トランプ大統領、全世界に10%追加関税を表明 最高裁判決後の代替措置と日本への影響

トランプ大統領の全世界に対する10%追加関税表明

2026年2月20日、ドナルド・トランプ米大統領は記者会見で、貿易法122条を根拠に全世界に10%の追加関税を課す執行命令に署名すると明らかにしました。この措置は、最高裁判所が大統領の以前の広範な関税を無効とする判決を下した数時間後に発表されました。

表明の背景

トランプ大統領は、最高裁判所の判決を「深く失望させるもの」と批判し、判決が彼の貿易政策の基盤を崩したと述べました。これにより、以前の緊急関税が無効化されたため、新たな法定権限に基づく代替措置としてこの関税を導入することを決定しました。

関税の法的根拠と内容

この追加関税は、1974年の貿易法第122条に基づいています。大統領に国際収支の重大な問題に対処するための暫定的な関税賦課を許可するものです。具体的に、最大15%までの関税を150日間に限り課すことが可能で、トランプ大統領は10%の税率を選択しました。この関税は既存の関税の上乗せとして適用され、即時発効するとされています。

期間と延長の条件

貿易法第122条の規定により、この10%の追加関税は150日間に限定されています。それ以降の継続には議会の承認が必要です。事前の調査は不要で、大統領の迅速な行動を可能にする仕組みとなっています。

大統領の対応と今後の動き

トランプ大統領は、この関税を「効果的即時」として発表し、貿易赤字の是正を目指す姿勢を示しました。また、最高裁判所の判決後も貿易政策を推進するための他の手段を検討中であることを示唆しています。

製品によって変わる影響の詳細

この10%追加関税(Section 122)は「すでに課されている通常の関税(normal tariffs)の上乗せ(over and above)」として適用されます。そのため、製品によって影響が大きく異なります。主なパターンは以下の通りです。

  • 上乗せされる製品(負担が増大するケース)
    2025年にすでにSection 232(鉄鋼・アルミニウム、自動車など国家安全保障関税)やSection 301(中国向け不公正貿易関税)などの法定権限に基づく関税が課されていた製品です。
    これらの「normal tariffs」の上にさらに10%が追加されるため、全体の関税率が上昇します。
    例:日本からの自動車・部品の場合、2025年の日米合意(日本が米国への約5500億ドルの巨額投資と引き換えに、自動車関税を実効15%に引き下げてもらったもの)で調整された約15% + 新10% → 合計約25%前後になる可能性が高いです。このため、合意で得た軽減効果が相殺され、実質的な負担増大となる懸念が強く、日本側からは「話が違う」ということになります。
  • 一部軽減される可能性がある製品(ただし新たに10%追加)
    2025年のIEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく広範な相互関税(reciprocal tariffs)のみが適用されていた製品です。
    最高裁判所の判決でIEEPA関税が無効になったため、これらの追加分は消滅します。
    ただし、Section 122の10%グローバル関税は全世界対象なので、新たに10%が課されることになり、結果として関税負担が以前より軽減される場合と同等または増加する場合があります。
  • 影響が少ないまたは変わらない製品
    元々関税がゼロまたは非常に低い製品(例:一部の原材料や合意で免除されているもの)で、かつIEEPA関税のみだった場合です。
    IEEPA部分が無効化され、新10%が加わるため、実質的に新たに10%の負担が発生します。

日本への影響は特に自動車産業で顕著です。輸出コストのさらなる増加が懸念されています。この10%追加関税は150日間限定の一時措置であり、延長には議会承認が必要です。ただし、即時発効とされています。実施細則により一部品目で調整される可能性もあります。

日本への影響

この10%の追加関税は、日本からの米国向け輸出品に適用されます。既存の関税率の上乗せとなるため、日本企業の輸出コストが増大する可能性があります。米国と日本の貿易枠組み合意により、一部の製品では関税が調整されていますが、この新たなグローバル関税は全体に影響を及ぼします。

特に注目されるのは、2025年の日米合意です。日本は米国への約5500億ドルの戦略的投資(半導体・医薬品・エネルギー・AIなど)を約束し、自動車を含む多くの輸出品に対する関税を実効15%に引き下げてもらいました。しかし、Section 122の10%追加はこれを上乗せする形で適用されるため、合意で勝ち取った軽減効果が実質的に無効化・逆転される懸念があります。日本政府・自動車業界からは「投資の対価として得た15%が負担増に変わるのは話が違う」との強い反発が予想されます。

また、米国は日本との交渉を通じて、自動車部品や木材などの特定セクターで関税を10%から15%に引き下げました。しかし、この10%追加関税はこれらの調整にさらに影響を与えます。

経済モデルによると、以前の関税無効化により日本経済は小幅な利益を得ました。しかし、この新たな関税導入により、輸出依存の日本産業に新たな圧力がかかります。