日本の政治改革の軌跡:国会議員定数削減と自民・維新連立の新章
日本の国会議員定数削減は、戦後から現在まで、政治改革や行政効率化の象徴として議論されてきました。衆議院と参議院の合計定数は、人口変動、選挙制度改革、一票の格差是正などを背景に増減を繰り返し、2025年時点で713人(衆議院465人、参議院248人)です。2025年10月、自民党と日本維新の会の連立合意により、衆議院を中心に約50議席(1割)の定数削減が2025年秋の臨時国会で法案提出・成立を目指しています。以下では、歴史的な定数削減の流れを、衆議院と参議院の合計定数と共に整理し、変化の傾向を明確に解説します。
戦後初期:1947年の定数設定と初の削減
1947年の日本国憲法施行に伴う初の総選挙では、衆議院定数466人、参議院定数250人、合計716人に設定されました。これは民主主義の基盤構築を目的としたものでしたが、1949年に衆議院定数が412人に削減され、参議院は250人のまま、合計662人(54人減)となりました。戦後復興期の財政緊縮と中選挙区制導入に伴う選挙区再編が背景にあり、初の大幅削減でした。
1950年代~1970年代:中選挙区制下での増減
1953年、衆議院定数が431人に微増、参議院は250人のまま、合計681人(19人増)となりました。1956年、参議院が152人に大幅削減され、衆議院431人で、合計583人(98人減)に。これは比例代表導入と選挙区再編によるものでした。1964年、人口増加に対応し衆議院が466人に増え、参議院152人のまま、合計618人(35人増)。1976年、衆議院が511人に増え、参議院152人で、合計663人(45人増)。1983年、参議院が252人に増え、衆議院511人で、合計763人(100人増)。1986年、衆議院が512人に微増、参議院252人で、合計764人(1人増)。この時期は、人口増加や地方選挙区の格差是正により、全体的に定数が増加する傾向でした。
1990年代:小選挙区比例代表並立制と大幅削減
1994年の政治改革四法で中選挙区制が廃止され、小選挙区比例代表並立制が導入。衆議院定数が500人(小選挙区300、比例200)、参議院252人で、合計752人(12人減)となり、戦後最大規模の削減でした。1998年、参議院の比例が96に減り、選挙区152で計248人、衆議院500人のまま、合計748人(4人減)。この時期は、政治不信の払拭と「身を切る改革」の象徴として削減が進みました。
2000年代:一票の格差是正と段階的削減
2000年、衆議院定数が480人(小選挙区300、比例180)、参議院242人(選挙区146、比例96)で、合計722人(26人減)。一票の格差是正が主な背景でした。2013年、衆議院が475人(小選挙区295、比例180)、参議院242人で、合計717人(5人減)。2015年、参議院が248人(選挙区148、比例100)に増え、衆議院475人で、合計723人(6人増)。2017年、衆議院が465人(小選挙区289、比例176)、参議院248人で、合計713人(10人減)。この時期は、格差是正と選挙区再編に伴う削減が中心でした。
民主党政権(2009-2012年)の定数削減:限定的な進展
民主党政権は、「政治とカネ」問題への対応として定数削減をマニフェストに掲げ、衆議院比例定数を180議席から100議席に減らし、全体で80議席削減する目標を提示。2012年、政権末期に公職選挙法改正で衆議院比例定数が180議席から176議席に減り、総定数が480人から475人、参議院242人で、合計717人(5人減)となりました。しかし、80議席削減の目標には遠く及ばず、連立調整や野党の抵抗で議論は停滞。参議院では削減が進まず、限定的な成果に留まりました。
2010年代以降:維新の主張と連立による新展開
2010年代後半、日本維新の会が「身を切る改革」として定数1割削減を主張。2019年に衆院比例定数削減法案を提出しましたが、成立せず。2023年の大阪府知事選で削減を再訴求。2025年時点の定数は衆議院465人、参議院248人で、合計713人です。この時期、コロナ禍での財政難が削減論を後押ししました。
合計定数の変遷と傾向
以下は、増減のあった年の合計定数と変化のまとめです:
- 1947年:716人(衆議院466、参議院250)
- 1949年:662人(54人減、衆議院削減による)
- 1953年:681人(19人増、衆議院微増)
- 1956年:583人(98人減、参議院大幅削減)
- 1964年:618人(35人増、衆議院増加)
- 1976年:663人(45人増、衆議院増加)
- 1983年:763人(100人増、参議院増加)
- 1986年:764人(1人増、衆議院微増)
- 1994年:752人(12人減、衆議院削減)
- 1998年:748人(4人減、参議院微減)
- 2000年:722人(26人減、衆議院・参議院削減)
- 2013年:717人(5人減、衆議院削減)
- 2015年:723人(6人増、参議院微増)
- 2017年:713人(10人減、衆議院削減)
- 2025年(予定):663人(50人減、衆議院削減予定)
全体的に、1947年の716人から1986年の764人でピークを迎え、その後は削減傾向が強まり、2025年の予定削減で663人に近づきます。人口減少やデジタル化に伴う効率化が、削減を後押ししています。
自民党・維新の会連立と最新の定数削減計画
2025年10月、自民党の高市早苗総裁と維新の吉村洋文代表が連立政権樹立に合意。維新の「身を切る改革」の核心として、衆議院を中心に約50議席(1割)の定数削減が2025年秋の臨時国会で法案提出・成立を目指します。比例代表中心の削減と選挙区の格差是正を伴い、2026年の衆院選適用が目標。仮に50議席削減が実現すれば、衆議院415人、参議院248人で、合計663人(50人減)となり、1949年以来の低水準となります。この連立は、自民党の過半数割れ後の政権維持策として成立し、国民の政治信頼回復に向けた一歩です。
