高市首相「午前3時」問題とは?野党の質問遅れを指摘する声も

高市首相「午前3時」問題とは

2025年11月7日、高市早苗首相は就任後初の衆院予算委員会に臨むため、午前3時過ぎに首相公邸に入り、秘書官らと約3時間の答弁準備のための勉強会を行いました。この異例の早朝始動が「午前3時問題」として注目を集め、首相の健康やスタッフの負担、さらには国会運営のあり方をめぐる議論を呼び起こしています。

問題の経緯と事実関係

高市首相は11月7日午前3時1分に衆院議員宿舎を出発し、午前3時4分に公邸に到着。秘書官全員が参加した勉強会で、衆院予算委員会の答弁内容を確認しました。その後、午前8時59分から予算委員会に臨んでいます。首相自身は予算委員会で、「答弁書ができあがる時間がおおむね午前3時ごろだった」と説明し、秘書官や警護員(SP)、運転手らに「ご迷惑をかけた」と陳謝しました。また、閣僚時代から官僚のレクチャー(事前説明)を受けず、答弁書を自分で読み込むスタイルを続けていることも明かしています。

野党側の指摘と国会でのやり取り

予算委員会では、立憲民主党の黒岩宇洋議員が「100人規模の職員が待機し、徹夜で答弁書を作成した人もいる」と指摘し、首相の行動が多くの人に影響を与えたとして問題視しました。また、立憲民主党の野田佳彦元首相は「体調管理に気を付けて」と述べる一方で、SNSではその意図をめぐる議論が起きています。国民民主党の榛葉賀津也幹事長も「事務方はさらに早い時間から待機せざるを得ない」と国会改革の必要性を主張しています。

原因として浮上した質問通告の遅れ

この異例のスケジュールの背景には、野党からの質問通告の遅れがあると指摘されています。国会では慣例として「質問日の2日前正午まで」に通告するルールが存在しますが、立憲民主党や共産党などが期限を守らず、深夜や未明に追加質問を送るケースが多かったため、官僚による答弁書作成が遅延したとされています。自民党の国光文乃外務副大臣や元官僚経験者らはXで「野党の締切が遅いのが原因」と証言。過去の民主党政権時にも同様の問題があったとしています。一方、立憲民主党の杉尾秀哉議員は「2日前ルールは存在しない」と反論し、共産党の山添拓議員も同様の見解を示しています。

与野党・識者の反応と今後の議論

与党側からは首相の責任感を評価する声が多く、木原稔官房長官は「丁寧な準備が必要」と説明。一方、元東京都知事の舛添要一氏は野党の怠慢を批判し、「自分たちの行動も反省すべき」と述べています。メディアやSNSでは首相の「ワークライフバランスを捨てる」発言との関連で健康懸念が相次ぎ、官僚の過重労働是正や国会運営の改革を求める意見が広がっています。高市首相は宿舎のファクスが詰まる問題も一因として挙げ、官僚レクなしのスタイルを継続する方針です。この問題は、国会質問通告のルール厳守やデジタル化の必要性を浮き彫りにし、今後の国会改革のきっかけとなる可能性があります。