PS5の値下げとその背景
2025年11月、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、PlayStation 5(PS5)の価格戦略を見直し、主に日本市場と欧州市場で大幅な値下げを実施しました。この措置は、競合機種であるNintendo Switch 2の影響を考慮したもので、PS5のアクセシビリティを高め、市場シェアの回復を目指すものです。以下では、地域ごとの値下げ詳細を紹介します。
日本市場での値下げ
2025年11月21日、SIEは日本専用モデルのPS5デジタルエディションを発売し、税込55,000円という価格を設定しました。これは従来のデジタルエディション(税込72,980円)から約18,000円の値下げに相当します。このモデルは日本語専用で、物理メディア非対応のデジタル版のみを対象とし、日本国内のライトユーザー層やサードパーティータイトル中心の需要に対応する仕様です。全世界累計販売台数は2025年9月末時点で8,410万台を達成しており、前世代機PlayStation 4の同期間実績と同等の水準を維持しています。
欧州市場での値下げ
欧州では、ブラックフライデー期間(2025年11月末)を前に、PS5 Slimの1TBモデルが2週間前比で21%安(平均価格340ポンド)、デジタル版が34%安となる値下げが実施されました。また、高性能モデルのPS5 Proは史上最安値の586ポンド(約12万円)まで価格を下落させました。これらの値下げは、廉価版の導入も含め、市場全体のゲーム機販売を活性化させる狙いがあります。
値下げ後の売上好調の証拠
値下げ実施後、PS5の売上は日本および欧州で顕著な増加を示しました。データに基づく具体的な数字から、その効果を検証します。
日本市場の売上推移
日本では、値下げ前の週(2025年11月10日~16日)にPS5デジタルエディションの販売台数は489台でしたが、値下げ後初週(11月17日~23日)には23,381台に急増し、前週比で約48倍の伸びを記録しました。通常版を含めた総販売台数も前週の約3,798台から大幅に拡大。ファミ通.comのデータによると、この増加は値下げ効果の「くっきりとした」現れとして評価されています。
欧州市場の売上シェア
英国および欧州全体のブラックフライデー期間中、PS5はゲーム機販売シェアの62%を獲得し、前年比16%の販売台数増加を達成しました。英国市場ではゲーム機本体全体の売上が前年比14%増、販売台数7%増となり、PS5がこの成長の主な牽引役となりました。他の競合機種では、Xbox Series X|Sが23%のシェア、Nintendo Switchが5%にとどまり、PS5の優位性が際立っています。この好調は、値下げと廉価版の後押しによるものです。
市場への影響と今後の展望
これらの値下げと売上増加は、PS5がNintendo Switch 2の台頭に対抗する上で重要な一手となっています。日本国内では物理メディア非対応の課題が指摘されるものの、デジタルシフトの加速が売上を支えています。欧州ではブラックフライデーの勢いが継続するかが注目点です。SIEの2025年7~9月期決算では売上総利益が前年比25.3%増となった一方、利益率の低下(60.8%から36.2%)が見られ、値下げのコストが反映されています。将来的には、こうした戦略がPS5のプラットフォーム全体の活性化につながるでしょう。
