ファミリーマートがゲーム機を5000店舗に導入方針:ローソン、セブンイレブンの状況は?

ファミリーマートの「あそべるコンビニ」戦略
ローソンとセブンイレブンのゲーム機設置状況

ファミリーマートの「あそべるコンビニ」戦略とゲーム機設置拡大

ファミリーマートは2025年12月17日、コンビニエンスストアに「遊び」の要素を積極的に取り入れる新戦略「あそべるコンビニ」を発表しました。この戦略では、店舗を単なる買い物の場ではなく、エンターテイメント体験を提供する場所へと進化させることを目指しています。特に、クレーンゲームやカプセルトイなどのアミューズメント機器(ゲーム機)の設置を大幅に拡大する方針が明らかにされました。

ゲーム機設置の目標と背景

ファミリーマートは、現在一部の店舗で導入しているクレーンゲームなどのゲーム機を、国内店舗の約3分の1に相当する約5000店舗まで広げる計画です。これにより、来店動機の創出と買い物以外の収益拡大を図ります。

背景には、コロナ禍以降の店舗スペースの見直しがあります。イートインスペースや書籍コーナーを縮小した空きエリアを有効活用し、インバウンド需要や若年層の取り込みを強化する狙いです。また、IP(知的財産)事業の拡大を通じて、アニメ・ゲーム関連のコラボレーションを増やし、関連売上を3年で倍増させる目標を掲げています。

具体的な導入内容

主なゲーム機として、「ファミマクレーンゲーム」が全国の店舗で段階的に導入されます。これらは人気キャラクターのプライズ(景品)を揃えたクレーンゲームで、店舗での遊び体験を提供します。

さらに、ポケモン関連の「ポケモンフレンダ」を限定店舗で試験的に設置する取り組みも進められます。これらの機器は、家族連れや若者を中心に店舗の滞在時間を延ばし、新たな顧客層の獲得に寄与することが期待されています。

今後の展開

このゲーム機設置拡大は、2026年以降のアニメ・ゲーム・映画とのコラボレーション企画と連動して進められます。店舗を「体験の場」として位置づけ、ジャパンカルチャーの発信拠点とする戦略の一環です。ファミリーマートは、こうした取り組みを通じて、従来の「衣食住」に「遊」を加えた新しいコンビニ像を実現しようとしています。

ローソンとセブンイレブンのゲーム機設置状況

コンビニエンスストア業界では、店舗スペースの有効活用や新たな来店動機の創出を目的に、アミューズメント機器の導入が進んでいます。特にクレーンゲームの設置が注目されており、ローソンでは積極的な拡大が見られます。一方、セブンイレブンでは同様の大規模導入は確認されていません。

ローソンのクレーンゲーム導入状況

ローソンは2024年春からクレーンゲームの本格導入を開始し、タイトーと提携して店舗への設置を進めています。2025年9月30日時点で導入店舗数は1300店舗を突破しており、2025年度中の目標だった1000店舗を前倒しで達成した後、さらに拡大を続けています。

クレーンゲームは1回100円の手軽さが特徴で、人気キャラクターの景品やローソンオリジナル商品(例:からあげクン関連景品)を揃え、子どもから大人まで幅広い層に利用されています。売上効果も大きく、目標を上回る実績を挙げており、店舗の滞在時間延長や関連商品購入の促進に寄与しています。

セブンイレブンのゲーム機設置状況

セブンイレブンでは、ローソンやファミリーマートのような全国規模でのクレーンゲーム設置拡大の方針は発表されていません。一部の店舗でカプセルトイや小型のアミューズメント機器が置かれているケースはありますが、クレーンゲームの本格的な導入に関する公式情報は確認されていません。

セブンイレブンは従来、商品販売やサービス提供を主軸とした店舗運営を重視しており、アミューズメント機器の積極的な設置よりも、食品や日用品の強化に注力している状況です。

業界全体の動向

ファミリーマートの「あそべるコンビニ」戦略のように、コンビニがエンターテイメント要素を加える動きが広がる中、ローソンは既に1300店舗超の実績を築いています。一方、セブンイレブンは現時点で同様の取り組みを大規模に進めていないため、各チェーンの店舗特性に応じた差別化が見られます。