・大阪・関西万博のEVバス導入概要
・中国製EVバスにおける他の不具合事例
大阪・関西万博のEVバス導入概要
大阪・関西万博(2025年開催)では、来場者の輸送手段として大阪メトロが電気自動車(EV)バス150台を導入しました。これらのバスは、中国の宇通客車製で、EVモーターズ・ジャパン(EVMJ)が輸入販売を担当しました。導入費用は約56億円で、万博期間中は会場周辺のシャトルバスとして活用されました。
バスの仕様と役割
これらのEVバスは大型バスで、万博の来場者を運ぶために使用されました。環境に配慮した電気駆動方式を採用し、会場内の移動を支えました。閉幕後は路線バスなどへの転用が当初計画されていました。
閉幕後の転用予定
万博閉幕後、EVバス150台は近鉄バスや南海バスなどの路線バス事業者への譲渡を予定していました。これにより、公共交通への再利用を図る方針でした。しかし、安全性に関する問題が発生したため、転用計画は保留状態となっています。
転用計画の詳細
譲渡先として検討されていた事業者には、近鉄バス、南海バスなどが含まれていました。転用により、既存の路線バスとして活用する予定でしたが、現在は大阪メトロの駐車場に留め置かれ、運行の見通しが立っていません。
安全性に関する疑問と現状
EVバスの安全性に疑義が生じたのは、EVMJ製バスの不具合が各地で発生したためです。2025年10月20日、国土交通省がEVMJに対して道路運送車両法に基づく立ち入り検査を実施しました。さらに、同年11月、EVMJが一部車種についてハンドル操作時のブレーキホース摩耗によりブレーキが効きにくくなる恐れがあるとして、リコールを届け出ました。
不具合の具体例
2025年9月、大阪市福島区でEVバスが単独事故を起こした事例では、運転手がハンドルを左に切ったにもかかわらずバスが右に進み、中央分離帯に衝突しました。また、他のトラブルとしてモーターの突然停止が報告されています。これらの原因は未解明で、大阪メトロは214台のEVバスの約9割の運行を停止しました。
現在の状況
大阪メトロは、国土交通省の検査後、EVMJ製車両の使用を当面中止することを決定しました。これにより、万博用150台に加え、オンデマンドバス用超小型バス40台の計190台が「塩漬け」状態となっています。運行再開のめどは立っていません。
中国製EVバスにおける他の不具合事例
大阪・関西万博で使用されたEVMJ販売のEVバス以外にも、中国製EVバス(主にEVMJ輸入分)でさまざまな不具合が報告されています。これらは主に2025年に集中しており、国土交通省の指示による総点検で明らかになったものです。以下に、主な事例を紹介します。
福岡県筑後市のEVスクールバス事例
福岡県筑後市では、2025年4月に国内初のEVスクールバスとして4台(YANCHENG製)が小学校向けに導入されました。しかし、運行開始直後から自動ドアの開閉不良、センサー不具合などが多発し、わずか2週間でディーゼルバスに切り替えられました。その後一度復活したものの、同日に再び不具合が発生し、全4台がEVMJに返品されました。保護者からは「子どもを乗せられない」との声が上がり、保護者投書がきっかけで報道されました。
自動運転実証実験中のトラブル
大阪・関西万博会場内での自動運転EVバス(WISDOM製)では、2025年4月に停車後に勝手に動き出し、壁やコンクリートに接触する事故が発生しました。また、他の自動運転実証でも走行中の突然停止や制御異常が複数報告されています。これらの事例では、車両側の不具合が一部原因と指摘されています。
全国共通の不具合報告(総点検結果)
2025年9月、国土交通省がEVMJ販売の全317台に対し総点検を指示した結果、113台(約35%)で不具合が確認されました。具体例として、ブレーキチャンバーの脱落、自動ブレーキ用カメラの脱落、天井からの雨漏り、タイヤハウスからの雨水侵入、ドアのゴムクッション外れ、ブレーキフルードタンクの破損などが挙げられます。一部は保安基準違反に該当し、重大事故につながる恐れがありました。
その他の地域でのトラブル
全国のバス事業者から、モーターの突然停止、走行中のシステム不具合、充電時の異常などの報告が相次いでいます。これにより、運行停止や乗務拒否が発生し、公共交通の信頼性に影響を与えています。EVMJは中国複数社(WISDOM、YANCHENG、VAMOなど)に製造委託しており、これらの車両で共通の問題が見られます。
当局の対応状況
これらの不具合を受け、国土交通省は2025年10月にEVMJに対し立ち入り検査を実施しました。また、11月にはブレーキホースの設計不備によるリコール(85台対象)が届け出られました。このリコールは、ハンドル操作時にホースが摩耗・損傷し、ブレーキ効力低下の恐れがあるものです。
これらの事例は、主にEVMJ経由の中国製EVバスに集中しており、他の中国メーカー(例:BYD、宇通)の日本導入事例では同様の多発報告は確認されていません。品質管理や補助金活用時の審査体制の見直しが求められています。
