NVIDIA過去最高益更新、11〜1月期は65%増収予想で市場予想を大幅上回る

NVIDIA、8〜10月期に過去最高益を更新 AI需要が牽引

NVIDIAは2025年11月19日、2025年8〜10月期(FY2026第3四半期)の決算を発表し、売上高が前年同期比62%増の570億600万ドル(約8兆9500億円)、純利益が65%増の319億1000万ドル(約5兆100億円)と、ともに過去最高を更新しました。この好調は、主にデータセンター向けAIチップの需要拡大によるもので、市場アナリストの予想を上回る結果となりました。以下では、決算の詳細と今後の見通しを、財務指標やセグメント別に詳述します。

第3四半期の財務ハイライト

売上高はアナリスト予想の約550億ドルを上回る570億600万ドルを達成。粗利益率はGAAPベースで76.7%、非GAAPベースで77.0%と高水準を維持しました。1株当たり利益(EPS)はGAAPベースで1.29ドル、非GAAPベースで1.31ドルとなり、市場コンセンサス(1.23ドル)を上回りました。これらの数字は、AIインフラ投資の加速がもたらしたもので、特にBlackwellアーキテクチャの生産・出荷開始が寄与しています。

四半期ベースでは、前四半期(5〜7月期)の467億ドルから22%増と、急成長を続けています。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、決算発表後のカンファレンスコールで、「AIの推論需要が爆発的に増加しており、2025年と2026年にかけて5000億ドルの受注残を抱えている」と強調しました。

セグメント別業績:データセンターが全体の97%を占める

データセンター事業の売上高は552億ドルと、前年同期比98%増となり、全体売上高の97%を占めました。このセグメントは、H100およびH200 GPUの供給が順調で、Blackwellチップの初期出荷が加わった結果です。クラウドプロバイダー(AWS、Google Cloud、Microsoft Azureなど)からのAIスーパーコンピュータ需要が主なドライバーです。

一方、ゲーム事業は27億ドル(前年比7%減)と低調でしたが、GeForce RTX 50シリーズの発売準備が進んでいます。オートモーティブ事業は4億3000万ドル(同20%増)、プロフェッショナルビジュアライゼーションは5億200万ドル(同11%増)と堅調に推移しました。これらの多角化が、AI中心の成長を支えています。

11〜1月期の見通し:65%増収で市場予想を上回る

NVIDIAは、2025年11月〜2026年1月期(FY2026第4四半期)の売上高を650億ドル(±2%)と予想し、前年同期比65%増を見込みました。これは、FACTSET集計の市場予想(約622億ドル)を上回る水準で、投資家に強い成長継続を示唆しています。粗利益率はGAAPベースで74.8%、非GAAPベースで75.0%を想定しており、Blackwellのフル生産体制が寄与するとされています。

成長要因とリスク要因

見通しの基盤は、AI推論(inference)需要の急増です。NVIDIAによると、AIトークン生成量は前年比10倍以上に達しており、企業やクラウド事業者のAIファクトリー投資が加速しています。また、Blackwell UltraやRubinアーキテクチャのロードマップ発表が、長期需要を後押しします。

一方、リスクとして米中貿易摩擦が挙げられます。中国向けH20チップの輸出規制強化により、第3四半期に一部影響が出ましたが、NVIDIAは代替市場(欧州、中東)での拡大で対応しています。運営費はGAAPベースで約60億ドル、非GAAPベースで約42億ドルと予想され、R&D投資を継続します。

市場反応と今後の示唆

株価の即時反応

決算発表後、NVIDIA株(NVDA)は時間外取引で一時4%上昇し、投資家の楽観を反映しました。S&P500先物も上昇基調となり、テック株全体にポジティブな波及効果が見られました。アナリストからは、目標株価引き上げの声が相次いでいます。

業界への影響

この決算は、AIブームの持続性を再確認するもので、競合(AMD、Intel)への圧力を強めます。将来的には、AIエージェントや量子コンピューティングへの投資が、NVIDIAのエコシステムをさらに強化するでしょう。投資家は、2026年通期の売上高が3000億ドル超を予想しており、半導体セクターの成長ストーリーが続く見通しです。