日本人に人気の海外移住先と移住に必要な条件

これから、日本人に特に人気のある海外移住先を、在留邦人数や各種調査に基づいて紹介します。主に外務省の最新海外在留邦人数調査統計(令和7年10月1日)や関連ランキングを参考に、実際の人気度と移住条件をまとめました。

移住条件やビザのルールは近年頻繁にアップデートされており、今後も変更される可能性があるため、実際に手続きを行う際は必ず公式機関や専門エージェントで最新情報を確認してください。

アメリカ

人気の理由

アメリカは海外在留邦人数で堂々の世界1位(約41万6,380人)を誇ります。圧倒的な経済規模とビジネスチャンスの多さ、世界最高峰の教育環境、そして多様な文化が入り混じるダイナミックな環境が魅力です。日本人は特にロサンゼルスやニューヨーク、ハワイなどの都市圏に集中してコミュニティを形成しています。

移住に必要な条件

永住権(グリーンカード)の取得ルートは主に、家族スポンサー、雇用ベース、または投資(EB-5プログラム:最低105万ドルの投資と10人以上の雇用創出)のほか、年1回行われるDV抽選プログラム(移民多様化ビザ抽選)があります。専門職向けの就労ビザ(H-1B)は競争率が高く抽選制となっています。なお、永住権を維持するためには、原則として年間180日以上を米国内で過ごす居住実態が必要です。

オーストラリア

人気の理由

在留邦人数は世界2位(約10万5,566人)です。世界トップクラスの治安の良さ、美しいビーチや自然の豊かさに加え、非常に高い生活・労働水準と教育環境が整っている点が人気の理由です。シドニー、メルボルン、ブリスベン、パースといった主要都市が特に選ばれています。

移住に必要な条件

代表的な技術独立ビザ(Subclass 189)はポイントテスト制を採用しており、年齢(45歳未満)、職業リストへの該当、高い英語力(IELTS 6.0以上相当)などを満たし65点以上を獲得する必要があります。雇用主指名ビザ(Subclass 186)はスポンサー企業と3年以上の関連職歴が求められます。また、18〜30歳が対象のワーキングホリデービザ(Subclass 417)を利用して滞在をスタートさせる若年層も多くいます。永住権の維持には、5年のうち2年以上の居住要件を満たす必要があります。

タイ

人気の理由

物価の安さ、年中温暖な気候、そして日本食スーパーや日系クリニックなど生活インフラの充実度が群を抜いており、バンコク都市圏だけでも約5万1,297人(アジア上位)の日本人が暮らしています。リタイアメント世代はもちろん、近年はリモートワークを行うフリーランスやノマドワーカーの移住先としても高い支持を得ています。

移住に必要な条件

50歳以上を対象としたリタイアメントビザ(Non-Immigrant O-A/O-X)は、タイ国内の銀行口座に80万バーツ(約350万円)以上の預金があるか、月収6.5万バーツ以上の年金収入があることが条件です。現地で働くための就労ビザ(Non-Immigrant B)には、雇用先企業を通じたワークパーミット(労働許可証)の取得が必須です。また、富裕層や高度専門人材向けに最長10年滞在できるLTRビザも導入されています。いずれも規定の健康保険加入や、90日ごとの居住地報告(90日レポート)が義務付けられています。

マレーシア

人気の理由

長年にわたり日本人の「ロングステイ希望国」として常に上位にランクインしています。1年中温暖な気候、物価の安さ、多民族国家ならではの多文化共生、そして医療水準の高さが人気の秘密です。英語が広く通じ、日本からの直行便や近隣アジア諸国へのアクセスも良好です。

移住に必要な条件

長期滞在ビザ「MM2H(Malaysia My Second Home)」は、2024年に大幅な制度改定が行われました。現在は「シルバー・ゴールド・プラチナ」の3階層に分かれています。最もハードルの低いシルバークラスの場合、申請年齢は25歳以上に引き下げられましたが、15万米ドル(約2,300万円)の定期預金と、60万リンギット(約2,100万円)以上の不動産購入がセットで必須となり、一定の資金力が求められるようになりました。また、年間60日の滞在義務があります。就労ビザ(Employment Pass)を取得する場合は雇用主のサポートが必要になります。

カナダ

人気の理由

世界有数の移民受け入れ大国であり、多様なバックグラウンドを持つ人々が共生する多文化主義が根付いています。治安が非常に良く、大自然と都市機能が調和したバンクーバーやトロントが特に人気です。医療費や公立学校の学費が無料(永住者や特定のビザ保持者の場合)になるなど、社会福祉の充実も大きな魅力です。

移住に必要な条件

カナダの永住権取得の主流である「エクスプレスエントリー」は、年齢、学歴、職歴、語学力(IELTSなど)に基づくポイント制です。特定の州が推薦するPNP(州推薦プログラム)を利用すると大幅な追加ポイントを得られます。
若者に人気の「ワーキングホリデービザ(IEC)」は18〜30歳が対象ですが、2025年4月の制度改定により、日本国籍者は「生涯で最大2回(各1年間、合計2年間)」の申請が可能になり、現地で就労経験を積むチャンスが大きく広がりました。永住権の維持には、5年間のうち合計2年(730日)以上の居住義務があります。

フィリピン

人気の理由

日本から飛行機で約4〜5時間という近さと、物価の安さ、そして公用語として英語が広く使われている環境が魅力です。セブ島などのビーチリゾートエリアや、マニラ首都圏(BGCやマカティなど)の近代的なエリアに日本人が多く住んでいます。親日的な国民性や、安価で質の高いメイド・ベビーシッター文化も移住者にとって大きな助けとなります。

移住に必要な条件

退職者向け永住権とも呼ばれる「SRRV(特別居住退職者ビザ)」は、2025年9月の大幅な要件緩和により、申請可能年齢が50歳から「40歳以上」に引き下げられました。預託金額は年齢や年金受給の有無によって異なりますが、40〜49歳の場合は「5万米ドル」の預託金が必要です。
また、年齢20歳以上から取得可能で年間50人限定の「クオータビザ(5万米ドル預託)」という希少なビザもあります。いずれも無犯罪証明書や健康診断書が必要で、SRRVは定期的なIDカードの更新手続き(年会費の支払い)が求められます。