広末涼子さん過失運転傷害で書類送検へ|事故の全容・起訴の可能性・危険運転との違いを解説

広末涼子さん、過失運転傷害の疑いで書類送検へ
書類送検と起訴の違いとは
危険運転致傷罪と過失運転致傷罪の違いを解説

広末涼子さん、過失運転傷害の疑いで書類送検へ

2025年11月12日、複数の報道によると、俳優の広末涼子さん(45)が2025年4月に静岡県の新東名高速道路で発生させた交通事故に関連し、静岡県警は自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで、11月13日にも広末さんを書類送検する方針を固めたことが明らかになりました。この事故は、広末さんが運転する乗用車がトンネル内で大型トレーラーに追突したもので、同乗していた男性が骨折するなどの負傷を負いました。捜査関係者への取材に基づく情報では、事故直前の広末さんの車両の速度は時速180キロを超える、または185キロ近くに達していたとされています。

事故の詳細

事故は2025年4月、新東名高速道路の上り線、掛川市付近の粟ヶ岳トンネル内で発生しました。広末さんが運転する乗用車が前方を走行する大型トレーラーに追突し、衝撃により同乗の男性が骨折する重傷を負いました。当初、報道では時速165キロでの走行が指摘されていましたが、最新の捜査結果では時速185キロ近くの速度が出ていた可能性が浮上しています。この速度は高速道路の制限速度(100キロ)を大幅に超過しており、トンネル内という視界や制御が難しい環境での事案として注目を集めています。事故後、広末さんは負傷者への謝罪と治療への協力を行ったと報じられていますが、詳細な事故原因については捜査が継続されていました。

書類送検の経緯と判断

静岡県警は事故発生から約半年にわたり、ドライブレコーダーの解析や目撃証言、車両の損傷状況などを基に詳細な捜査を進めました。当初、危険運転致傷罪の適用を視野に入れていましたが、「制御困難な高速度」とまでは認定できないとして、過失運転致傷罪の疑いに絞り込んだとされています。この判断は、速度超過が本人の過失として認められた結果であり、書類送検は検察官への事件送致を意味します。書類送検は、逮捕を伴わない捜査の終了段階で、容疑者が逃亡や証拠隠滅の恐れがない場合に用いられる手続きです。広末さん側は捜査に全面的に協力しており、事件は在宅捜査として進められました。

書類送検と起訴の違いとは

刑事事件の捜査手続きにおいて、「書類送検」と「起訴」は異なる段階を指す重要な用語です。広末涼子さんの過失運転傷害事件のように、警察が容疑者を特定し捜査を終えた段階で「書類送検」を行い、その後、検察が裁判所に刑事訴訟を提起するかどうかを決めるのが「起訴」です。両者は捜査機関と検察の役割分担を明確にするもので、刑事司法手続きの基本的な流れを構成しています。

書類送検の意味と手続き

書類送検とは、警察などの捜査機関が事件の捜査を終え、被疑者に対する犯罪の嫌疑が認められると判断した場合に、捜査書類(供述調書、証拠物一覧、現場写真など)と被疑者の身元情報をまとめて検察庁に送付する手続きを指します。広末さんのケースでは、静岡県警が自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで捜査を進め、11月13日にも書類送検する方針を固めた段階です。この時点では、被疑者はまだ正式に起訴されておらず、検察が事件を引き継ぐ前の「捜査終結」の意味合いを持ちます。書類送検は、在宅捜査の場合に多く用いられ、逮捕・勾留を伴わない形で進められるのが一般的です。

起訴の意味と検察の役割

起訴とは、検察官が裁判所に対して「この被疑者を刑事裁判にかけるべきだ」と正式に請求する行為です。検察は書類送検された事件について、証拠の十分性、犯罪の成立性、起訴の必要性(起訴猶予の可否)を総合的に審査します。起訴が決定されれば裁判が開始され、被告人として法廷に立つことになります。逆に、証拠が不十分であったり、被害者との示談が成立し社会的制裁が十分と判断されたりした場合は「不起訴処分」となり、刑事裁判にはなりません。起訴は検察官の独占的権限(起訴独占主義)であり、警察は起訴の判断を下すことはできません。

広末さん事件における起訴の可能性

過失運転致傷事件では、被害者の負傷の程度、加害者の過失の重大性、示談の成否、前科の有無などが起訴・不起訴の判断に影響します。広末さんの事件では、被害者が骨折の重傷を負い、時速180キロ超の速度超過が確認されていることから、過失の程度は比較的重いと評価される可能性があります。一方で、初犯であり、捜査に協力的な態度を示し、被害者への補償や謝罪を進めている点は、起訴猶予の考慮材料となり得ます。検察統計によれば、過失運転致傷事件の起訴率は約30~40%程度とされており(法務省「犯罪白書」参考)、必ずしも起訴に至るとは限りません。最終的な判断は、検察が書類送検後に実施する追加捜査と被害者側の意向を踏まえて下されることになります。

危険運転致傷罪と過失運転致傷罪の違いを解説

自動車運転による人身事故では、加害者の運転行為の悪質性に応じて「危険運転致傷罪」と「過失運転致傷罪」の2つの罪が適用される可能性があります。両者は自動車運転処罰法(正式名称:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)に規定されており、行為の故意性・悪質性によって明確に区別されています。広末涼子さんの新東名高速事故のように、高速走行が絡む事案では、どちらの罪が成立するかが捜査の焦点となります。

危険運転致傷罪とは

危険運転致傷罪は、自動車運転処罰法第2条に定められた重い罪です。具体的には、以下のいずれかの行為を行い、よって人を負傷させた場合に成立します。

  • アルコールまたは薬物の影響により正常な運転が困難な状態での運転
  • その進行を制御することが困難な高速度での運転
  • その進行を制御する技能を有しないでの運転
  • 赤色信号または停止指示を故意に無視して重大な交通危険を生じさせる速度での運転

罰則は15年以下の懲役(負傷の場合)と非常に厳しく、故意に危険な運転を行ったと評価される行為が対象です。たとえば、時速100キロを超えるような極端な速度超過で制御不能な状態に至った場合や、飲酒運転による事故が該当します。広末さんの事件では、当初この罪の適用が検討されましたが、「制御困難な高速度」とまでは認定されず、見送られた形です。

過失運転致傷罪とは

過失運転致傷罪は、自動車運転処罰法第5条に規定されており、過失(不注意)によって人を負傷させた場合に成立する罪です。危険運転致傷罪のような「故意の危険行為」は必要なく、単なる運転上のミスや注意義務違反が原因であれば適用されます。たとえば、速度超過、前方不注意、信号見落としなどが該当します。

罰則は7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金と、危険運転致傷罪より軽微です。広末さんの事件では、時速180キロ超の速度超過が認められたものの、飲酒や薬物、制御不能な状態ではなかったため、過失運転致傷罪での書類送検が決定しました。過失の程度が重くても、危険運転の要件を満たさなければこちらが適用されます。

両罪の適用基準と判断のポイント

両罪の最大の違いは「危険性の認識と制御可能性」にあります。危険運転致傷罪は、運転者が「自分の運転が極めて危険である」ことを認識しつつ(または認識可能でありながら)あえて行った場合に成立します。一方、過失運転致傷罪は「注意していれば防げたはずの事故」であり、故意の危険行為は不要です。

実際の捜査では、ドライブレコーダー映像、速度データ、車両の挙動解析、目撃証言などを総合的に検討し、以下の点が判断されます:

  • 速度はどれだけ超過していたか(例:時速100km超か、180km超か)
  • 運転者は速度を自ら制御できていたか
  • 飲酒・薬物・病気などの影響はあったか

広末さんのケースでは、時速185キロ近くでの走行が確認されたものの、車線変更やブレーキ操作が可能だったと判断され、危険運転致傷罪の適用は見送られました。このように、同一の速度超過でも「制御可能性」の有無で罪名が分かれるのが実務の特徴です。