ヤマダHDが「ミライ人間洗濯機」の市販を発表
ヤマダホールディングス(HD)は、2025年11月26日に、大阪・関西万博で注目を集めた「ミライ人間洗濯機」の市販を発表しました。この装置は、株式会社サイエンスが開発した革新的な入浴機器で、旗艦店である「LABI池袋本店」(東京都豊島区)での販売を予定しています。発表では、12月25日からデモ機の展示と体験コーナーの設置が明らかになり、来店客がその機能を直接試す機会が提供されます。販売開始時期は現時点で未定ですが、想定価格は約6000万円とされています。
発表の背景
この発表は、大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンで展示された同装置の人気を受けて行われました。万博では入浴体験の応募が4万件以上に上り、当時の石破茂首相を含む要人が視察するなど大きな反響を呼びました。サイエンスの青山恭明会長は記者会見で、「万博に参加できなかった人にもこの技術を体験してほしい」と語り、少子高齢化が進む社会での介護負担軽減を目的とした社会実装を強調しています。ヤマダHDは、この装置を家電量販の枠を超えた未来志向の商品として位置づけ、グループ内の住宅事業(ヤマダホームズの「Feelwell」シリーズ)との連携も視野に入れています。
ミライ人間洗濯機の詳細仕様と機能
「ミライ人間洗濯機」は、1970年の大阪万博で紹介された「人間洗濯機」(ウルトラソニックバス)のコンセプトを現代技術で進化させた装置です。株式会社サイエンスのファインバブル技術を基盤とし、身体の清潔化だけでなく心身のリラクゼーションを実現する点が特徴です。以下に、主な仕様と機能をまとめます。
基本仕様
- 形状とサイズ: 全長約2.3メートルのカプセル型。利用者はカプセル内に横たわるだけで操作可能です。
- 開発元: 株式会社サイエンス(大阪市淀川区)。
- 想定価格: 約6000万円(ヤマダHD発表の想定値)。
- 使用時間: 洗浄から乾燥まで約15分で完了。
- 対象用途: 医療・介護施設、宿泊施設、温浴施設での導入を想定。洗剤不要のエコ設計です。
主な機能
- 洗浄機構: 微細な気泡(ファインバブル)と霧状のシャワーを発生させ、全身の汚れを優しく洗い落とします。サイエンスの既存製品「ミラブル」シリーズの水流技術を応用しており、肌に負担をかけずに清潔を保ちます。
- センサーと健康管理: カプセル背面に設置されたセンサーが利用者の健康状態(心拍など)をリアルタイムで感知。心身状態を可視化し、水流や環境を個別に調整します。
- リラクゼーション機能: 内蔵の映像投影と音響システムにより、利用者の状態に合わせたリラックス映像や音楽を流します。これにより、入浴中に入浴者の心を癒す「ココロの洗浄」効果が期待されます。
- 乾燥機能: 洗浄後、温風や特殊な気流で素早く乾燥。全体のプロセスをシームレスに完了します。
この装置は、1970年大阪万博の技術者・山谷英二氏とデザイナー・上田マナツ氏がアドバイザーとして参加し、未来型入浴の先駆けとして開発されました。万博での展示を通じて得られたフィードバックを基に、市販版の仕様が洗練されています。詳細な導入事例や最終仕様については、ヤマダHDの公式発表やサイエンスのウェブサイトで今後更新される予定です。
