盆休みにお墓参りに行く人は減っている?盆休みの過ごし方

お盆のお墓参り、参加者は減っているのか?
お盆休みに何をしている?日本人の主な活動とその割合

お盆のお墓参り、参加者は減っているのか?最近の動向を解説

日本ではお盆の時期に先祖の霊を迎え入れ、供養するために墓参りをする習慣が古くから続いてきました。しかし、近年の調査やデータによると、特に若い世代を中心に墓参りの習慣が変化しつつあり、参加者が減少する傾向が見られます。この記事では、最近の統計や背景をもとに、お盆のお墓参りの実態について詳しく紹介します。

最近の統計データ:お墓参りの参加率

いくつかの調査により、お盆にお墓参りに行く人の割合やその変化が明らかになっています。以下に、主要な調査結果をまとめます。

  • 博報堂生活総研「生活定点1992-2024」調査:2024年の調査によると、「1年以内に盆の墓参りをした」と回答した人は40.2%で、2022年の調査から約5ポイント上昇しました。しかし、年代別に見ると、20代の参加率は25.5%と全体平均より約15ポイント低く、60代の54.0%と比べると大きな差があります。この結果から、若い世代の墓参り離れが顕著であることがわかります。
  • TimeTree未来データレポート(2024年8月版):カレンダーシェアアプリ「TimeTree」のユーザーデータを基にした調査では、20代の「お墓参り」予定登録率が60代の約4割程度にとどまることが判明しました。10代~20代では、墓参りや盆踊りといった先祖を偲ぶ伝統的な行事の予定が少なく、代わりに部活動やアルバイトなどの日常的な予定が優先される傾向が見られます。
  • 株式会社プラネットの意識調査(2023年):この調査では、全体の36.0%が「お墓参りの習慣がない」と回答し、3人に1人が墓参りをしない実態が浮き彫りにされました。特に、仏壇がない家庭では47.3%が墓参りの習慣がないと回答しており、伝統的な供養の意識が薄れていることが伺えます。
  • 株式会社クレオの調査(2024年):8月のお盆行事の実施率は56.2%で、昨年より3.4ポイント増加しましたが、その中で「お墓参りをした」と回答した人は34.1%にとどまりました。帰省(24.2%)など他の活動に比べ、墓参りの優先度が下がっていることがわかります。
  • 日本香堂の意識調査(2025年):66.1%がお盆を「良い文化」と評価する一方、墓参りの実施率は39.6%でした。興味深いことに、20代の墓参り実施率が45.7%と全年代で最も高く、若者の伝統離れに対する一部の反証も見られます。ただし、これは家族世帯や既婚者の影響が強い可能性があります。

墓参り減少の背景

お墓参りに行く人が減っている背景には、以下のような要因が考えられます。

  1. 若い世代の価値観の変化:10代~20代にとってお盆は「帰省期間」としての意味合いが強く、先祖を偲ぶ宗教的な行事としての認識が薄れていることが指摘されています。特に、20代以下の世代では、墓参りや盆踊りよりも部活動やアルバイト、塾などの日常的な予定を優先する傾向が顕著です。
  2. 物理的なお墓の減少:2022年度の「墓じまい」(改葬)は過去最多の15万1076件に上り、少子化や供養の多様化が影響しているとされています。お墓を持たない家庭が増えることで、墓参り自体の機会が減少している可能性があります。
  3. コロナ禍の影響:コロナ禍で墓参りの回数が「減少した」と回答した人が26.2%でした。また、2016年の調査と比較して、年1回以上墓参りに行く人の割合が89.3%から24.8%減少したとの報告もあり、コロナ禍が一時的に墓参りの習慣に影響を与えた可能性があります。
  4. 猛暑による影響:近年は猛暑による熱中症リスクから墓参りを断念する人が増えています。墓参り代行サービスの依頼が倍増するなど、従来の墓参りの形が変わりつつあることも影響していると考えられます。
  5. 生活スタイルの多様化:夏期休暇の取得時期が多様化し、若い世代がお盆を特別な行事として意識しなくなっていることが示唆されています。また、都市部への人口集中や遠方のお墓へのアクセスの難しさも、墓参り離れの一因となっています。

地域や世代による違い

墓参りの習慣には地域や世代による違いも見られます。たとえば、株式会社プラネットの調査では、北海道や九州・沖縄では屋内墓苑やロッカー式のお墓の割合が他の地域より高く、伝統的な石墓が主流の東北や北関東とは対照的です。また、既婚者や子育て世帯では墓参りの実施率が比較的高い傾向にあり、家族構成も影響を与えていることがわかります。

今後の展望:お墓参りの変化と新しい供養の形

墓参りの減少傾向は、伝統的なお盆の意味合いや供養の形が変化していることを示しています。以下のような新しい動きも見られます。

  • 墓じまいの増加:お墓の管理負担を軽減するため、墓じまいを考える人が増えています。2023年のプラネットの調査では、墓じまいを「考えている」人が50代で最も多く、全体の20%以上が検討中と回答しました。
  • 新しい供養のスタイル:散骨や樹木葬、納骨堂など、従来のお墓に代わる供養の形が普及しつつあります。これにより、物理的なお墓を持たない家庭が増え、墓参りの習慣自体が変わりつつあります。
  • 心の中での供養:「故人を偲ぶ気持ちは心の中で寄せればよい」との意見も見られ、物理的なお墓や仏壇に依存しない供養の意識が若い世代で広がっていることが伺えます。

まとめ

お盆のお墓参りに行く人の割合は、全体的には40~60%程度で推移していますが、若い世代(特に20代以下)では参加率が低く、墓参り離れの傾向が顕著です。価値観の変化、墓じまいの増加、コロナ禍や猛暑の影響、生活スタイルの多様化などがその背景にあります。一方で、20代の一部で墓参り実施率が高いケースや、家族世帯での伝統重視の傾向も見られ、完全に習慣が失われているわけではありません。今後は、散骨や納骨堂など新しい供養の形がさらに普及し、お盆の過ごし方や墓参りの意義が多様化していくでしょう。

お盆の墓参りは、日本の伝統文化の一端を担っていますが、現代のライフスタイルや価値観の変化に伴い、その形や意義が見直されつつあります。あなたのお盆の過ごし方はどのように変わりましたか?ぜひコメントで教えてください。

お盆休みに何をしている?日本人の主な活動とその割合

お盆休み(2025年は8月13日~16日が一般的)は、日本で先祖の霊を迎え入れ、供養する伝統的な期間であり、家族や親戚が集まる大切な機会です。現代では、帰省や墓参りだけでなく、旅行、レジャー、自宅での休息など、過ごし方が多様化しています。以下では、調査データや近年の傾向をもとに、お盆休みの主な活動とその割合を紹介します。

お盆休みの主な活動と割合

お盆休みに日本人がどのような活動をしているのか、調査結果や傾向を基に以下にまとめます。データが限定的な場合、推定値を記載しています。

  • 帰省:お盆休みに故郷へ帰省する人は約24.2%(2024年、株式会社クレオ調査)。しかし、別の調査では54.6%が「帰省しない」と回答しており、帰省の割合は減少傾向にあります。特に20代では帰省しない人が約30%と、若い世代で低い傾向です。理由として、猛暑、交通費、混雑が挙げられます。
  • 墓参り:伝統的な墓参りは約34.1%(2024年、株式会社クレオ調査)。別の調査では、1年以内の墓参り経験者が40.2%で、20代は25.5%、60代は54.0%と世代差が顕著。20代の家族世帯では45.7%と高い場合も。
  • 家族や親戚との時間:家族や親戚と過ごす人は約60%以上(2025年、日本香堂調査)。8月14~15日に集まり、仏壇に供物を供えたり、食事を共にしたりする人が多い。
  • 盆踊りや地域の祭り:盆踊りや夏祭りに参加する人は約10~15%(推定)。若い世代の参加率は低く、20代は60代の半分以下。ただし、徳島の阿波踊りや京都の五山送り火など特定イベントは人気。
  • 旅行やレジャー:約20~25%が国内旅行や観光を計画(2025年、Activity Japan推定)。北海道や沖縄など涼しい地域やリゾート地が人気で、家族やカップルが多い。
  • 自宅での休息:帰省や外出をせず自宅で過ごす人は約30%(2025年、女性自身調査)。猛暑や混雑を避ける傾向や、繁忙期で休めない人も。

活動の背景と傾向

お盆の活動は世代や地域、ライフスタイルで異なります。以下はその背景です。

  1. 帰省の減少:帰省しない54.6%の理由は、猛暑、交通費、混雑、コロナ禍後の生活変化。「実家との関係性」や「大変」といった声も。
  2. 墓参りの世代差:20代の墓参り率は25.5%と低いが、家族世帯では45.7%。墓じまい(2022年度15万1076件)の増加で墓参り機会が減少。
  3. 地域イベント:京都の五山送り火(観光客20%)、徳島の阿波踊り(約3万人参加)など地域イベントが人気。
  4. 旅行の増加:お盆を夏休みと捉え、北海道や沖縄への旅行が人気。アクティビティ(ラフティング、SUP)も増加。
  5. 自宅での過ごし方:猛暑や混雑を避け、約30%が自宅で休息。リモートワーク普及も影響。

地域による違い

  • 東京:7月または8月に墓参りや隅田川の灯籠流し。
  • 京都:8月16日の五山送り火は観光客20%が参加。
  • 沖縄:旧暦(8月下旬~9月)でエイサーや祭り。観光客約15%。

今後の展望

  • 伝統の変化:墓じまいや散骨の普及で墓参り減少、心での供養が増加。
  • 旅行の人気:涼しい地域やアクティビティ旅行が増加。
  • 新しい形式:オンライン供養やビデオ通話など新たな過ごし方も。

まとめ

お盆休みの活動は、帰省、墓参り、家族との時間、盆踊りや祭り、旅行、自宅休息と多様。世代や地域で異なり、若い世代は帰省や墓参りが少なく、旅行や休息が増加。伝統と現代的ライフスタイルが混在し、多様化が進んでいます