維新・藤田共同代表が記者名刺をXで公開:威力業務妨害の可能性について

しんぶん赤旗が維新・藤田共同代表に記者の個人情報削除を要求
会社のメール・電話番号公開は「業務妨害罪」に該当する?

しんぶん赤旗が維新・藤田共同代表に記者の個人情報削除を要求

共産党機関紙「しんぶん赤旗」は2025年11月4日、日本維新の会の藤田文武共同代表に対し、自身がXに投稿した取材記者の名刺画像の即時削除と記者への謝罪を求める申し入れを行いました。この要求は、藤田氏側による公金還流疑惑を報じた記事がきっかけです。

公金還流疑惑報道の概要

しんぶん赤旗日曜版(電子版)は10月29日、藤田氏側が2017年6月から2024年11月にかけて、公設第1秘書が代表を務める株式会社リ・コネクト(兵庫県西宮市)に、ビラ印刷費や国政報告書作成費などの名目で約2100万円を支出したと報じました。このうち約1965万円が政党交付金などの公金から支払われたもので、会社側が同秘書に年720万円の報酬を支給していた点も指摘。「身内への税金還流」との疑義を呈しています。

藤田氏の名刺公表とその影響

報道直後の10月30日未明、藤田氏はXに日曜版編集部への回答書を投稿する際、取材記者の名刺画像を添付。一部をモザイク処理したものの、記者名、メールアドレス、編集部直通電話番号が判明する状態でした。これにより、近畿地方の事業者相談フォームから記者のメールに1800件超の自動返信が送信され、編集部電話にも複数回の嫌がらせ電話が入る業務妨害が発生しています。

しんぶん赤旗の申し入れ内容

  • 名刺画像の即時削除
  • 記者個人への謝罪
  • 今後同様の行為を繰り返さない確約

共産党は「与党幹部が権力監視報道をする記者の個人情報をネット公開するのは、言論への威嚇・圧力であり、記者攻撃や嫌がらせを誘発する危険性がある」と強く抗議。志位和夫委員長もXで「与党幹部による言論、ジャーナリストへの威嚇・圧力を決して許してはならない」と非難しました。

藤田氏側の対応

藤田氏は疑惑本体について「全て実態のある正当な取引であり、専門家に相談の上で適法」とXで反論。11月2日にはYouTube動画で秘書会社への発注を今後一切行わないと表明し、4日の記者会見で詳細説明する方針です。名刺公表に関する謝罪や削除の言及は、現時点で確認されていません。

各界の反応

ネット上では「言論弾圧」「ドクシング(個人情報晒し)」との批判が相次ぎ、維新創設者の橋下徹氏も疑惑の構図自体を問題視。野党側は与党幹部による報道圧力として注視しています。この一連の動きは、与党入りした維新の信頼性に新たな影を落としています。

会社のメール・電話番号公開は「業務妨害罪」に該当する?

日本維新の会・藤田文武共同代表が2025年10月30日未明にXへ投稿した「しんぶん赤旗記者名刺画像」は、記者個人名に加え、編集部直通電話番号記者専用メールアドレスがそのまま読める状態でした。これが「個人情報」ではなく「会社の連絡先」だとしても、政治家の影響力で1800件超の自動メールと複数回の嫌がらせ電話を引き起こした事実は、刑法234条「威力業務妨害罪」の成立を十分にうかがわせます。

威力業務妨害罪の成立要件(刑法234条)

  • 威力:人の自由意思を抑圧する勢力(暴行・脅迫より広い)
  • 業務:新聞社の取材・編集・配信という反復継続業務
  • 妨害:業務が事実上不能・著しく困難になった状態

最高裁は「威力」を「相手の意思を制圧するに足りる勢力」と広く解釈。政治家の投稿はフォロワー数十万人が即時閲覧可能で、実力的勢力に該当します(最判昭和56年4月23日)。

本件で揃う3要件

要件 本件の該当事実
威力 衆議院議員(与党共同代表)のX投稿
→即時拡散・炎上
業務 しんぶん赤旗日曜版の取材・編集業務
妨害 ・記者メールに1800件超の自動返信
・編集部電話に嫌がらせ複数回
→取材対応・記事作成が実質停止

「会社の連絡先だからセーフ」は通用しない

最高裁は「業務用電話・メールも保護対象」と明言(最判平成12年9月22日)。
過去判例では、企業公式Twitterアカウントへの集中攻撃で威力業務妨害罪が認定された例があります(東京地裁平成29年3月30日)。
「個人情報でない=妨害にならない」は誤りです。

政治家特有の「影響力」が加重要素

警察庁通達(平成30年)では「公職者の投稿は拡散力が高いため、威力の認定で特に慎重に検討」と明記。
藤田氏投稿後、維新支持層からの組織的攻撃が確認されており、単なる「一般人晒し」とは明確に区別されます。

結論:会社の連絡先でも「政治家の晒し」は犯罪ライン

記者名だけなら「報道の自由とのバランス」でグレーゾーンでしたが、編集部電話・記者専用メールを晒した瞬間、業務の中枢を直接攻撃したことになります。もちろん、実際の裁判でどのような判決がでるのかはわかりませんが政治家の影響力は「威力」の最たるもので威力業務妨害罪の可能性は十分にあると言えます