フィリピン国防省、中国軍機のレーダー照射事件に深刻な懸念を表明
2025年12月12日、フィリピン国防省(DND)は、中国人民解放軍の軍用機が日本航空自衛隊の航空機に対して行ったレーダー照射事件に対し、公式声明を発表し、強い懸念を示しました。この声明は、中国の行動が地域の安全保障に与える影響を強調するもので、フィリピン政府の外交・防衛政策における一貫した立場を反映しています。
事件の詳細
事件は2025年12月6日、沖縄本島南東の国際空域で発生しました。中国海軍の空母「遼寧」から発進したJ-15戦闘機が、日本航空自衛隊のF-15戦闘機に対して2回にわたりレーダー照射を行いました。1回目は午後4時32分から4時35分までの約3分間、2回目は午後6時37分から7時8分までの約30分間に及びました。
日本防衛省によると、これらの日本機は中国機の領空侵犯対策として通常の哨戒飛行を実施中であり、安全な距離を保っていました。中国側のレーダー照射は、航空機の安全飛行に必要な範囲を超える危険な行為と位置づけられています。レーダー照射は、通常、目標の捜索やミサイル発射前の火器管制に用いられるため、偶発的な衝突のリスクを高めます。
DNDの公式声明の内容
DNDの声明では、中国の行動を「unsafe(安全でない)」「escalatory(エスカレートする)」「reckless(無謀な)」と強く非難しています。声明の主なポイントは以下の通りです。
- 中国のレーダー照射は、国際空域における合法的な作戦を脅かすものであり、確立された国際規範を損なう。
- このような行為は、地域の安定を脅かし、責任ある運用を行う国々を危険にさらす一連のパターンとして懸念される。
- フィリピンは日本および同様の価値観を持つパートナー国と連帯し、透明性、抑制、国際法遵守を重視するルールに基づく秩序の維持を急務とする。
この声明は、DNDの公式Facebookページおよび関連メディアを通じて公開され、即時的な外交的影響を及ぼす可能性を示唆しています。
地域的な文脈と影響
この事件は、南シナ海や東シナ海での中国の軍事活動が活発化する中で発生しており、フィリピンにとって直接的な脅威認識を強める要因となっています。フィリピンは南シナ海での領有権争いで中国と対立しており、過去にも中国軍の挑発的な行動(例: スカボロー礁上空でのフレア発射)を経験しています。
DNDの懸念表明は、日米菲の同盟関係を強化する文脈で位置づけられ、日本外務省の発表とも連動しています。日本は中国側に再発防止を強く求め、オーストラリアを含む同盟国も同様の懸念を共有しています。中国外務省はこれに対し、日本側の主張を「誇張」と反論していますが、DNDの声明は中立的国際規範の遵守を求める国際社会の声を代表するものです。
このような事件の繰り返しは、インド太平洋地域の緊張を高め、偶発的な軍事衝突のリスクを増大させる可能性があります。フィリピン政府は、外交ルートを通じた対話と多国間協力の推進を継続的に強調しています。
