原油価格の上昇で株価が影響を受けやすい銘柄

原油価格

原油価格の上昇は、業界や企業のビジネスモデルによって株価に異なる影響を及ぼします。以下では、原油価格上昇で株価が上がる銘柄と下がる銘柄を、業種ごとに詳しく紹介します。もちろん株価は他の要因により影響も受けますのであくまでも原油価格が上がった時に注目されやすい銘柄と考えておくのが良いと思います

原油価格上昇で株価が上がる銘柄

原油価格の上昇は、石油関連企業やエネルギーセクターを中心に収益拡大が期待されるため、株価上昇につながりやすいです。以下は主な恩恵を受ける業種と代表的な銘柄です。
鉱業(石油・天然ガス開発)
原油や天然ガスの採掘・開発を行う企業は、原油価格の上昇で直接的な収益増加が見込まれます。これらの企業は資源権益を保有しており、価格高騰が利益を押し上げます。
INPEX(1605): 日本最大の総合エネルギー企業で、UAEやオーストラリアなど世界中で事業を展開。原油高で権益からの収益が拡大。

石油資源開発(1662): 国内や海外で石油・天然ガス開発を行う。原油価格上昇でプロジェクトの採算性が向上。

三井松島ホールディングス(1518)やK&Oエナジーグループ(1663): 資源開発に関与し、原油高が収益にプラス。

石油開発・精製(石油元売り)
石油精製や販売を行う企業は、原油価格上昇による在庫評価益やマージン改善で利益が拡大します。特に、石油備蓄義務により在庫を抱える企業は、期末の在庫評価額増加が収益に寄与します。
出光興産(5019): 国内大手の石油元売り企業。精製マージンの改善や在庫評価益が株価を押し上げ。

ENEOSホールディングス(5020): 日本最大の石油精製企業で、原油高による収益向上が期待される。

富士石油(5017): 精製能力が高く、原油価格上昇で利益拡大が見込まれる。

総合商社
総合商社はエネルギー資源のトレーディングや権益保有を通じて、原油高による収益増加が期待されます。また、資源関連の投資先企業の業績向上もプラスに働きます。
三菱商事(8058): エネルギー事業に強く、原油高でトレーディング収益や投資先の価値が上昇。

住友商事(8053)や三井物産(8031): 資源ビジネスが収益の柱で、原油価格上昇が業績を押し上げ。

プラント関連企業
原油価格上昇は産油国の経済を潤し、石油開発やインフラ整備の需要が増加します。これにより、プラントエンジニアリング企業の受注が拡大します。
日揮ホールディングス(1963): 石油・ガスプラントの設計・建設で実績があり、中東などでの受注増が期待される。

千代田化工建設(6366): LNGプラントや石油関連プロジェクトで、原油高による需要増がプラス。

原油価格上昇で株価が下がる銘柄

一方、原油価格の上昇は、燃料や原材料コストの増加を通じて収益を圧迫する企業にとってマイナス要因となります。特に、石油を大量に消費する業界は影響を受けやすいです。以下は主な影響を受ける業種と銘柄です。
運輸業(航空・陸運)
航空会社やトラック運送業は、燃料コストが運営費の大きな割合を占めるため、原油価格上昇が利益を圧迫します。
ANAホールディングス(9202): 航空燃料の高騰がコスト増に直結し、収益悪化の懸念。

日本航空(9201): 燃料サーチャージで一部コスト転嫁可能だが、原油高は業績にマイナス。

ヤマトホールディングス(9064): 陸運企業で、ガソリンや軽油価格の上昇が利益率を低下させる。

化学・素材産業
石油を原材料とする化学製品やプラスチック製造企業は、原油価格上昇による原材料コスト増が収益を圧迫します。
三井化学(4183): 石油化学製品の生産コストが上昇し、マージン縮小のリスク。

住友化学(4005): 原油高による原材料価格の上昇が利益に悪影響。

ユシロ化学工業(5013): 潤滑油や化学製品の生産で、原油価格上昇がコスト増に直結。

電力・ガス
電力会社やガス会社は、燃料コストの上昇が収益を圧迫します。特に、火力発電に依存する企業は影響が大きいです。
東京電力ホールディングス(9501): 燃料費高騰がコスト増となり、収益悪化の懸念。

関西電力(9503): 原油やLNG価格の上昇が発電コストを押し上げ。

東京ガス(9531): 燃料調達コストの増加が利益率を圧迫。

注意点と市場全体への影響

原油価格の上昇は、経済全体にインフレ圧力をもたらし、景気や消費者マインドに影響を与える可能性があります。景気が底堅ければ、原油高の悪影響は限定され、恩恵を受ける銘柄の株価は強い動きを見せることが多いです。しかし、過度な価格上昇は経済成長のブレーキとなり、市場全体の株価下落リスクを高めます。投資の際は、原油価格の動向だけでなく、地政学リスク(例:中東情勢)や需給バランス、為替動向なども注視する必要があります。

企業一覧

INPEX/石油資源開発/三井松島ホールディングス/出光興産/ENEOS/富士石油/三菱商事/住友商事/三井物産/日揮ホールディングス/千代田化工建設/ANA/日本航空/ヤマトホールディングス/三井化学/住友化学/ユシロ化学工業/東京電力/関西電力/東京ガス/