ソニー生命保険、元営業社員による約22億円の個人借入を公表 約12億円が未返済
ソニー生命保険株式会社は2026年3月18日、元営業社員が顧客など約100人から合計約22億円を個人的に借り入れていた事実を明らかにしました。このうち約12億円が現在も未返済であることが複数の報道で伝えられています。同社は本件を「業務とは無関係の個人的な金銭貸借」と位置づけ、会社としての弁済は行わない方針を強調しています。
事件の概要と借入の詳細
問題となった元営業社員は、退職時の所属が横浜ライフプランナーセンター第1支社(神奈川県)でした。2015年から2022年にかけて、顧客やその親族ら約100人を対象に、個人名義で借用書を作成して資金を借り入れました。借入の際には「投資をして利息を付けて返す」「毎月3%の利息を支払う」といった説明を行っていたケースが確認されています。借用書は個人名で作成されており、総額は約22億円に上ります。
発覚の経緯と社員の処分
2023年2月、顧客から「配当金が支払われない」「元社員と連絡が取れない」といった問い合わせが同社に入ったことをきっかけに調査が開始され、問題が発覚しました。調査に対し、元社員は投資目的で借り入れていたことを認めています。同社は社内規定違反として2023年4月に懲戒解雇処分とし、2024年8月時点の調査完了時には約10億円が返済されたものの、残る約12億円については「資金が足りない」として未返済の状態が続いています。
ソニー生命保険の公式対応と見解
同社は公式発表で「日頃より弊社に信頼をお寄せいただいているお客さまおよび関係者の皆さまに、多大なるご心配をおかけしていることについて、深くお詫び申しあげます」と述べています。また、従前より営業社員とお客さま間の個人的な金銭貸借を厳格に禁止し、周知徹底を図っていたと説明した上で、「このような事態が発生したことは大変遺憾」との認識を示しました。本件は約3年前に把握した時点で調査を実施し、元社員が複数のお客さまに借用書を差し入れた個人的借入であることを確認したとしています。
法的な観点から見た会社の責任 使用者責任(民法715条)の適用可能性
元営業社員がソニー生命の肩書を有する顧客に対して個人的に多額の資金を借り入れていた本件において、会社としての責任(特に使用者責任)が問われ得るかが法的に注目されています。民法第715条は、事業者が被用者の「事業の執行について」第三者に加えた損害について賠償責任を負うと定めています。重要な要件は、行為が使用者の事業執行に関連するものである点です。
裁判実務では「外形理論」が用いられ、被用者の職務との関連性や、被害者が使用者の名義・信用を信頼して取引に応じたかどうかなどが判断要素となります。本件では借用書が個人名義で作成され、会社が営業社員による顧客との個人的金銭貸借を社内規定で禁止していたことが会社側の主張の根拠となっています。一方、顧客が長年の担当営業社員としての信頼から貸し付けた可能性がある点は、事業執行の外形を構成するとの主張がなされる余地があります。
過去の類似事案(生命保険会社の営業員が顧客から資金を融通させたケース)では、使用者責任の成立が否定された最高裁判例もあります。最終的な責任の有無は、個別の事情を踏まえた裁判所の判断によることになります。現時点ではソニー生命は会社としての責任を否定する立場を明確にしており、被害者側は元社員個人に対する民事上の請求を主な手段とする状況です。
今後の対策
ソニー生命保険は、引き続きコンプライアンス対応の徹底と所要の対策に取り組む方針です。
本発表は、元社員の行為が保険業務とは一切関係のない個人レベルの問題であることを改めて明確にしたものであり、同社は現時点で他の営業社員による同様の事案は把握していないとしています。お客さまへの影響を最小限に抑えるための透明性確保が求められる状況です。
