維新・藤田共同代表が会見 違法性を否定も当該企業への発注は停止へ、赤旗報道は“恣意的”だったのか?

維新・藤田共同代表が会見 違法性を改めて否定も当該企業への発注は停止へ
しんぶん赤旗の報道内容と藤田共同代表の「恣意的」主張

維新・藤田共同代表が会見 違法性を改めて否定も当該企業への発注は停止へ

2025年11月4日、日本維新の会・藤田文武共同代表は国会内で記者会見を開き、自身が代表を務める政治団体から公設第1秘書が代表の会社へ約2100万円を発注していたとする「しんぶん赤旗」の報道について、改めて違法性を否定した。一方で「構図そのものが誤解や疑念を招く」として、当該企業への発注を即時停止する方針を明らかにした。

会見の背景:赤旗報道で浮上した「公金還流」疑惑

  • 共産党機関紙「しんぶん赤旗日曜版」(2025年11月2日電子版)は、藤田氏側が2017~2024年に公設第1秘書が代表を務める兵庫県西宮市の会社へビラデザイン・印刷・情勢調査などの名目で計約2100万円を発注していたと報道。
  • 内訳は政治資金収支報告書で約850万円、調査研究広報滞在費で約1140万円。公金由来の資金が秘書側企業に「還流」した構図が問題視された。
  • 藤田氏は10月30日にXで「すべて実態のある正当な取引であり、専門家にも相談の上で適法」と反論していたが、橋下徹氏(元維新代表)らから「違法でなくても外形的公正性を欠く」と厳しい批判が相次いだ。

藤田氏の説明:違法性はないが「誤解を招く構図」

会見で藤田氏は以下の点を強調した。

  • 適法性の根拠:弁護士・税理士に事前に相談し、政治資金規正法や公職選挙法に違反しない取引だった。領収書・契約書・納品物はすべて保管済み。
  • 取引の実態:秘書会社はデザイン企画や動画制作を外部業者に再発注。差額は人件費・事務所経費に充てられ、藤田氏個人への還流はゼロ。
  • 発注停止の理由:「法的に問題ないが、国民の納税者感覚から見て疑念を生む。党の信頼を損なう恐れがあるため、即時停止する」と説明。

党の対応:吉村代表は続投容認、党内ルール整備へ

  • 吉村洋文代表は会見前、「辞めるとかそういう問題ではない」と藤田氏の続投を明言。「丁寧な説明で責任を果たすことが重要」と述べた。
  • 党は今後、秘書が代表を務める企業への発注を禁止する党内規程を整備する方針。
  • 藤田氏は「反省すべきは反省する」としつつ、「政治改革を掲げる維新として、国民目線を徹底する」と決意を語った。

会見の反応と今後の焦点

  • 会見はYouTubeで生中継され、ネット上では「説明は丁寧だったが態度が強圧的」「違法でないならなぜ止める?」など賛否が分かれた。
  • 野党側は「与党入りした維新の信頼性が問われる」と追及を強める構え。
  • 藤田氏は「必要に応じて追加資料を公開する」とし、疑惑の完全払拭に向けた対応を約束した。

しんぶん赤旗の報道内容と藤田共同代表の「恣意的」主張

2025年10月29日配信の「しんぶん赤旗日曜版」電子版は、日本維新の会の藤田文武共同代表が、2017年6月から2024年11月までの約7年間にわたり、自身の公設第1秘書が代表を務める兵庫県内の会社へビラ・ポスター印刷などの名目で約2100万円を支出していたと報じました。このうち約1965万円が政党交付金や調査研究広報滞在費(旧文通費)などの公金から支払われ、同社から秘書へ年間720万円の報酬が支払われていたとして「身内への税金還流」と指摘しています。

これに対し藤田氏は10月30日未明、Xで「悪意のある税金環流のような恣意的な記事ですが、すべて実態のある正当な取引であり、専門家にも相談の上で適法に行なっているものです」と反論。質問状の回答期限が翌日までだったことや、回答全文が記事に掲載されなかった点を挙げ、「赤旗は共産党のプロパガンダ紙」と批判しました。

報道の根拠:政治資金収支報告書と登記簿

赤旗の報道は、藤田氏の資金管理団体「藤田ふみたけ後援会」や関連政治団体の政治資金収支報告書、および秘書が代表を務める会社の登記簿謄本を基にしています。これらの公的文書から支出の事実と公金比率が明確に確認されており、記事は「構図自体が税金還流」と事実関係を記述。秘書の兼職について国会への「兼職届」提出義務も指摘しています。

藤田氏が発注中止を決定した事実

報道からわずか4日後の11月2日、藤田氏は自身のYouTubeチャンネルで「秘書が代表を務める会社に発注する構図自体が、誤解や疑念を招くとの指摘が多かった。真摯に受け止め、今後は一切行わない」と表明。弁護士確認のもと「適法」との認識を繰り返しつつ、「反省すべきは反省し、説明責任を果たす」と述べ、4日の記者会見で詳細説明を約束しました。

発注中止が意味するもの

藤田氏本人が「構図自体が誤解や疑念を招く」と認め、即座に中止を決めたことは、報道が指摘した問題の核心――外形的公正性の欠如――を事実上認めた形です。共同通信は「公設秘書側への発注中止 維新藤田氏、疑惑報道受け」との見出しで伝え、朝日新聞も「秘書の会社への支出禁止 維新・吉村代表、藤田氏の還流疑惑を受け」と報じています。

維新が党内ルールを変更

藤田氏の発言を受け、日本維新の会は党全体で同様の発注を禁止する方針を決定。吉村洋文代表は11月3日、「秘書が代表を務める会社への支出は今後一切禁止」と明言し、党規約や運用ルールの変更を進めると表明しました。これにより、藤田氏個人の対応を超え、党として「身内企業への公金発注」を禁じるルールが新設されます。

ルール変更の背景

維新は「身を切る改革」を党是に掲げ、与党入り後も他党の「政治とカネ」問題を厳しく追及してきました。橋下徹氏(維新創設者)もXで「実費分以上に利益が発生していたら政治家として完全にアウト」「外形的公正性」を強調し、藤田氏に資料開示を求めています。この党内批判と赤旗報道のダブルパンチが、党全体のルール変更を促した形です。

なぜ「恣意的」とは言えないのか

  • 事実ベースの報道: 支出額・公金比率・秘書報酬は政治資金収支報告書からそのまま引用。
  • 即時対応: 報道から4日で発注中止→問題の存在を藤田氏自身が認めた。
  • 党ルール変更: 維新が党是に反する行為と判断し、禁止ルールを新設。
  • 第三者評価: 橋下徹氏や複数の全国紙が「外形的公正性」の欠如を指摘。

藤田氏は「適法」と主張しますが、発注中止と党ルール変更は「違法でなくても不適切」との判断を示しています。赤旗の記事は、こうした対応を予見させる事実を提示したものであり、藤田氏が発注を止め、党がルールを変更した事に対しては適切な判断をしたと思いますが、最初に「恣意的」だと強く非難した姿勢には疑問を感じざるを得ない結果となりました。