映画監督・榊英雄被告に懲役8年判決 東京地裁「立場の差を悪用した悪質で卑劣な犯行」

榊英雄被告に懲役8年の判決:東京地裁が準強姦罪で言い渡し

2026年3月6日、東京地方裁判所は、映画監督で会社役員の榊英雄被告(55歳)に対し、準強姦罪で懲役8年の判決を言い渡しました。この判決は、演技指導を名目に俳優の女性2人に対して性的暴行を加えたとして起訴された事件に関するものです。検察側の求刑は懲役10年でしたが、裁判所は8年としました。

事件の概要

榊英雄被告は、2015年3月に当時20代の女性1人に対し、映画監督としての立場を利用して性行為を強要したとされています。また、2016年7月から9月にかけて、別の当時20代の女性に対しても同様の行為を行ったとして起訴されました。これらの行為は、演技指導などの名目で行われ、被告が監督という優位な立場を悪用した点が指摘されています。

被害者の証言詳細

裁判で認められた被害女性らの証言によると、被告は監督の立場を背景に「俳優としてやっていく覚悟はあるのか」「他の女優もやっている」などと告げ、要求に応じなければ活動が難しくなる不安を植え付けました。これにより、女性たちは「耐えなければならない」と考え、心理的に抵抗できない状態に追い込まれたとされています。一方の女性は、被告から「なんでもやる覚悟はあるのか」と迫られ、「なんでもやります」と答えた後、ホテルに誘われ性行為に及んだと証言。女優としての力量を試されている感覚や、監督の求めることに応じなければいけない上下関係により、支配されていく感覚が続いていると述べています。また、行為を拒否すれば役を降ろされるかもしれないという恐怖や、裸の無防備な状態で逃げられない状況、抵抗したら何が起こるかわからない怖さ(殴られる・殺されるかもしれない)があったと詳細に語っています。裁判所はこれらの証言について、捜査機関による誘導の可能性を否定し、被害申告の経緯に不自然な点がないとして信用性を認めました。

判決の詳細

宮田祥次裁判長は判決で、「監督という立場を利用し、悪質で卑劣な犯行だ」と述べ、被害者2人が受けた精神的・肉体的な苦痛を強調しました。また、被告の規範意識が鈍麻していると非難しています。被害女性らが抵抗できない状態にあり、被告もそれを認識していたとして準強姦罪の成立を認定し、立場の差を悪用した被害者の性的自由を大きく侵害する行為であると指摘しました。

裁判の経緯と主張

公判では、検察側が被告の圧倒的な立場の差を悪用した点を指摘し、懲役10年を求刑。一方、被告側は女性らの証言の信用性を否定し、合意があったとして無罪を主張していました。しかし、裁判所は被害者の証言を信用できると判断。判決言い渡し後、被告は裁判長から「何か言いたいことは」と問われ、「大丈夫です」と答えています。