2026年衆議院選挙における国民民主党候補の公職選挙法違反事件
2026年2月8日に投開票された衆議院議員総選挙で、国民民主党公認候補として東京7区から立候補し落選した入江伸子容疑者(63歳、元東京都議)が、公職選挙法違反(買収)の疑いで逮捕された事件について、以下に詳しく紹介します。
選挙の背景と候補者プロフィール
入江伸子容疑者は、フジテレビ社員を経て2017年から2025年まで東京都議会議員を2期務めた経歴をお持ちです。衆議院選挙では東京7区(港区と渋谷区)から国民民主党の公認を得て立候補されましたが、約2万1千票を得て候補者6人中4位となり落選されました。投開票日の翌日である2月9日、入江容疑者は自身のSNSで「今回の結果を受け、政治家としての活動に一区切りをつける決断をいたしました」と投稿されています。
逮捕容疑の詳細
警視庁捜査2課は2月20日、入江伸子容疑者ら女3人を公職選挙法違反(買収)の疑いで逮捕しました。他に逮捕されたのは、SNSマーケティング会社「BuzzSell」代表の菅原京香容疑者(25歳)と、陣営の会計事務を担当していた佐藤芳子容疑者(63歳)です。3人は共謀し、1月下旬から2月上旬にかけて、ビラ配りなどの選挙運動の報酬として、10代から20代の女子大学生運動員5人に現金計27万円を支払った疑いが持たれています。日当は1万円とみられています。
さらに、警視庁は、入江容疑者らが逮捕容疑の5人を含め、運動員10人以上に現金計約45万円を支払ったとみて捜査を進めています。運動員の多くは大学生で、SNS運用会社のインターン生が中心でした。公職選挙法は、投票や選挙運動の報酬を目的とした有権者や運動員の買収を禁じています。容疑者らは報酬支払いの事実を認識しており、運動員らに口止めをしていた可能性も指摘されています。
現金を受け取った運動員らについては、公職選挙法違反(被買収)の疑いで任意捜査が進められています。この衆議院選挙で立候補者が逮捕されたのは初めての事例です。
国民民主党の対応と声明
国民民主党は2月23日付で入江伸子容疑者を除籍処分としました。党代表の玉木雄一郎氏は2月24日の記者会見で、「選挙の公正性を揺るがす、あってはならない事案です。ガバナンス強化にさらに努めたい」と陳謝されました。また、党内で同様の事案がないか調査する方針を示されています。自身の責任については、「再発防止やコンプライアンス強化を充実させることで責任を果たしたい」と述べられています。
東京都連の対応
国民民主党東京都連は2月24日、入江容疑者を除籍処分としたことを発表しました。都連会長の川合孝典氏(参院議員)と選挙対策委員長の礒崎哲史氏(同)は記者会見で陳謝し、再発防止策を終えた後に役職を辞任する意向を表明されています。川合氏は「都民の皆様に多大なるご心配、ご迷惑をおかけしたことを心より深くおわび申し上げます」と述べ、当局の捜査に全面協力すると説明されています。
党内の再発防止策
玉木代表は、入江容疑者が都議を2期務めた経験者であるため、公認の際に基本的な選挙ルールの理解を前提としていたと説明されています。しかし、研修やルール周知だけでは防げない部分があるとして、今回の問題を整理し、再発防止を徹底する方針を強調されています。
公職選挙法の概要と買収に関する規定
公職選挙法は、公正な選挙を確保するための法律です。この法律は、選挙運動の制限や違反に対する罰則を定めており、特に買収行為は選挙の公正性を損なう重大な違反として厳しく規制されています。以下では、買収に関する主な規定を詳しく解説します。
買収及び利害誘導罪(第221条)
公職選挙法第221条第1項では、次の各号に掲げる行為をした者は、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処すると規定されています。
一: 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもって選挙人又は選挙運動者に対し、金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その供応接待の申込み若しくは約束をしたとき。
三: 投票をし若しくはしないこと、選挙運動をし若しくはやめたこと又はその周旋勧誘をしたことの報酬とする目的をもって選挙人又は選挙運動者に対し、前号に掲げる行為をしたとき。
四: 第一号若しくは前号の供与、供応接待を受け若しくは要求し、第一号若しくは前号の申込みを承諾し、第一号若しくは前号の供応接待の要求をし又は第一号若しくは前号の約束をしたとき。
五: 第一号から第三号までに掲げる行為をさせる目的をもって選挙運動者に対し金銭若しくは物品の交付、交付の申込み若しくは約束をし又は選挙運動者がその交付を受け、その交付を要求し若しくはその申込みを承諾したとき。
これらの規定は、選挙運動員に対する報酬の支払いも含まれており、本事件のようにビラ配りなどの運動に対する現金の支払いが該当する可能性があります。
多数人買収及び多数人利害誘導罪(第223条)
公職選挙法第223条では、多数の選挙人又は選挙運動者を買収した場合、4年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処すると定められています。これにより、行為の規模が大きい場合に罰則が強化されます。
連座制(第251条の2、第251条の3)
公職選挙法第251条の2及び第251条の3では、候補者と一定の関係にある者(総括主宰者、出納責任者、親族、秘書など)が買収罪などで有罪となった場合、候補者本人が関与していなくても当選が無効となり、一定期間の立候補が制限される連座制が適用されます。この制度は、選挙の公正性をさらに守るためのものです。
