・フラット35金利が過去最高更新
・フラット35のメリットとデメリットを徹底解説
フラット35の金利が過去最高を更新:2025年12月の状況
2025年12月資金受取分のフラット35(正式名称:長期固定金利住宅ローン【フラット35】)の借入金利が、過去最高水準を更新しました。この更新は、主に長期金利の上昇が影響しており、住宅ローンの利用者にとって返済負担の増大が懸念される動きです。以下では、フラット35の概要、金利の詳細、過去推移との比較、長期金利の上昇要因を、公式情報に基づいて詳しく解説します。
フラット35とは
フラット35は、住宅金融支援機構が民間金融機関を通じて提供する全期間固定金利型の住宅ローンです。借入期間は最長35年で、資金受取時点で金利と返済額が確定するため、長期的な計画が立てやすいのが特徴です。新機構団信(団体信用生命保険)付きの場合、金利に0.18%が上乗せされますが、加入は任意です。2025年12月時点の金利情報は、住宅金融支援機構の公式サイトで公表されており、取扱金融機関による範囲と最も多い金利が示されています。
2025年12月の金利詳細
2025年12月資金受取分の主な金利は以下の通りです。これらは借入期間21年以上35年以下の【フラット35】を基準とし、融資率(建設費・購入価額に対する借入割合)によって異なります。
| 融資率 | 金利の範囲 | 最も多い金利 |
|---|---|---|
| 9割以下 | 年1.970%~年4.510% | 年1.970% |
| 9割超 | 年2.080%~年4.620% | 年2.080% |
これに対し、借入期間20年以下の【フラット20】や36年以上50年以下の【フラット50】も同様に上昇傾向を示しています。例えば【フラット20】の最も多い金利は、融資率9割以下で年1.580%、9割超で年1.690%です。新3大疾病付の場合、さらに0.24%の上乗せが適用されます。これらの金利は、2017年10月1日以降の申込みに基づくもので、段階金利型や保証型は除外されます。
過去の金利推移と最高更新の確認
フラット35の金利は、住宅金融支援機構の公表資料により追跡可能です。令和5年(2023年)4月以降の推移をみると、2024年5月末時点の長期金利(10年物国債利回り)が1.08%と11年ぶりに1%台に達した影響で金利が上昇基調を強めました。2025年10月末には長期金利が1.67%を維持し、多くの金融機関で前月比引き上げが行われました。
2025年11月時点の主な金融機関の金利は、ほとんどの場合で1.9%台前半でしたが、12月は2.050%への引き上げが予想され、実際に公表された最も多い金利が年2.080%(融資率9割超)に達しました。これは、過去の最低水準(例:2020年代初頭の1%台前半)と比較して大幅な上昇であり、住宅金融支援機構の支援機構債券金利(第223回:2.300%)に基づく予測値を超える過去最高を記録した形です。金利推移の詳細は、機構の公式ページ(借入金利の推移)でPDF形式で確認できます。
長期金利の上昇の影響と要因
フラット35の金利は、10年物国債利回りを基準とする長期金利に連動します。2023年頃から上昇が顕著で、2024年8月には一時1%を下回りましたが、2025年10月には1.70%台に達し、月末1.67%で推移しました。この上昇は、日銀の金融政策決定会合(2025年12月18-19日)での利上げ観測が背景にあり、政策金利の上昇が長期金利に波及した結果です。
具体的な影響として、フラット35の原価である支援機構債券の金利が上昇(例:2.300%)し、上乗せコストを加味した最終金利が押し上げられました。これにより、借入者の月々返済額が増加します。例えば、借入額3,000万円・35年返済の場合、1%の上昇で月々約3万円の負担増となります。変動金利型ローンとの比較では、フラット35の固定性は依然としてメリットですが、高水準の金利環境下で借り換え需要も高まっています。
今後の動向として、日銀の政策次第でさらに変動する可能性がありますが、2025年12月の更新は、住宅市場全体に警鐘を鳴らす出来事です。利用を検討される方は、最新の金利情報を金融機関で確認することをおすすめします。
フラット35のメリットとデメリットを徹底解説
全期間固定金利住宅ローン「フラット35」は、住宅金融支援機構と民間金融機関が連携して提供する長期固定金利ローンです。2025年12月時点で金利が過去最高水準の年1.97%(融資率9割以下・新機構団信付、最も多い金利、6年目以降)に達している中、改めてフラット35を選択するメリットとデメリットを、住宅金融支援機構の公式資料に基づき整理します。
フラット35の主なメリット
1. 全期間固定金利で返済額が確定
借入時の金利が35年間(または20年・50年)変わらないため、将来の金利上昇リスクを完全に回避できます。変動金利や5年・10年固定期間選択型のように、返済額が急に増える心配がありません。特に日銀の利上げサイクルが続いている2025年現在、長期的な家計設計を重視する方に大きな安心材料となります。
2. 民間ローンより審査が柔軟
年収に対する返済負担率(総返済負担率)の基準が、年収400万円未満で30%、400万円以上で35%と明確に定められています。自営業者や転職直後の方でも、前年度の年収証明があれば審査対象となるため、銀行のプロパー融資では難しいケースでも通る可能性があります。民間ローンでは審査基準が金融機関ごとに柔軟に設定される場合が多い一方、フラット35の基準は一律で予測しやすい点が強みです。
3. 保証料・繰上返済手数料が0円
保証会社を利用しないため、保証料が不要です。また、インターネット経由での一部繰上返済(100万円以上)は手数料無料、窓口でも一部繰上返済は無料です(全額繰上返済は33,000円)。民間ローンでは数十万円かかる保証料が不要な点は、総返済額を抑える大きなメリットです。
4. 住宅の技術基準を満たせばポイント制で金利優遇あり
2022年10月以降の改正により、導入されたポイント制では、省エネ性能、耐震性、バリアフリー、子育て世帯向けなどの条件に応じてポイントを加算し、合計ポイントに基づいて金利引き下げが適用されます。例えば、4ポイント以上で当初5年間年▲1.00%、3ポイントで年▲0.50%、2ポイントで年▲0.25%、1ポイントで年▲0.10%の引き下げが可能(2026年3月31日までの申込受付分適用)。ZEH基準適合住宅や子育てプラスを組み合わせれば最大優遇が受けられ、2025年12月時点の基準金利(年1.97%)から実質年0.97%まで低減するケースもあります。
フラット35の主なデメリット
1. 変動金利や短期固定に比べて金利水準が高い
2025年12月時点で最も多い金利が年1.97%(融資率9割以下)と、変動金利(0.3~0.7%台)と比べると大幅に高い水準です。金利が今後下がる局面では、総返済額で不利になる可能性があります。
2. 団信加入が任意のため死亡リスクは自己負担
民間ローンでは団信加入が必須(金利上乗せなしの場合が多い)であるのに対し、フラット35は団信加入が任意です。表示金利(例: 年1.97%)には新機構団信(死亡・高度障害保障)が含まれていますが、加入しない場合に年0.20%引き下げられます。3大疾病保障付の場合、さらに追加の保障が適用されますが、加入しない選択も可能。ただし、万一の際の遺族への負担は大きくなります。
3. 物件検査手数料・登記費用が割高
フラット35を利用するには、住宅金融支援機構が定める技術基準を満たしているかの適合証明書が必要です。適合証明検査機関への手数料(約5~10万円)が別途必要で、民間ローンよりも初期費用が嵩む傾向にあります。
4. 中古住宅は耐震基準適合が必要(築年数制限は廃止)
2022年4月の制度改正により、従来の築年数制限(木造戸建て築20年以内、マンション築30年以内)は廃止されました。現在は築年数にかかわらず利用可能ですが、新耐震基準(1981年6月以降の建築確認)適合が原則です。旧耐震基準の物件でも、耐震診断・補強証明書を取得すれば利用できます。リノベーション済み中古物件も、基準を満たせば柔軟に融資可能です。
まとめ:どんな人にフラット35が向いているか
- 金利上昇リスクを完全に避けたい人
- 35年以上の長期で返済計画を立てたい人
- 自営業や年収が不安定で民間ローン審査に不安がある人
- 省エネ・耐震性能が高い新築・中古住宅を購入する人
一方で、「金利が下がる可能性に賭けたい」「築古物件で耐震補強が難しい」「最大優遇を活用した低金利を狙う」という方は、民間ローンの方が適している場合もあります。
ご自身のライフプランや購入物件に応じて、複数の金融機関で見積もりを比較されることをおすすめします。最新情報は住宅金融支援機構の公式サイト(フラット35公式ページ)でご確認ください。
