「日の丸損壊罪」新設へ、参政党が刑法改正案を提出
2025年10月27日、参政党は日本国旗(日の丸)や国章を侮辱する目的で損壊・汚損する行為を処罰する「日本国国章損壊罪」の新設を盛り込んだ刑法改正案を、参議院に単独で提出しました。これは同党結党以来、初めての単独議員立法となります。改正案は、国旗の尊厳を守ることを目的としており、自民党と日本維新の会(自維)への協力を呼びかける方針です。3党の連携により、衆参両院で過半数を確保できれば、法案の可決・成立が見込まれます。
外国国章損壊罪は存在するのに日本国旗損壊罪がない現状
現在の刑法第92条では、「外国国章損壊罪」が規定されており、外国に対して侮辱を加える目的でその国の国旗や国章を損壊、除去、汚損する行為を禁じています。この罪の法定刑は2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金で、外国政府の請求(親告罪)に基づいて公訴が提起されます。一方、日本国旗(日の丸)の損壊行為に対する直接的な処罰規定は存在せず、器物損壊罪(刑法261条)などで間接的に対応するのみです。
この「他国は守るが自国は守らない」という不均衡は、長年議論の的となっており、参政党の改正案はまさにこの矛盾を是正する狙いがあります。過去の事例として、1974年の福岡米国領事館事件では星条旗の焼却が外国国章損壊罪で処罰されましたが、日本国旗に対する類似行為は明確な罰則がなく、国際的な視線を集めています。
改正案の詳細内容
改正案では、日本国旗や国章を「日本を侮辱する目的」で破いたり、汚したり、損壊する行為を禁じています。具体的な罰則は以下の通りです:
- 刑罰:2年以下の拘禁刑、または20万円以下の罰金(外国国章損壊罪と同等)
- 対象行為:国旗の損壊、汚損、破壊など、意図的な侮辱行為
- 適用範囲:日本国内での行為に限定され、外国人を含む全ての人に適用可能
この新罪は、既存の刑法に追加される形で、国民の象徴である国旗の保護を強化する狙いがあります。参政党の公式発表によると、改正案は参院事務総長に正式に発議され、詳細は党のウェブサイトで公開されています。
参政党の背景と提出の意義
参政党は、2020年に結成された比較的新しい政党で、「日本人ファースト」を掲げ、伝統文化の保護や国家主権の強化を政策の柱としています。今回の改正案提出は、同党の国旗尊重の姿勢を象徴するもので、神谷宗幣代表が主導しました。党幹部は「国旗は国民の誇りであり、侮辱行為を許さない法整備が必要」と強調しています。
過去にも、自民党や日本維新の会が類似の「国旗損壊罪」新設を検討しており、2021年には自民党が議員立法を提出した経緯があります。2025年10月20日の自民・維新連立政権合意書でも、2026年の通常国会での制定が明記されており、参政党の提案はこれに呼応する形です。参政党は自維に特に協力を呼びかけ、3党連携で早期成立を目指します。
社会的反応と今後の展望
改正案の提出に対し、X(旧Twitter)上では賛否が分かれています。支持者からは「国旗の尊厳を守る重要な一歩」との声が上がり、参政党の公式投稿は数千のいいねを集めました。一方、批判派からは「表現の自由を侵害する」「人権軽視の象徴」との意見も見られます。例えば、あるユーザーは「民主主義の敵」と非難し、別のユーザーは「外国人への抑止力になる」と擁護しています。
今後、法案は参院での審議を経て衆院に送付されます。自維の協力次第で成立の可能性が高く、2026年の施行に向けた動きが加速するでしょう。この改正は、日本社会における国家象徴の位置づけを再定義するきっかけとなるかもしれません。
