と非難が予想され、外交的・軍事的対立のさらなる激化は避けられないでしょう。国際法上、イランの通行料提案は「認められる余地がほとんどなく、違法とする立場が主流」です。
