11.6兆円国債追加発行決定!2025年度補正予算と国債の仕組みを解説

2025年度補正予算案の国債追加発行について
国債とは何か ― 日本国が発行する最も安全な借金

2025年度補正予算案の国債追加発行について

2025年11月26日、政府は新たな経済対策の裏付けとなる2025年度補正予算案をまとめ、財源確保のため約11兆6000億円の国債を追加発行する方針を明らかにしました。この措置は、補正予算案の規模が17兆7000億円程度に上る中で、歳入の半分を超える部分を国債で賄うものです。以下では、この決定の詳細を、税収見通しや前年度との比較を含めて紹介します。

追加発行される国債の規模と目的

補正予算案では、経済対策の実施を支えるために国債を11兆6000億円程度追加発行します。これは、当初予算で計画されていた国債発行額28兆6471億円に上乗せされるもので、全体の国債発行額を約40兆円規模に押し上げる見込みです。追加発行の主な目的は、補正予算の財源確保であり、賃上げ支援や企業収益の好調を背景とした経済活性化策に充てられます。

税収見通しの影響

一方で、2025年度の税収は過去最高の80兆7000億円程度と見込まれ、当初想定から2兆9000億円の上振れとなります。この上振れは、賃金の上昇による所得税収の増加や、企業収益の好調が主な要因です。税収の増加により財政の余地が生まれていますが、補正予算の規模が大きいため、国債依存は避けられない状況です。

前年度との比較と財政全体の文脈

この追加発行額は、前年度の補正予算で実施された国債追加発行額6兆7000億円を大幅に上回る水準です。政府は、経済対策の必要性からこうした措置を講じていますが、長期的な財政健全化に向けた議論も並行して進められるでしょう。詳細は今後の国会審議でさらに明らかになる見通しです。

今後の国会審議の見通し

補正予算案は、閣議決定を経て国会に提出され、審議・成立に向けた手続きが開始されます。国債追加発行を含む歳入歳出のバランスが焦点となり、与野党間の協議が注目されます。

国債とは何か ― 日本国が発行する最も安全な借金

国債とは、日本国政府が資金を調達するために発行する債券のことです。政府が「国民や機関投資家からお金を借りる」仕組みであり、満期が来たら元本を返し、それまで毎年(または半年ごと)に利子を支払う約束をします。日本において国債は「最も安全な金融商品」とされ、ほぼ確実に元本と利子が返ってくるため、リスクが極めて低い資産とされています。

国債の主な種類

  • 建設国債:道路・ダム・学校など公共事業(インフラ整備)に充てるための国債。財政法第4条で発行が認められています。
  • 特例国債(赤字国債):税収だけでは足りない歳出を補うために発行する国債。景気対策や補正予算の財源として多く使われています。
  • 復興国債:東日本大震災などの大規模災害からの復興費用に充てる目的で発行。
  • 個人向け国債:変動10年・固定5年・固定3年など、個人が買いやすいよう設計された国債(最低金利0.05%保証あり)。

誰が国債を買っているのか

2025年時点で、日本国債の約9割は国内で消化されています。主な保有者は以下の通りです。

  • 日本銀行(日銀):約53~55%(金融政策の一環で大量購入)
  • 国内銀行・保険会社・年金基金:約30%
  • 家計(個人向け国債など):約1~2%
  • 海外投資家:約10%程度

国債が返済される仕組み

国債の償還(返済)資金は、将来の税収や新たな国債発行(借換債)で賄われます。特に満期を迎えた国債を新しい国債で借り換える「借換債」は、毎年度60兆円以上発行されており、実質的に「国の借金の繰り延べ」となっています。2025年度も約120兆円規模の借換債が予定されています。

なぜ日本は巨額の国債を発行し続けられるのか

主な理由は以下の3点です。

  1. ほぼ100%円建て債務であるため、為替リスクがなく政府が通貨発行権を持つ日本銀行が最終的に支えることができる。
  2. 国内貯蓄率が高く、巨額の個人・法人資金が国債に向かう。
  3. 超低金利環境が長年続き、利払い費が抑えられている(2025年度も利払い費は約11兆円程度)。

リスクは本当にゼロなのか

日本国債は「デフォルト(債務不履行)の可能性がほぼゼロ」と評価されていますが、以下のリスクは存在します。

  • 金利急上昇 → 利払い費が急増
  • インフレ加速 → 実質的な債務負担は軽減されるが、国民生活に影響
  • 海外投資家の保有比率上昇 → 海外金利や円安の影響を受けやすくなる

結論として、国債は「政府が国民全体から借りる仕組み」であり、日本の財政運営に欠かせないツールです。2025年度補正予算での11兆6000億円の追加発行も、この仕組みの延長線上にあると言えます。