国会議員が給与5万円アップを検討中、月165万円は領収書不要なのにまだ足りないのか

自民党が検討する国会議員給与の月額5万円引き上げ

2025年11月19日頃から報じられているニュースによると、自民党と日本維新の会は、国会議員の月額歳費を定める歳費法の改正を今国会で進める方向で調整に入ったとされています。この改正が成立すれば、現在の月額129万4,000円から5万円増の134万4,000円となります。この引き上げは、1999年以来、約26年ぶりのこととなります。

改正の背景と内容

政府は今国会に、国家公務員の給与を引き上げる給与法改正案を提出する予定です。自民党は、これに合わせて国会議員の歳費も引き上げる必要があると判断しています。主な理由として、民間の賃上げの流れを挙げており、一般職公務員の給与が国会議員の歳費を上回らないとする国会法の規定を踏まえた措置です。歳費法では、衆参両院の正副議長を除く議員に月額129万4,000円が支給されており、改正によりこれが5万円増加します。

ただし、引き上げの実施時期については、「身を切る改革」を掲げる日本維新の会への配慮から、次の国政選挙後とされています。具体的に、参院選が予定される2028年7月末日か、衆院解散がある月の月末のいずれか早い日まで、現行額で据え置く内容を改正案に盛り込む方向です。

日本維新の会の対応

調整報道に対し、日本維新の会の吉村洋文代表は明確に反対の姿勢を示しています。11月20日の発言で、「増額の調整にも入っていないし、議員の報酬を上げるのは明確に反対」と述べ、維新の国会議員は現在も2割の報酬削減を実施中であることを強調しました。自民党内でも慎重論が出ているため、法案成立は不透明な状況です。

国会議員が受け取る巨額の手当・特典の詳細

歳費(基本給与)とボーナス以外に、以下の経費がほぼ使途制限なし・報告義務なしで支給されています。これらを合わせると、議員1人あたり年間約4,000万円以上が税金から支出されていることになります。

① 調査研究広報滞在費(月100万円・年1,200万円)

2022年に文書通信交通滞在費から名称変更された手当です。領収書・使途報告ともに一切不要で、余った分は議員個人の懐に入ります。実質的に「第2の給与」と批判されており、海外ではほぼ例を見ない制度です。年間総額は約85億円で、使途の透明性はゼロの状態です。

② 立法事務費(月65万円・年780万円)

立法活動に必要な事務費として支給されますが、こちらも領収書・使途報告は不要です。政策秘書給与とは別枠で、会派経由で交付され、使途のチェックが一切行われていません。

③ JR全線無料パス(年間約100万円相当)

選挙区と国会を往復するための交通費として、JR全線(新幹線含む)が無料で乗り放題です。私用での利用は原則禁止されています。

④ その他(政党交付金からの秘書給与、交通費、通信費など)

政党交付金から秘書3人分の給与(年収約2,000万円程度)が別途支給され、事務所費、光熱費、通信費などもほぼ自由に使えます。

「領収書も使途報告も不要」が明らかにおかしい理由

一般の会社員が経費精算する際は、1円単位で領収書を提出し、使途を明確にしなければなりません。地方議員や国家公務員でも同様です。しかし国会議員だけが、月165万円(調査研究広報滞在費100万円+立法事務費65万円)もの公金を何に使ったかの説明責任を一切負わないまま受け取れる制度は、明らかに異常です。

過去には、この手当で高級マンションの家賃を払ったり、ゴルフのプレー代に充てたり、選挙運動に流用していた事例が発覚した議員もいます。それでも制度は放置されたままです。国民が物価高で生活を切り詰めているときに、「人件費が上がったから」というだけで歳費をさらに5万円引き上げる議論が進むこと自体、多くの国民が「常識を欠いている」と感じる最大の理由がここにあります。

結論

国会議員はすでに十分すぎるほどの手当を受け取っており、特に「領収書・報告不要」の巨額経費が放置されている状況で、歳費の引き上げを検討すること自体、国民感情から大きく乖離しています。まずは調査研究広報滞在費と立法事務費の全額領収書公開・使途報告義務化を先行させるべきであり、それなしに歳費増額を語るのは順序が逆です。

国民の生活が苦しい今こそ、政治家が率先して「身を切る改革」を実行すべき時期です。