ASEAN10カ国で中国が「信頼できる国」「今後重要なパートナー」1位に
外務省が2026年3月13日に公開した令和7年度海外対日世論調査(ASEAN編)では、日本への友好・信頼評価は依然として非常に高く(友好93%、信頼94%)、前回から上昇傾向にあります。対象はASEAN10カ国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)です。しかし、特に注目すべきは「信頼できる国」「将来のパートナーシップ」に関する質問で、中国が日本を上回る結果となった点です。これはASEAN諸国における中国の経済的影響力や地政学的プレゼンスの強さを示唆するものとなりました。
今後重要なパートナーとなる国・機関(複数回答)
G20諸国等の中で「今後重要なパートナーとなる国・機関」を複数選択で聞いたところ、中国が52%で1位、日本が45%(前回43%)で2位となりました。前回調査では日本が1位だったため、順位が逆転した形です。中国の選択率が日本を7ポイント上回った背景には、経済投資やインフラプロジェクト(一帯一路など)の影響が大きいと見られます。
最も信頼できる国・機関(単一回答)
一方、「最も信頼できる国・機関」を1つだけ選ぶ質問では、中国が22%で1位、ASEAN自身が20%で2位、日本が17%(前回17%)で3位となりました。前回は日本がASEANに次ぐ2位だったため、ここでも順位が下がっています。中国がトップとなったのは、前々回の令和3年度調査以来のことで、ASEAN内の信頼構造に変化が生じている可能性を示しています。
日本は依然として高い評価を維持 ただし中国の存在感が急増
全体として、ASEAN諸国での日本イメージは極めて良好です。日本を「とても友好的な関係にある」または「どちらかというと友好的」とする回答は93%(前回91%)、信頼できるとする回答は94%(前回91%)と、いずれも上昇。日本が「平和国家」として評価される割合も91%と高いままです。しかし、パートナーシップや信頼の「最上位」争いでは中国が優位に立ったことで、日本外交にとって今後の課題が浮き彫りになりました。
総括:日本への好感度は最高水準を維持するも、中国の影響力拡大が鮮明に
この調査結果から、ASEAN10カ国において日本は「友好・信頼」の面で圧倒的な高評価を維持しており、平和国家としてのイメージや経済貢献への支持も堅調です。一方で、「今後重要なパートナー」および「最も信頼できる国」のランキングで中国が1位を獲得した事実は、中国の経済力・投資規模がASEAN地域で急速に浸透している現実を如実に表しています。日本は前回1位から2位・3位へ後退したものの、依然として上位をキープしており、信頼基盤は揺らいでいません。今後、日本外交は経済連携の深化や安全保障協力の強化を通じて、ASEAN諸国との「質の高いパートナーシップ」をさらに築いていくことが求められるでしょう。このデータは、日中両国の影響力競争が東南アジアで本格化していることを改めて示す、重要な示唆に富んだ調査結果です。
調査はIpsos社(香港)に委託し、令和7年10月にASEAN10カ国(各国300名、計3,000名・18〜59歳)を対象にインターネットで実施されたものです。詳細は外務省公式サイトのPDF(結果概要・詳細)で確認可能です。
