テレ朝、田原総一朗氏の不適切発言を「あってはならない事態」と認識 再発防止でチェック体制強化を発表
2025年10月28日、テレビ朝日(テレ朝)は定例社長会見で、ジャーナリストの田原総一朗氏(91)がBS朝日の討論番組「激論!クロスファイア」で放った不適切発言について、「あってはならない事態と重く受け止めている」と公式にコメントしました。この発言は、番組内で自民党の高市早苗総裁(当時)を念頭に置いた「あんな奴は、死んでしまえと言えばいい」という過激な表現で、放送後すぐに大きな批判を呼びました。テレ朝側は、再発防止策として「チェック体制の強化」を掲げ、収録番組の事前レビューや編集プロセスの見直しを進める方針を示しています。
発言の詳細と背景:選択的夫婦別姓議論が引き金に
問題の発言は、2025年10月19日放送の「激論!クロスファイア」で発生しました。ゲストに自民党の片山さつき氏、立憲民主党の辻元清美氏、社民党の福島瑞穂氏を招き、選択的夫婦別姓制度をテーマに議論が白熱。高市総裁が同制度に反対の立場を取っていることに触れ、田原氏はゲストの批判的な意見を煽る形で「あんな奴は、死んでしまえと言えばいい」と発言。これが放送され、視聴者から「政治討論番組としてモラルを逸脱している」「ヘイトスピーチに近い」との非難が殺到しました。
BS朝日は放送直後に田原氏に厳重注意を下し、次回放送で謝罪テロップを挿入する予定でしたが、批判の拡大を受け、10月24日に臨時取締役会で番組自体を終了させる決定を下しました。局側は「政治討論番組としての責任を果たせなかった」と釈明し、編成制作局長に対する懲戒処分も発表。田原氏自身もX(旧Twitter)で「不適切な発言で視聴者の皆様に不快な思いをさせたことをお詫びします」と謝罪していますが、詳細な経緯説明は避けています。
テレ朝の対応:謝罪と再発防止策の具体的内容
テレ朝の社長会見では、発言を「視聴者の信頼を損なうものであり、放送局としての責任が問われる」と位置づけ、単なる個人の問題ではなく組織的なチェック不足を認めました。再発防止策として以下の点を挙げています:
- 収録番組の事前スクリプトレビューを義務化し、司会者やゲストの発言内容を事前に確認。
- 編集段階での複数人によるダブルチェック体制を導入。
- 全スタッフ向けのコンプライアンス研修を強化し、特に政治関連番組での表現ガイドラインを策定。
これにより、BS朝日を含むグループ全体で同様の事態を防ぐ狙いですが、会見では具体的な実施時期や責任者の言及は控えめで、ネット上では「本気の改革か、形だけの対応か」との疑問の声が上がっています。
「朝まで生テレビ!」に田原氏を出演させた矛盾:視聴者の理解不能な局の判断
テレ朝の厳しい対応の一方で、田原氏が同じBS朝日の看板番組「朝まで生テレビ!」(以下、朝生)に司会として予定通り出演した事実は、視聴者の間で大きな混乱と批判を招いています。問題発言からわずか1週間後の2025年10月26日夜、田原氏は何事もなかったかのようにスタジオに登場。番組冒頭で高市総裁関連の挑発的な質問を投げかけ、共演者や視聴者を困惑させる場面もありました。この矛盾した対応に、「再発防止のチェック体制強化を掲げながら、なぜ田原氏を起用し続けるのか」「視聴者を馬鹿にしている」との声がX上で爆発的に広がっています。
朝生出演の詳細:謝罪なしの「通常運転」が火に油
10月26日の朝生は、テーマ「高市政権の今後」を取り上げ、公明党の上田勇政調会長代理ら与野党議員が出演。田原氏はオープニングで「高市さんが総理大臣になったことに賛成の人、手を挙げて」と呼びかけ、スタジオをざわつかせました。さらに、公明党の連立離脱理由を巡り、上田氏に「いんちき」と連呼するなど、過去の「田原節」が全開。不適切発言への言及は一切なく、軽快に番組を進行したため、視聴者からは「全く反省していない」「謝罪動画は嘘だったのか」との厳しい指摘が相次ぎました。
番組終了後、Xでは「#田原総一朗」のハッシュタグがトレンド入り。一部では、スポンサー離れの懸念も浮上し、ACジャパンCMが流れたとの投稿が拡散されました。
視聴者の苦言と局のジレンマ:老舗番組の存続 vs. 倫理的責任
朝生は1987年開始のテレ朝の長寿番組で、田原氏の司会ぶりがその魅力の一つとされてきましたが、近年は「出演者の話を遮る」「怒声で進行」などのスタイルが批判の的。地上波からBS移行後も、田原氏の起用は「伝統の継続」として続けられてきました。しかし、今回の騒動で「番組の看板を下ろすか、司会者を交代させるべき」との意見が優勢に。テレ朝側は「朝生は生放送の性質上、事前チェックが限定的」と釈明していますが、視聴者からは「それならなおさら、信頼できない人材を司会に据えるな」との反発が強いです。
この矛盾は、テレ朝の「田原依存体質」を露呈した形。過去に暴露発言で波紋を呼んだように、田原氏の「刺激的な進行」は視聴率を稼ぐ一方で、倫理的リスクを伴います。局はチェック強化を約束しましたが、朝生の今後がどうなるか、スポンサーや視聴者の反応次第で変わる可能性が高いでしょう。メディアの責任とエンターテイメントのバランスを問う出来事として、注目が集まっています。
