ハロー効果の実験:歴史的な研究から見る認知バイアスの実証例

ハロー効果の実験の概要

ハロー効果は、認知バイアスの一つで、ある特定の特徴に対する印象が、他の無関係な特徴の評価に影響を及ぼす現象を指します。この効果は、1920年にEdward Thorndikeによって最初に指摘され、以後多くの実験で検証されてきました。以下では、主な実験を年代順に紹介し、それぞれの方法論、結果、意義を詳述します。これらの内容は、心理学的研究に基づく事実のみを基にしています。

主な実験

Thorndikeの実験 (1920)

Edward Thorndikeは、1920年に発表した論文「A Constant Error in Psychological Ratings」において、ハロー効果を最初に実証しました。方法論として、軍隊の指揮官2名に、兵士たちを知能、身体的特性(声、体格、エネルギー、整然さ、態度)、リーダーシップ、個人的特性(忠誠心、無私、協力性など)で評価させました。結果、特性間の相関が異常に高く、例えば体格と知能の相関が0.31、体格とリーダーシップが0.39、体格と性格が0.28でした。これにより、一つの特性に対する全体的な印象が、他の特性の評価を歪めることが示されました。この実験の意義は、ハロー効果の初の経験的証拠を提供し、人間評価のバイアスを明らかにした点にあります。

Aschの実験 (1946)

Solomon Aschは、1946年に「Forming Impressions of Personality」で印象形成の実験を行いました。方法論では、参加者に架空の人物の特性リストを提供し、リストはほぼ同一ですが、中央特性として「warm(温かい)」または「cold(冷たい)」を挿入しました。結果、「warm」を含む場合、人物全体を肯定的に評価し、親切さや知性などの特性を推測しました。一方、「cold」の場合、否定的な評価が広がりました。この実験の意義は、中央特性が全体の印象を放射状に影響し、ハロー効果が社会的知覚でどのように機能するかを示した点です。

Dion et al.の実験 (1972)

Karen Dion、Ellen Berscheid、Elaine Walsterは、1972年に魅力のステレオタイプを検証しました。方法論として、ミネソタ大学の学生60名に、魅力的な、平均的な、非魅力的な人物の写真を示し、27の性格特性(利他性、信頼性、親切さなど)と人生の予測(幸福度、結婚の成功、キャリアの地位)を評価させました。結果、魅力的な人物は望ましい特性で高く評価され、幸福で成功した人生を予測されましたが、親としての質は低く見積もられました。この実験の意義は、物理的魅力が無関係な性格や将来の予測にハロー効果を及ぼすことを示した点です。

Landy and Sigallの実験 (1974)

David LandyとHarold Sigallは、1974年に「Beauty is Talent」でタスク評価を調査しました。方法論として、男子大学生60名に、魅力的な、非魅力的な、または写真なしの女子学生が書いたとされるエッセイ(良質または劣質)を評価させ、文章の質と著者の能力を判定しました。結果、魅力的な著者のエッセイが最も高く評価され、特に劣質エッセイでその差が顕著でした。この実験の意義は、学業能力の判断でハロー効果が働き、魅力が客観的なパフォーマンス評価を歪めることを実証した点です。

Efranの実験 (1974)

M. G. Efranは、1974年に「The Effect of Physical Appearance on the Judgment of Guilt」で模擬陪審員タスクを実施しました。方法論として、参加者に犯罪者の有罪判断と刑罰の推奨をさせ、物理的魅力を変えました。結果、魅力的な犯罪者が同じ犯罪でより軽い刑罰を受けました。この実験の意義は、法的判断でハロー効果が働き、魅力が判決の偏りを生むことを示した点です。

Sigall and Ostroveの実験 (1975)

Harold SigallとNancy Ostroveは、1975年に「Beautiful but Dangerous」で犯罪の性質を考慮しました。方法論として、参加者に強盗(魅力無関係)と詐欺(魅力利用)の仮説犯罪を評価させ、被告の魅力を変えました。結果、強盗では魅力的な被告が軽い刑罰を受けましたが、詐欺では逆転し、より厳しい刑罰となりました。この実験の意義は、ハロー効果が文脈依存であり、犯罪が魅力に関連する場合に効果が逆転することを明らかにした点です。

Nisbett and Wilsonの実験 (1977)

Richard NisbettとTimothy Wilsonは、1977年にハロー効果の無意識性を検証しました。方法論として、大学生を2群に分け、同じフランス語訛りの心理学講師のビデオを視聴させました。一方では好感度が高く(学生を尊重し、柔軟で熱心)、もう一方では低く(冷たく、信頼せず、厳格)描かれました。視聴後、外見、マナー、訛りを評価し、好感度が評価に影響したかを尋ねました。結果、好感度の高い講師が外見などで高く評価されましたが、参加者は好感度が影響したと認識していませんでした。この実験の意義は、ハロー効果が無意識に働き、全体評価が特定属性の判断を変えることを示した点です。