WIN5で3億1248万9940円の大当たり! 高額払戻しが問いかける税金の疑問

WIN5で3億1248万9940円の大当たり!と税金の疑問

2025年11月8日、JRAのWIN5が大波乱を起こしました。的中はわずか1票のみで、払戻金は3億1248万9940円。京都10Rでの11番人気フロムダスクの勝利など、人気薄の連発がこの天文学的な配当を生み出しました。発売票数446万4142票、総発売金額4億4641万4200円のうち、幸運な1人が全額を独占した形です。

競馬の還元率は法律であらかじめ75%と定められている

JRAの勝馬投票券は、控除率25%(売上金の25%をJRAの運営費・国庫納付金などに充てる)で運営されています。残りの75%が払戻金プールに回り、当選者に分配される仕組みです。つまり、購入者は最初から「平均回収率75%」で遊ぶことを承知の上で馬券を買っているのです。この75%は、くじやパチンコなど他の公営ギャンブルと共通の基準で、競馬法で明確に規定されています。

それなのに、なぜ払戻金にさらに所得税がかかるのか?

ここに多くのファンが抱く疑問があります。すでに25%を「前払い」したような控除率があるのに、なぜ大当たりした人にだけ追加で税金がかかるのか? 国税庁のルールでは、WIN5を含む競馬の払戻金は原則一時所得扱いです。一時所得の計算式は以下の通り:

  • 総払戻金 - 当たり馬券の購入費 - 特別控除50万円 = 臨時所得
  • その金額をさらに1/2にして、他の所得と合算

【年収ゼロ】と仮定した場合の税金はこうなる

「収入ゼロ」を想定し、2025年現在の税率で正確にシミュレーションしました。

項目 金額
① WIN5払戻金 3億1248万9940円
② 当たり馬券購入費 100円
③ 一時所得 = ①-②-50万円 3億1198万9840円
④ 総所得に加える額 = ③÷2 1億5599万4920円
⑤ 給与所得 0円
⑥ 総所得 = ④+⑤ 1億5599万4920円
⑦ 所得控除(基礎控除58万円のみ) 58万円
⑧ 課税所得 = ⑥-⑦ 1億5541万4920円

税額の内訳(45%区分)

  • 所得税:6499万0214円
    (1億5541万4920円 × 45% - 479万6000円)
  • 復興特別所得税(2.1%):136万4795円
  • 住民税(東京都10%):1554万1492円

合計税額:8187万6501円

手元に残る金額:3億1248万9940円 - 8187万6501円 = 2億3061万3439円

税金は8,187万円超!

当選金の26.2%が国・都に持っていかれます。

「二重課税ではないか?」という声が絶えない理由

還元率75%は「全員の購入金額に対して平均的に適用」されるのに対し、所得税は「当選した人だけが払う追加負担」です。外れ馬券は経費不算入のため、年間トータルでマイナスでも大当たり1回で巨額課税が発生します。過去の最高裁判例(平成27年)でも、通常の購入者は一時所得とされ、外れ馬券を経費にできないと確定。ソフトを使った継続的購入だけが例外的に雑所得(外れ馬券も経費可)になりました。

公平性を考えると、どこに改善の余地があるのか

控除率25%は国庫収入や畜産振興に充てられる公益目的ですが、払戻金への課税は「運の良い人への罰ゲーム」のように映ります。海外では、英国や香港のようにギャンブル配当が非課税の国も存在します。日本でも「50万円控除を100万円に引き上げる」「外れ馬券の一部を経費化」などの議論があってもよさそうです。3億円の当選者にとって、税務署への「8千万円返上」は夢の後の現実。還元率が決まっているからこそ、税制はもっとシンプルで納得感のあるものにしてほしい――そんな声が、今日も競馬場に響いているはずです。